“もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ

access_time create folderエンタメ
“もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ

2018年12月19日渋谷THEGAMEにてTHE 夏の魔物主催ライヴ〈 ROAD TO 12.25AOMORI THE 夏の魔物 presents 2nd アルバム発売日の魔物〉が行われ、新曲「コンプレクサー狂想組曲」がライヴで初披露された。

メジャー2ndアルバム『この部屋が世界のすべてである僕、あるいは君の物語』をビクターエンターテインメントより発売したTHE 夏の魔物。この日は、対バンにアラウンドザ天竺、虎の子ラミーを迎えてのリリース・パーティー。THE 夏の魔物のメンバーは成田大致、大内雷電、鏡るびい、Mai-kou、アントーニオ本多、越川和磨、えらめぐみ、komaki、カメダタク(オワリカラ)。さらに、ゲストとして空きっ腹に酒のヴォーカル・ユキテルがアナウンスされていた。

SEのIGGY POP「Lust For Life」に迎えられてステージに9人が揃うや、「ああしろとかこうしろとか!」と、成田の咆哮から始まる「音楽の魔物」でスタート。2018年のTHE 夏の魔物を象徴する1曲だ。マイナーでドロドロした前半のメロディ・歌詞と、対照的に目の前が開けてくるようなポジティブなサビが、紆余曲折を経て現在に至るバンドのストーリーを雄弁に語っている。対バンのアラウンドザ天竺、虎の子ラミーのTシャツを着たファンも巻き込んで大盛り上がりのオープニングから、すかさず始まったのは、「恋愛至上主義サマーエブリデイ」。ラウドな演奏と、フロントで成田、Mai-kou、るびいの3人がマイクリレーするところに、両サイドから大内とアントンが切り込んで味付けを加えていく。歌い出しのバンドのアンサンブルと、大内が両手を広げて独唱するパートは、年末ということもあり、ロックバンドながら、オーケストラを連想させた。アルバム収録曲の中でも一際キャッチーな「生きとし生けるすべてのバカ者たちへ」は、様々な危機を乗り越えてきたメンバーの心境が、美しく儚げな旋律で運ばれてくる。

「以前、アラ天と対バンしたとき(2018/08/25 (土)吉祥寺Planet K「武蔵野ラウドパーク」)に、Tシャツの背中にある「天」というフォントを見て、大内さんと「これは豪鬼(『ストリートファイター』のキャラ)なんじゃないか!?」って話していて。それでメンバーさんに話しかけたら、「そうです、豪鬼です」って…これはもう、また対バンしたいなと思って。豪鬼といえばカプコンなんですけど、俺はどちらかというとSNK派なんですよね。次の曲は、大好きな『ザ・キング・オブ・ファイターズ』のシェルミーに捧げます!」と、格闘ゲームマニアっぷり全開のMCから、アルバムの1曲目を飾るラブソング「誰にも邪魔されない部屋で始まる君のための協奏曲、第壱楽章」へ。これ以上ないというくらい、魔物史上最大にポップでキャッチーなこの曲を、この日は歌詞の1つひとつをしっかり丁寧に歌っている印象を受けた。「今週は平成ライダーの映画観に行こうぜ!」のセリフから続いたMai-kouとるびいによる高速ラップ調パートは、BiS1stのゴ・ジーラ、トリアエズ・ハナverとは一味違うロックテイストだった。新アレンジでバンドの真骨頂を見せる「爆裂レボリューション」では、アントンがダイブしてクラウドサーフする盛り上がりを見せた。

「ありがとうございます!今日、対バンのライヴを観ていて、みんなものすごく明るいな、どうしよう…と思ったんですけど(笑)。自分も昔はyeah!バーン!!みたいに無理してやってたんですけど、なんか違うなってその時のバンドを解体して。「本当は俺は俺自身になりたいんじゃ~」っていうコンプレックスの塊だったのですが、長年色んなメンバーとライヴをやったり作品を作ってきたのを経て、ようやく納得のいくアルバムができました。今日来る時に思ったんです。歩いてるときに、CDだけじゃなくても、AppleMusicとSpotifyとか、聴いてくれたらなんでもいいんで、俺たちアルバムを聴いてくれたらな嬉しいなって。そう考えながら、ここに来ました。あと、発売日だけど、新しい曲をまたすぐ作りたいなとも思っています。現段階で一番新しい曲やります」(成田)

ここで初披露されたのが、「コンプレクサー狂想組曲」。作詞・大槻ケンヂ、作曲・成田大致と浅野尚志、レコーディングではゲスト・ギタリストにROLLY、和嶋慎治 (人間椅子)、木暮晋也、Mr.PAN (THE NEATBEATS)、RAPにユキテロ (空きっ腹に酒)、ヴォーカル・ディレクションにうつみようこを迎えた大作だ。ピアノと成田のヴォーカルによるプロローグから始まり、越川のギター・リフから、8ビートのロックンロールでスタート。続いて、ブリティッシュ・ハードロックサウンドでるびいがスクリーム。越川のリフが冴え渡る。Mai-kouがパンキッシュなパートでシャウトすると、突如打ち込みのエレクトロなトラックが流れ出す。と、ここで「俺が間違えた!」と演奏をストップして、「メン・イン・ブラック」のニューラライザーで忘れてくれ、と成田。再開して、るびい、大内がメインヴォーカルとなるニューウェーブ・パートから、IGGY POP、JET、NIRVANA風リフが飛び出す、目まぐるしい展開に。さらに、ステージにユキテル参加がしてラップ。「渋谷、声出せますかー!?」と呼びかけ、「コンプレックス!」「コンプレックス!」のコール&レスポンスで盛り上げる。ラップの余韻を引き継いだガールズのハーモニーを経て、曲のエンディングはガレージサウンドで大作を終えた。 各パートでメンバーがヴォーカルを受け持ち、変幻自在に演奏する各プレイヤーの力量も感じることができるパフォーマンスとなっていたこの曲。初披露ということもあり、こなれていない部分もあったものの、ロックの歴史を1曲で表現しようという、とても面白い試みだけに、今後のライヴで曲が成長していくことが楽しみだ。

テンポマシマシで突っ走った「シン・魔物 BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~」で、ラストは魔物チルドレンが「魔物、ボンバイエ!」の大合唱。アンコールでは「東京妄想フォーエバーヤング」でシンガロングして締めくくった。本編最後の「シン・魔物 BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~」のとげとげしさがあったせいか、なおさら素直なメロディが目立った。歌い終わるとアントンがマイクを取る。

「アルバムを買ってくれてありがとう!死力を尽くして作ったアルバムを、死力を尽くして歌っていきますので、これからもよろしくおねがいします!」

ライヴ終了かと思いきや、成田の「おまけです!」の一言で、予定外にこの日2回目の「生きとし生けるすべてのバカ者たちへ」が歌われ、魔物チルドレンとの一体感を生み出す素晴らしいラストソングとなった。この日感じたことは、より自由でパーソナリティが見えるライヴになっていたことだ。「すばらしい日々さきっと もうすぐさ 見えてるんだ」(「生きとし生けるすべてのバカ者たちへ」)。そんな歌詞もあって、泥くささ、人間くささがダイレクトに心に響くエンディングだった。「もう少しだけバンドを続けようと思いました」、そう語りステージを去った成田大致。「先が見えない」、「そう思ったらそれがチャンスさ」と自ら歌うTHE 夏の魔物だが、青森という地での最終回“平成最後の夏の魔物”12月25日〈夏の魔物2018 in AOMORI〉を経て、どこへ向かっていくのだろうか。

取材・文:岡本貴之
写真:タイコウクニヨシ

〈 ROAD TO 12.25AOMORI THE 夏の魔物presents 2nd アルバム発売日の魔物〉
2018 年 12 月 19 日 渋谷 THE GAME
出演: THE 夏の魔物
成田大致 大内雷電 鏡るびい  Mai-kou  アントーニオ本多
越川和磨 えらめぐみ  komaki  カメダタク
ゲスト . ユキテル ( 空きっ腹に酒 )
対バン:アラウンドザ天竺 / 虎の子ラミー
●THE 夏の魔物セットリスト
1.音楽の魔物
2.恋愛至上主義サマーエブリデイ
3.生きとし生けるすべてのバカ者たちへ
4.誰にも邪魔されない部屋で始まる君のための協奏曲、第壱楽章
5.爆裂レボリューション
6.コンプレクサー狂想組曲
7.シン・魔物 BOM-BA-YE ~魂ノ共鳴編~
アンコール
EN1.東京妄想フォーエバーヤング
EN2.生きとし生けるすべてのバカ者たちへ

〈リリース情報〉
メジャー2ndアルバム『この部屋が世界のすべてである僕、あるいは君の物語』
2018年12月19日発売
〈収録曲〉
01. 誰にも邪魔されない部屋で始まる君のための協奏曲、第壱楽章
[作詞:成田大致 / 作曲:成田大致、浅野尚志 / RAP詞:ユキテロ(空きっ腹に酒) / 作詞協力:Sundayカミデ(ワンダフルボーイズ、天才バンド) / ゲストボーカル:ゴ・ジーラ(BiS1st)、トリアエズ・ハナ(BiS1st)]
02. コンプレクサー狂想組曲
[作詞・作曲:後日発表]
03. 音楽の魔物
[作詞:THE 夏の魔物 / 作曲:成田大致、浅野尚志]
04. Matsuri Grrrl
[作詞・作曲・編曲:後日発表]
05. 恋の天国はケモマモハート
[作詞:畑亜貴 / 作曲:ROLLY、浅野尚志 / 編曲:越川和磨]
06. ミックステープ
[作詞:成田大致 / 作曲:成田大致、木暮晋也]
07. あいゆめじごく
[作詞・作曲:後日発表]
08. 生きとし生けるすべてのバカ者たちへ
[作詞:成田大致 / 作曲:成田大致、浅野尚志]
09. さよならメモリー
[作詞:成田大致 / 作曲:成田大致、越川和磨]
10. 恋愛至上主義サマーエブリデイ
[作詞:後藤まりこ / 作曲:成田大致、ARM(IOSYS)、鈴木秋則 / 編曲協力:コバヤシユウヤ(IOSYS)]

フェス情報
夏の魔物2018 in AOMORI
◯日時
2018年12月25日
10:15 開場 / 10:45 開演
◯会場
リンクモア平安閣市民ホール(青森市民ホール)
(住所:青森市柳川1丁目2番14号)
☆一般発売
自由席:8,500円(税込)
中高生チケット:3,000円(税込/当日のみ/枚数限定)
◯追加チケット
ローソンチケットのみで販売中
◯チケット/公演に関するお問い合わせ
ジー・アイ・ピー
TEL:022-222-9999

“もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ
  1. HOME
  2. エンタメ
  3. “もう少しだけバンドを続けようと思いました” どうなるこの先のTHE 夏の魔物―OTOTOYライヴレポ
access_time create folderエンタメ
local_offer

OTOTOY

ハイレゾ音楽配信/メディア・サイト。記事も読めるようになったアプリもよろしくどうぞ。

ウェブサイト: http://ototoy.jp/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。