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理系学習マンガは誰を先生役にし、誰を生徒役にしてきたか。-NHKキズナアイ騒動をうけて(銀河孤児亭)

理系学習マンガは誰を先生役にし、誰を生徒役にしてきたか。

今回はあでのいさんのブログ『銀河孤児亭』からご寄稿いただきました。
http://d.hatena.ne.jp/adenoi_today/touch/20181009/1539098342

理系学習マンガは誰を先生役にし、誰を生徒役にしてきたか。-NHKキズナアイ騒動をうけて(銀河孤児亭)

ブログの方では毎度お久しぶりのあでのいです。

さてここ数日、今をときめく大人気バーチャルyoutuberのキズナアイさんがNHKのノーベル賞解説番組特設サイトにて出演なさった事に対し、とある社会学者教授さんが盛大に噛みつき、それが火種となってネットの片隅を揺るがす大論争が巻き起こっているのは、皆さんもご存知の通りと思われます。

批判論点については当の教授先生がいろいろウネウネ話を捏ねている訳で、まあ詳しくは当人のweb記事を読んでもらうとして、個人的にはその中の
「女性は理系が苦手という偏見が社会にある中、それを追認するように先生役に男性、聞き手役に女性を配置させる事がジェンダーギャップ問題への意識に欠ける」
って辺りの話がちょっと気になりまして、こうして筆をとった次第。

というのも私不肖あでのい、ここ10数年くらい理系科目の高校~大学生向け「漫画で学ぶ◯◯」系漫画にはできるだけ目を通すようにしてるので、サブカル界隈の「教師役」「生徒役」のキャラ割り当てについては割と一家言あるのです。

という訳で本記事では、ここ10年くらいの「漫画で学ぶ◯◯」系漫画において、先生役生徒役にどんなキャラクターが配置されてきたかについて紹介してってみようかなと思います。まあ「紹介してどうすんの?」という話ではあるんですが、ぶっちゃけ件の論争についてはまともに参戦するのも面倒臭いというのが正直な所でして、本記事ではあくまで実例の提示だけにとどめて、そっから何を見出すかは読者に委ねようと思います。

という訳で興味ある方は読んでって頂けると幸いです。

はじめに – 近年の学習漫画の変化について

まずは少し前置きというか、近年の学習漫画の変化について少し触れておこうと思う。本題だけ知りたいという人は、下の実例紹介の下りまで飛んでもらって問題無い。

私が理系の学習漫画に積極的に手を出し始めたのは2000年代の半ば、当時17,8歳頃で科学の道を志すようになったのが原因だ。最初は単純に「初心者向けで分かりやすいし」という極めて真っ当な理由で読み始めたのだが、元来の漫画好き評論好きと相混じって「学習漫画」という形態そのものに興味を持つようになり、以来10数年、そこまで積極的に収集しているという訳ではないが、理系科目の「漫画で分かる」「漫画で学ぶ」と冠された学習漫画は見かけたらなるだけ目を通すようにしている(ここ数年はちょっとサボり気味だが)。

学習漫画の古くからの詳細な歴史について熟知している訳ではないが、そもそも理系の専門的な分野の学習漫画自体は、2000年以前にはほぼほぼ存在していなかった。学習漫画と言えば伝記や歴史を中心にした小学生向けのものがほとんどであり、年齢層の高めな書籍も趣味や健康などをテーマにした内容が支配的だった。

それが2000年以降、特に半ば頃から「漫画で学ぶ」系の書籍が爆発的に増加した。大阪市立図書館ホームページの蔵書検索*1 で「マンガでわかる」で調べてみると(この表記方法が最も検索結果が多く出力される)、1990年から2004年までが120件、2005年から2018年までが728件と、6倍以上の増加を見せていることが分かる。検索結果もチラッと見るだけでも、専門的な理系分野をテーマとしたものが大幅に増えていることが分かるのではないだろうか。
(なぜ大阪市立図書館かは単にウェブブラウザのブックマークに入れていたからである)

*1:「蔵書検索」『大阪市立図書館』
https://www.oml.city.osaka.lg.jp/?page_id=266

さらに加えて言えば、タイトルに「漫画」と記載していながらも、実際には本当に漫画形式になっている訳でもなく、単にキャラクターイラストが多く描かれているだけ、という書籍もかなり含まれる。一例として以下に2000年に講談社ブルーバックスから出版された「マンガ量子論入門」を挙げる。

マンガ量子論入門―だれでもわかる現代物理 (ブルーバックス)

「マンガ量子論入門―だれでもわかる現代物理 (ブルーバックス) 新書」2000年7月19日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4062572958/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d

ページ抜粋

量子論抜粋

この書籍が出版された2000年には既にこういった形式の本を「漫画」と呼ぶのはかなりマイノリティであったし、そもそも漫画文化に差異のあるイギリスで出版された書籍の邦訳なので、この本を例に挙げるのは少々アンフェアであるが、こうした形式の本にも実際90年代以前は「漫画」とタイトルに表記されていたりしたのだ。

さて、この学習漫画の爆発的増加の背景には当然「漫画」というジャンル自体の地位向上が大きいが、中でも所謂「萌えブーム」を影響は非常に強く、ゼロ年代中盤以前以降とでは学習漫画のイラストの雰囲気は全く異なるものとなっていると言って良い。90年代以前の作品の多くは(無論例外もあるが)、概ね流行の漫画文化とは離れた個性薄めの絵柄だった(70年代あたりの非劇画調の漫画絵、例えばドラえもんや009のような、と言うと語弊も若干あるが、まあそんな所)。

これまた1例に同じく講談社ブルーバックスの「マンガおはなし数学史」を紹介。こちらも出版は2000年である。

マンガ おはなし数学史―これなら読める!これならわかる! (ブルーバックス)

「マンガ おはなし数学史―これなら読める!これならわかる! (ブルーバックス)」2000年12月20日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4062573121/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d

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