“会社”に依存できない現代。自分を活かせる場所を見極める「3つ」のポイント――マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス
『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』や『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』の第29回目です。
『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】
こんにちは。俣野成敏です。
名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただけたら幸いです。
©三田紀房/コルク
【本日の一言】
「これからの時代、自分の生きる道は自分の手で掴み取るしかない」
(『インベスターZ』第5巻credit.38より)
大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。
投資を通じて、「世の中の常識」に異を唱える
道塾学園の創設者・藤田金七(かねしち)の玄孫(やしゃご)・美雪は、桂蔭(けいいん)学園に通う中学1年生。9歳の時から投資を始め、現在では資産2000万円を運用する投資家でもあります。道塾学園の投資部をライバル視している美雪は、自分も同級生の町田倫子(のりこ)と久保田さくらを誘い、3人で女子投資部を結成します。
部員の久保田は母子家庭です。久保田の母は、娘が入部した女子投資部の「自分の資産を自分でつくる」という考え方に賛同し、親子で一緒に投資について話し合うまでになります。ある日、久保田は部員の2人を誘って家に帰り、母親も交えて投資の話題で盛り上がります。しかし3人が「女性が活躍している会社に投資をしよう」と話すと、母が「そんな会社は、日本に1つもない」と言います。
もともと、久保田の母は職場結婚をし、家庭に入りました。ところが夫がリストラに遭ってから、生活が一変。離婚して働きに出てみると、子持ちの女性が働くことの難しさを思い知らされます。依然として女性が活躍できる機会の少ないことを知り、幻滅する女子たち。しかし久保田の母は、「だったら投資家として、女性を役員から排除している会社は投資しないようにしよう」と呼びかけます。「ささやかな抵抗かもしれないが、行動で示すことが大切だ」と語るのでした。
未来を変えるための前提条件
残念ながら、今の社会が女性に不利な状況であると言われています。しかし、ここで「男性に有利な世界は不公平だ」と叫んでみても始まりません。今はそうでも、未来は変えられます。そのために、まずは「今いる場所からスタートする」必要があります。
ビジネスパーソンとして未来を変える方法は大きく2つあり、1つは「現在の場所で戦って勝ち上がり、影響力のある地位に就く」こと。つまり用意されている既存のルートで出世の階段を上ることです。もう1つは「全く新しいフィールドを自らつくり、既存勢力が及ばない領域を築く」こと。私の場合、サラリーマン時代は後者の道を選びました。
人はどのような環境下にいようとも、必ずその中で何かしらの制約を受けます。とはいえ、実際はメリットとデメリットが混在しているものです。よって、状況を有利に進めるためには、今ある自分にとってのメリットを発見し、それをリソース(資源)として活用していくことが不可欠になります。
「自分のフィールド」を決める
ビジネスでは、当然ながら自分の得意分野で力を発揮することが成功への近道となります。つまり「どこで戦うのか?」を選ぶことが非常に重要です。自分が戦う場所を決める際に考慮すべきポイントは主に3つあります。それは、
(1) 自分の才能(本領を発揮できるのはどこなのか?)
(2) 時代性(今は何が求められているのか?)
(3) 環境(環境によって規定される条件とは何なのか?)
の、3つです。
(1)について、私の場合は、私はマーケティング、セールス、マネジメントなどが得意分野ですので、それを活かした仕事をしています。 (2)について、例えば投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏も、今の時代に生まれ合わせたから成功できたのであって、自分の才能と時代性とのマッチングは重要な要素です。(3)は生まれた国や受けてきた教育など。また、これから選択する環境からも制約条件を受けることになります。
「自分のリソースを活かす」とは、例えば「東大を卒業した人は、東大を卒業したことがウリになるところで仕事をする」、といったようなことです。これとは逆に、学歴がウリにならない人は、学歴を問われない技術やノウハウ等で勝負できる場所を選ぶ必要があります。
これからのキーワードは“自立”
今回、取り上げたマンガは、お母さんが子どもに自立することの重要性を伝えている場面ですが、実際、自立が大事なのは女性に限った話ではありません。社会はすでに「会社員になれば安定した生活と老後が保障される」という時代ではなくなっています。
今は大企業でさえも倒産の危機に陥ったり、国の年金制度も四球が後送りされたりしている世の中です。自分の身を守るためには、最悪の場合を想定し、「自分のことは自分で何とかする」くらいの心構えが必要なのです。
俣野成敏(またの・なるとし)
大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓。著作累計は40万部。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。
俣野成敏 公式サイト
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