経営者にとって「若さ」はマイナス?

小島さんが著した『ウィルゲート 逆境から生まれたチーム』書影

 どんな企業にも歴史があり、そしてドラマがあるものだが、そういったドラマが表に出るとき、美化されてしまうことが多い。
 しかし、「現実は想像よりも生々しく、厳しい」と語るのは株式会社ウィルゲート代表取締役の小島梨揮さんだ。今回小島さんが上梓した『ウィルゲート 逆境から生まれたチーム』(ダイヤモンド社/刊)は、ITベンチャー企業であるウィルゲートが、学生ベンチャーとして立ち上がり、逆境から業界トップクラスに至るまでの、ウィルゲートの歴史がつづられた一冊だ。
 高校在学中の起業以来、幾多の危機を乗り越えてきた小島さんと彼の仲間たち。飾らないで書こうと思ったという本書は、チームとは何か、その本質に迫る内容となっている。そんな本書について小島さんについてインタビューを行った。昨日の前編に引き続き、今回は後編をお伝えする。
(聞き手/金井元貴)

■経営者にとって「若さ」はマイナス?

―また、本書を通じて感じたのが、専務取締役である吉岡諒さんの存在の大きさです。

「そうですね、すごく大きな存在です」

―小島さんにとって吉岡さんはどのような存在なのでしょうか。

「ある意味で、全てを託すことができるパートナーですね。人間はどん底のときに本性というか、本質や性格が出ると思います。ウィルゲートショックが起きたとき、他の道にいけば輝かしい未来があるかも知れないのに、多額の借金を持ってつぶれてしまいそうな会社の連帯保証人になって、あえて苦しい道を一緒に進んでくれるという選択肢は普通取らないと思うんですよ。でも、そこで『当たり前でしょ』って言って自分を支えてくれたというのは、言葉よりも行動が全てですから、本当に信頼できますね。一緒に築き上げてきたという絆があるからこそ、怖いものはないですし……やはり、全てを託すことができるパートナーですね」

―もともと、幼馴染みですからね。

「そうですね、親友でもありますから」

―でも、そうなるとビジネスパートナーとしての関係と親友、幼馴染みとしての関係、この2つが混じってしまうことはあるのではないでしょうか。

「お互い会社を良くするためには自分を厭わないというスタンスを知っています。だから、その人を尊重するということは会社を尊重することはイコールになりますから、言いたいことはためらいなくどんどん言いますね。直して欲しいところはシンプルに伝えますし、それを受け入れてくれるという信頼関係が築かれていますから。喧嘩になったこともありませんし」

―2人で飲みに行くことはあるんですか?

「行きますよ。あとは一緒に遊びに行ったり、みんなでスポーツしたりとかアクティブな感じです」

―本書では高校3年のときに創業して以来、現在までの7年間がつづられていますが、それでもまだ25歳でいらっしゃるんですよね。若いということについて、経営者として負い目を感じたことはありましたか?

「たくさんありますね。若いという理由だけで信頼してもらえなかったり、実績がないというフィルターが入って見られてしまいますから、当初の営業活動は苦戦しました。ウィルゲート自体、無形商材の信頼ビジネスをしていますから、マイナスからのスタートでした。ただ、お金がない、知名度がないと、ないものをあげてもきりがないので、どのようにマイナスを払拭できるほどの信頼を勝ち取れるかというのは考えてやっていましたね」

―今後、ウィルゲートの経営者として、どのようなことをしていきたいとお考えですか?

「ウェブの世界は発展しはじめてきからまだ15年ほどですが、そのスピードは速いですよね。ウィルゲートはSEOの会社として成長をしてきましたが、世の中に価値のあるものを提供し続けることが本来の弊社の存在意義だと思っていますから、SEOの領域を超えて、新たなインターネットメディアや分野に挑戦していきたいと考えています」

―これから起業したいと考えている人やビジネスを始めたいという人たちが実際にそれを始めたとき、華やかな世界だけでなくて、苦しい現実を見なければいけない部分もあると思います。この本は、そういった部分で自分がやろうとしていることに覚悟が持てるのかを問いかける本だと思いますね。

「そうだと思います」

―では、インタビューの読者の皆さん、ベンチャー企業への就職を考えていたり、起業をしたいと思っている方々に向けてメッセージをお願いできますでしょうか。

「ベンチャー企業というところに捉われず、何かに対して本気で向き合うことはすごくストレスがかかったり、負担がかかったりすることだと思います。ただ、逆境にいて悩んでいるのは自分だけではないということ、そして何事も本気で向き合っていると、その先に輝かしい未来に感動することが出来ます。苦しんでも常に前進し続けることが大切です。この本はそのための1つのきっかけになってもらえればいいなと思いますね」

(了)



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