いい仕事をするのに、モチベーションは関係ないーーマンガ「エンゼルバンク」に学ぶビジネス

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いい仕事をするのに、モチベーションは関係ないーーマンガ「エンゼルバンク」に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー()。今回は、三田紀房先生の『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』の第25回目です。

『エンゼルバンク』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただけたら幸いです。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「世の中で本当に大切なルールは明文化されていない。成功する人は、そのルールを把握しそれに従って行動できる人のみだと」

(『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』第3巻 キャリア25より)

龍山高校の英語教師だった井野真々子(いのままこ)は、10年目にして仕事に飽きてしまい、転職を決意します。井野は、かつて一緒に働いていた弁護士の桜木建二(さくらぎけんじ)に相談。桜木は以前、経営破綻の危機にあった龍山高校で教鞭を取っていた時期があり、東大合格者を輩出することによって当校を救った救世主でした。

井野から話を聞いた桜木は、転職エージェント会社の転職代理人・海老沢康生(えびさわやすお)を紹介。井野は海老沢の下でキャリアパートナーとして働くことになりますが…。

無頓着で早とちりする相手に対し、井野のアドバイスは?

キャリアパートナーの井野が次に担当することになったのは、広告代理店に勤める28歳の高島。高島の好青年ぶりに、「今回の仕事は簡単に片付くはず」と思っていた井野でしたが、やがてその非常識ぶりが明らかになります。

無頓着で早とちりをするクセのある高島に、井野は履歴書の書き方を指南します。

「たいていの人は、何を書けば合格するのかがわからずに、とりあえずハウツー本を参考に空欄を埋めようとする。でもそれでは個性がなくなり、読み手は本人がどんな人なのかが想像できない」のだと言います。

「ポイントは、読む人に自分が会社で働いている姿をイメージさせること。こうしたことは、共通認識として書籍などに記載されることはなく、そこまで意識している人も少ないもの。しかし現実には、こうした言葉の裏に隠されたルールを把握し、行動できる人が成功を手にできる人」だと語るのでした。

一流企業でCEOになる道を開いた“マイルール”とは?

「世の中で明文化されていないルール」と聞いて、一体どのようなものを思い浮かべますか?

今回の話では、「成功者は、そのルールに従って行動している」と語られています。つまり「成功法則をマイルール化している」と言うこともできるのではないでしょうか。

事例として、GEの伝説的名経営者、ジャック・ウェルチ氏を挙げてみましょう。氏は、もとはプラスチックの研究に携わる研究者でした。ある日、自分の部署に副社長が来訪することになり、上司が進捗状況を報告するように求めてきたことがありました。ウェルチ氏は上司と副社長を驚かせようと、毎日遅くまで残って研究の採算性やライバル社との数字を比較し、自社の優位性などを分析します。この分析レポートを読んだ2人は、予想を上回る報告に驚き、喜びました。

ウェルチ氏はこの一件から、期待されている以上の行動を起こすことのインパクトについて学び、これを40年間やり続けた、と言います。つまり氏は「仕事で相手の予想を上回ることをマイルールにした」ということです。このマイルールの実行が、CEOへの道を開いたに違いありません。

「その手があったか!」と受け手が思うからサプライズ得点が加算されるのであって、期待を受けていないときこそチャンスなのです。あなたが、恋人や友人の誕生日などにサプライズを仕掛ける時と似たような感覚かもしれません。

“仕事のチャンス”はどこにあるのか?

ウェルチ氏は「昇進を手にする効果的な方法とは、仕事の範囲を大胆に、予想されていない範囲にまで広げてしまうことだ」と言っています。これを実行するのに、特別な才能は必要ありません。ただやるだけで、差がつけられることがほとんどです。それに関して、こんな話があります。

以前、私のセミナーを受講した人が、こう話してくれたことがあります。「私は、俣野さんのプロフェッショナルサラリーマンセミナーを受講したときに『チャンスは毎日のように訪れている』という話を聞き、ずっと『それはどこにあるのか?』と思っていました。けれど今はこう思います。『なぜみんな気づかないのだろう?ただ、自分の周りにいる人を手助けするだけで差が付くのに』と」。

この方は、私のところにやってきた当時はサラリーマンでした。その後、独立して現在はご自身で事業をしています。通常、仕事のチャンスは人がもたらします。この方は自分でビジネスをするようになって、それがよくわかるようになったのでしょう。

©三田紀房/コルク

モチベーションはなくても、いい仕事はできる

思うに、多くの人は「仕事の成果とはモチベーションの差が生み出している」と勘違いしているのではないでしょうか。けれど実際は、仕事をするのにモチベーションは関係ありません。現実問題として、人間は感情の生き物ですから、やる気で満ちあふれている日もあれば、気分が乗らない日もあります。とはいえ、それが仕事に出てしまうのは問題外です。だからそうならないように、マイルールが必要なのです。

仕事における絶対要素とは、「この日が来たらこれをやる」ということです。なぜなら、それが自分がやるべきことだからです。その際、自分を動かすパワーの源泉になるのは「これをやれば自分にとって必ず良い結果をもたらす」という確信です。その確信のもとにマイルールを決め、それをルーティン化し、時間になったら実行する。本来はそれだけの話なのですが、それが難しいからこそ、他人との差がつくわけです。

俣野成敏(またの・なるとし)

30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン(→)』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?(→)』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」(→)』を上梓。著作累計は38万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

俣野成敏 公式サイト(→)

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