光琳ふたつの金屏風が海を越えて100年ぶりに再会する『KORIN展』で注目したい3ポイント
“KORIN”とは“尾形光琳”のことで、江戸時代中期を代表する画家のひとりです。名前は知らなくてもその作品を見れば「見たことあるな」と多くの人が思うのではないでしょうか。
地下鉄・表参道駅から歩いて10分ほどにある根津美術館で開催中の『KORIN展』の目玉は、光琳の代表作で国宝の『燕子花図屏風』と、ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵される『八橋図屏風』が同時に展示されるところです。
光琳が同じテーマを、同じ六曲一双屏風に、10数年の時をおいて描いた2つの作品が、太平洋を越えておよそ100年ぶりに並ぶんですよ! これは見逃せません。
先日、実際にこの眼で観てきました! ふたつ並んだ金屏風は長く観ていても飽きないです。開期は5月20日(日)までなのでもう時間がありませんが、これから『KORIN展』観覧する方にぜひ観て欲しい3ポイントをご紹介します。
1:屏風は立体的に観る
屏風はその立ち姿から真正面でも立体的に観ていることになるんですが、前後左右すべてを使って屏風を鑑賞してください! 屏風に対してほぼ真横から観るとまた違う絵柄を観ることができますよ。屏風は平面作品ではなく、立体作品として観ることをオススメします。
私が鑑賞していたときに、こういう見方をしている人はいませんでしたから、もったいないなあと思っていました。屏風は『燕子花図屏風』と『八橋図屏風』のほかにもいくつか展示されていますので、そのすべてで試してほしいポイントです。
2:余白を観る
これは日本画などにはすべて言えることかもしれませんが、ぜひ意識して観てください。文字と絵と余白の関係が感じられるようになると今まで以上に日本画の鑑賞が楽しくなりますよ。
ポスターなどのデザインを見る目も養われるというものです。「間(ま)の取り方がうまい」という表現を聞いたことがあるかもしれませんが、時空間の制御は日本文化の得意とするところのひとつですので、デザインに興味がない人でもぜひ一度意識してみてください。
3:署名の位置を観る
これも余白を観ることに通じていますが、署名の位置に注目するとおもしろいので別の項目にしました。署名は作品に比べてほんとに小さなものですよね。ですが、署名はスパイスのような存在なんです。その1行が作品のすべてを引き立てているんです。
試しに作品にある署名が「もしもそこになかったら」と考えて鑑賞してみてください。すると、作品がなんだか締まらない気がしませんか?「自分が画家ならどこに署名するか」と考えるだけで作品にぐっと入り込むことができますよ。
今週末、会場は混雑が予想されますが、せっかくの貴重な機会ですので多くの人に楽しんでいただきたいと思います。鑑賞方法は人それぞれあると思いますが、上記3ポイントはぜひ試してみてください。これまでと違った感覚を味わうことができると思いますよ。
参考
根津美術館 開催中の展覧会『KORIN展』
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
※この記事はガジェ通ウェブライターの「daisuke」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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