15秒で効果アリ!相手のキャラに合わせて「伝える」方法
商談がなかなかうまくいかない、上司に提案が通らない…などと悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
昨今、「伝え方」が注目されていますが、誰もが忙しく、時間がない中、どのように伝えればいいのでしょう?
今までに2万人以上を指導した、話し方コンサルタントの羽田徹さんは「15秒で伝えることを意識するのが大切」と指摘しています。15秒なんて短すぎる!と思われるかもしれませんが、テレビCMの長さは通常15秒。一つのメッセージを伝えるには十分な長さがある…と羽田さんは言います。
「人は、文章を覚えてはくれません。覚えるのは気になるキーワードのみ。最初から、伝えたいキーワードを決めて話す。これを知っているかどうかで、仕事のパフォーマンスが違ってきます」とのこと。
先ごろ発売された羽田さんの著書『相手のキャラを見極めて15秒で伝える!』では、「誰に伝えるか」を意識し、相手を見極めて15秒で伝える方法が紹介されています。今回は本書の中から、キャラクター別の伝え方についてを一部抜粋し、ご紹介します。
相手のタイプによって伝え方を変えれば、相手の納得を引き出せる
一言で相手の共感を得るのは、簡単なことではありません。同じ言葉をかけ倒しても、その言葉が響く人と響かない人がいます。自分に合う人、合わない人もいるでしょう。
だからこそ、同じ商品を勧める場合であっても、「伝え方を変え、的確に伝える」ことが重要です。
人の性格にはいろいろなタイプがあり、人によって考え方や感じ方は変わります。それらを見極めて、伝え方を使い分けてみましょう。
「ガツガツタイプ」は自分で決めさせる
<ガツガツタイプの特徴>
* 自分が主導権を握りたい
* 影響力を発揮したい
* 積極的に攻め、競争心を持ちやすい
* 上昇志向が強い
* 自ら切り開く力がある
営業でバリバリ成績を上げるタイプや、人の上に立つ人に多いタイプです。このタイプは周りにコントロールされたり、指示されたりするのが嫌いです。また、自由を好み権限を与えられたらやる気になりますが、権限を奪われると意気消沈するという特徴があります。
そんなタイプに、商品を売る際は、以下のように伝えるといいでしょう。
<15秒での伝え方>
×「お客様の求めていることを考えると、私のお勧めはこちらです」
〇「情報はすべてお伝えしましたので、あとはお客様にお任せします」
ガツガツタイプは、「お勧めです!」と断定されると、押しつけられた気がして一気に買う気がなくなります。最後は自分で決めないと、納得できないのです。そのため、事前に情報を伝えたうえで相手に決断を任せるのが◎
その際、ガツガツタイプが好むワードをちりばめて、決断を誘導することも可能です。
例えば、車を売るのであれば「Aの車はデザインも洗練されていてアピール力が強く、力強い走りをするうえに、自由に車を操れる感覚があり、ドライバーの優越感を満たしてくれます。Bの車は、安定した走りと居住空間の心地よさが同乗者の満足を引き出し、環境にも優しいエコな車です。お客様でしたら、どちらがお好みですか?」などと伝えると、「Aが良さそうですね」とすんなり決まる可能性が大。
「自由」や「操作性が高い」「優越感」など、自分が主導権を握りたい「ガツガツタイプ」の好きなワードをAの説明にちりばめることでAに誘導することができ、決断可能性をより高めることができます。
「やわらかタイプ」はエスコートしてあげる
<やわらかタイプの特徴>
* 誰かの役に立って貢献したい
* 協調性を重んじる
* 競争は好まず安定や平和を求める
* 自分よりも皆を優先する
* 受容力が高い
販売や接客業、バックオフィス系の仕事をしている人に多いタイプです。競争よりも調和を重んじる、周りから見れば穏やかでいい人タイプ。日本人に多いタイプでもあります。
しかし、このタイプは競争心をあおっても、ハッパをかけられても動きたいとは思わないタイプ。先ほどのガツガツタイプとは正反対であり、商品を売る際も全く逆のアプローチが必要です。
<15秒での伝え方>
×「情報はすべてお伝えしましたので、あとはお客様にお任せします」
〇「お客様の求めていることを考えると、私のお勧めはこちらです」
例えば、車を販売する際、選択肢を与えて「どちらがお望みですか?」というと悩みます。そして悩めば悩むほど、結果「もう少し考えてから決めます」となり、成約に至りません。
しっかりこちらから導き、親身になって寄り添って信頼感を得たら、「お客様でしたら、こちらがいいですよ」と強めに背中を押してあげると、すんなり決断してくれるでしょう。そして、先ほどと同じ2つの車のタイプで言えば、安定、調和を重んじるやわらかタイプはBの車を選ぶことが多いはずです。
「ロジカルタイプ」は情報を与える
<ロジカルタイプの特徴>
* 感覚よりも、事実、データを重んじる
* 知的好奇心が強い
* 100%納得しないと前に進めない
* 専門性を発揮して仕事をしたい
* 学習欲求が高い
相手をほぐすためにアイスブレイクで冗談を言っても、あまり笑ってくれないタイプです。「その冗談は今、この場面でどういう意味があるのか?」と憮然としてしまいます。また、感覚で話をしたり、感情的に話をしても伝わりにくく、「あなたの不正確な感覚よりデータで示してくれ」となりがちです。
ロジカルタイプに伝えるときは、事実とデータを重視して伝えると効果的です。
<15秒での伝え方>
×「お客様にはこちらの感じがあっていると思いますよ」
〇「40代男性購入者の80%が、こちらの商品を選んでいます」
「このタイプの車は赤色が映えるんですよね!」よりも、「購入者の75%が赤を選んでいます。将来的に中古で売却する際も、人気の色なので売りやすいです。逆にこちらの青は購入者の7%しか選んでおらず、個性を発揮したいのであれば選択肢としてありですね」などといった、具体的な情報が効きます。
また、知的好奇心や学習欲求が高いので、普通のお客様ならば説明しないような専門的な話をすると喜ばれます。もしお客様がその専門的な話に食いつき、自身の知識を話し始めたらチャンス。「さすがよくご存知ですね!詳しいんですね」と聞く姿勢を続けると、相手は気分がよくなり、あなたのことを信頼するようになります。
「オモシロタイプ」は好奇心を刺激する
<ロジカルタイプの特徴>
* データよりも感覚、感性を信じる
* 創造的なことが好き
* とにかく面白いことをやってみたい
* 自分の個性や感性を活かして仕事がしたい
* ほかの人と違うことが喜び
当たり前のものが嫌いで、ほかの人が身につけていないような個性あるものを着ていたり、自身の感性や個性を重視して仕事をするタイプです。クリエイターや芸術家に多く、皆が持っているような大衆車や汎用品などを嫌います。
そのため、限定や希少価値を訴えると心を動かせる可能性が高まります。
<15秒での伝え方>
×「こちらは人気の定番商品となっており、一番売れています」
〇「こちらは希少性が高いプレミアムモデルなんですよ。持っている人はあまりいないですね」
車の販売の場合でも、その人だからこその個性を際立てる方法を提案すると喜びます。「お客様はほかのお客様とは違う素晴らしい感性をされているので、あまり誰も乗っていないビビッドなカラーで、オプションでパーツを付けると個性が際立ちますよ」「カスタマイズ要素が高いので、ご自身でいじるのもいいですね。カスタムパーツも豊富なので、どんどん想像力が膨らみますよ」などとクリエイティブな好奇心を掻き立てる提案をすると、モチベーションが上がります。
「バランスタイプ」は本音を引き出す
<バランスタイプの特徴>
* 周囲とのバランスを意識する
* すべてのタイプに対して合わせることができる
* 何かに突出するよりも平均的なものを求める
* 周囲との関係性を意識してうまくコントロールしたい
* リスクを減らし調整役に回りたい
これまで取り上げたすべての要素をバランスよく持っているバランサーです。それだけに特徴が見えにくく、本音が見えづらいところが難点です。
<15秒での伝え方>
×「お客様が求めていらっしゃる一番大事な条件ってなんですか?」
〇「この商品を購入されるうえで、懸念されていることは何ですか?」
バランスタイプは、「一番大事な条件」を聞かれても、全体のバランスを重視しているためなかなか答えられません。本音を引き出すためには、購入をためらうとしたら何が問題になっているのか、何が引っ掛かっているのかを聞いたほうがいいでしょう。
空気を読むのがうまく、商談をされても自分のペースに巻き込んでうまくかわすタイプなので、懸念点を聞いてできるだけ本音トークに持っていき、相手の本当に求めているものを探るようにしましょう。
相手のタイプを知れば、相手に合わせて話ができ、関係性も強まる
このように、相手がどのタイプかを知れば、相手に合わせてキーワードを考え、簡潔に伝えることができます。また、相手を理解することで「あの人はよくわからない!」とストレスを抱えることもなくなり、関係性も向上するでしょう。今まで通らなかった意見が、ウソのようにすんなり通るかもしれません。
普段から、「この人は何タイプかな?」と意識して接するようにすると、初対面の相手でも何タイプかがわかるようになり、その後のコミュニケーションもスムーズになります。
本書には、「伝え方による人の動かし方」「相手が自分から動くように仕向ける方法」「ビジネスで効く、相手の心を動かす伝え方のテクニック」など、すぐに活用できる伝え方のコツがさまざまな角度から紹介されています。伝え方に悩んでいる人、相手にもっと意見や提案を聞いてほしいと考えている人は、手に取ってみてはいかがでしょうか?
ちなみに、これらの伝え方は、プライベートでも大いに活かせるとのこと。
羽田さんによると、恋人からの「仕事と私、どちらが大事なの?」の正しい答えは、「もちろんお前が大事だよ」でも「お前も仕事も大事だよ」ではなく、「そんなことを言わせてごめんね」だとか。詳しい解説は、ぜひ本書をご覧ください。
参考書籍:『相手のキャラを見極めて15秒で伝える!』/羽田徹/ダイヤモンド社
EDIT&WRITING:伊藤理子
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