プレゼンから「マイナス要素を消す」3つのポイント(後編)──澤円のプレゼン塾・レビュー編
プレゼンテーションを成功に導くために必要不可欠な「マイナス要素を消す」ポイントについて、澤さんにレクチャーいただいたレポート後編は「声の出し方」について。澤さん自身が実際に行っているトレーニング法についても紹介されているので、ぜひ皆さんも試してみてくださいね。
【フォーカスポイント3】声の出し方
前回は、「立ち方・座り方」「視線の配り方」の2つのポイントについて、説明してきました。
3つめのポイントは、「声」です。これは個人差がとても大きいものなので、「この出し方がベスト」というのはありません。もともと声が高い人も低い人も、話し方が早い人もゆっくりの人も、最高のプレゼンテーションは可能です。
ただし、「自分がどのような声を出しているのか」を理解していないと、これまたコントロールすることはできません。なので、これまた動画を撮るわけです。
1)自分の声の出し方を理解する
「録音した声を聞いて驚いた」という経験がある人は多いと思います。これは、他の人は空気を伝って聞こえているのに対し、自分は頭蓋骨を伝って響いている声を聞いているからです。(骨動音、と呼ぶそうです)
一般的に、録音した声の方が自分の普段聞いている声よりも声量がないように感じるようです。つまり、いつもよりも声をしっかりと出さないと、自分の思っているように伝わらない可能性があるわけです。
あえて「声だけ録音」ではなく「動画で撮影」するにはワケがあります。自分の表情や立ち居振る舞いと、自分の声とのバランスを見る必要があるからです。
もしそこに大きなギャップがあると、オーディエンスが「なんか違和感があるなぁ…」と思ってしまい、肝心のプレゼンテーションに対する集中力が下がってしまう可能性があります。
2)女性は「ゆっくりと、いつもより半音低め」がベター
女性によく見られるのが、「ずっと高いトーンで話し続けている」というパターンです。イメージ的には「あら奥様、お元気ぃ~~?」的なハイトーンボイスとでもいいましょうか。
女性は男性に比べてもともと声が高くなりがちなのですが、プレゼンという非日常的な状況におかれて、ついつい声が上ずる、ということが起きやすいようです。なので、女性は「ゆっくりと、いつもより半音低め」くらいの意識で話した方がよいようです。
3)「腹式呼吸」と「鼻腔共鳴」
マイクなしでプレゼンをするとき、声を大きくしようとしてキンキンした声になってしまう人もおられます。これは聞いている側からすると、もはや拷問に近いですね。
このような人には、「腹式呼吸」と「鼻腔共鳴」の二つのポイントでアドバイスします。
腹式呼吸はご存知の方も多いと思うので詳細は省きますが、とにかく「腹の奥から声を出す」イメージを持ってもらいます。場合によっては、空手の息吹などの練習を取り入れたりします。
息を鼻から短く鋭く吸って、口から長く吐き出します。その時に、腹部がぐーっとへこんでいくようなイメージを持ってもらいます。呼吸と発声をしっかり意識できるようにして、声帯に負担がかかるような「喉から出す声」から卒業していただくのです。
この腹式呼吸においても、前回紹介した「ドローイン(※しっかりと腹部を凹ませて、体幹に緊張感を持たせるトレーニング方法)」は大事な要素になります。体幹は何事においても大事ですね。
さて、「鼻腔共鳴」は聞きなれない方もおられるのではないでしょうか。本格的に歌を練習したり、ボイストレーニングを受けたりしたことのある方なら、ご存知かもしれませんね。
もしかしたら、小学校の歌の授業で「頭から声を出す」とか習ったことはありませんか?あれのことです。
鼻腔、というのは鼻の裏側のあたりにある頭蓋骨の空洞部分です。ここに声を響かせると、声量が豊かになります。
いろいろな練習方法があるのですが、澤の場合には「額に指を当てて、そこに内側から声をぶつける」のがイメージしやすい方法です。
鼻腔共鳴が使えるようになると、声量のコントロールに幅ができ、表情豊かなプレゼンテーションが可能になります。
「高い・低い」や「早い・遅い」はそれほど問題にならないのですが、「大きい・小さい」は大問題です。
小さい声は、情報が届かないことになるので、プレゼンテーションの意味がありません。極端に大きな声を出す必要はありませんが、少なくとも会場の全員に聞こえる声を出す必要はあります。
舞台装置としてマイクがあれば大いに活用すれば良いですが、どのくらいの声の大きさなのかは確認が必要です。「自分は声が小さいかも…」と思っている人は、まず本番時には「後ろの方、聞こえますか?」と確認することが大事です。澤がレビューさせていただく時は、しっかりその部分もアドバイスします。
小さい声の人が大きい声を出そうとすると、前述の女性と同じように「上ずった声」になるという場合があります。そのようなタイプの方も、腹式呼吸と鼻腔共鳴によって、驚くほど変わります。
今回は澤の「バーチャル・プレゼン講座」をお送りしました。
次回は、実際にこのようなアドバイスを受けた方のお話などもご紹介したいと思っています。
著者プロフィール
澤 円(さわ まどか)氏
大手外資系IT企業 テクノロジーセンター センター長。立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年より、現職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。競合対策専門営業チームマネージャ、ポータル&コラボレーショングループマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。著書に「外資系エリートのシンプルな伝え方」「マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術」
Twitter:@madoka510
※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。
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