部屋探しで最も決め手になる家賃、ただしあきらめ度も高い!?
リクルート住まいカンパニーが「2017年度の賃貸契約者動向調査」(首都圏版)結果を発表した。部屋探しにおいて、最も決め手となるのは「家賃」、最もあきらめた人が多いのは「築年数」だという。ある意味分かりやすい気もするのだが、どうやらそう簡単な話でもないようだ。詳しく結果を見ていこう。【今週の住活トピック】
「2017年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)を発表/リクルート住まいカンパニー
見逃せないのは、立地条件の影響
調査は、2017年4月~2018年3月に賃貸に入居し、物件選びに関与した人を対象に、2018年5月に行ったもの。
今回注目したいのは、部屋探しの際に「決め手となった項目」と「やむを得ずあきらめた項目」についてだ。
画像を見てほしい。図の縦軸が「決め手」度合い、横軸が「あきらめ」度合いで、上に行くほど決め手になり、右へ行くほどあきらめたことになる。決め手となった項目×やむを得ずあきらめた項目(出典:リクルート住まいカンパニー「2017年度の賃貸契約者動向調査」(首都圏版)より転載)
突出して上に飛び出ているのが「家賃」だ。かなり強く決め手になったことが分かる。次に上に位置するのが、「路線・駅やエリア」、その次が「最寄り駅からの時間」、僅差で「通勤・通学時間」が続く。つまり、立地条件については、かなり重視していることが分かる。
次に、あきらめた項目を見ていくと、最も右に位置しているのが「築年数」だが、次には「家賃」が来る。その次が「面積」、僅差で「最寄り駅からの時間」となる。つまり、「築年数は」もともと重視度が高くはなく、あきらめるのも早いが、「家賃」はかなり決め手になる一方で、あきらめた度合いも高くなっているのだ。
家賃(の高さ)をあきらめる理由として考えられるのは、立地条件だろう。中でも「最寄り駅からの時間」はある程度妥協できたとして、「路線・駅やエリア」や「通勤・通学時間」へのこだわりは強く、家賃を予算より上げざるを得なかった人が多くいたと推測できる。
また、「広さ」や「間取り」もある程度重視するが、家賃との見合いで希望より狭いものを選んだという動きも見て取れる。
「初期費用」については、高額になるが入居時だけ発生するものなので、家賃ほどは重視せずあきらめも早いということだろう。
エアコンは必須アイテム?24時間可のゴミ置き場は「あったらうれしい」
さて、賃貸物件で重視する設備に目を移してみよう。
「次に引越すときは(も)絶対欲しい」(「できれば欲しい」を除く)設備のTOP3は、「エアコン」「独立洗面台」「TVモニター付きインターフォン」となり、昨年と同じだった。また、「24時間出せるゴミ置き場」「浴室乾燥機」が昨年から大きく伸びたという(画像)。次引越す際に欲しい設備 上位20項目(全体/複数回答)(出典:リクルート住まいカンパニー「2017年度の賃貸契約者動向調査」(首都圏版)より転載)
設備の重視度は、無かったから次は欲しいのか、あったから次も欲しいのか、無かったから欲しいかどうか分からないのかなどの違いがあるので、単純に数値だけを見て分析するのは難しい。
調査では、設備を利用した人に満足度(「満足している」の比率で「やや満足」を除く)を聞いているので、資料から利用した人の数が分かる。利用者が多い=賃貸で普及していると類推してみよう。利用したことのある設備で多い順に、「エアコン」「都市ガス」「独立洗面台」「TVモニター付インターフォン」「インターネット接続可(有料の個別契約要)」「温水洗浄便座」「追い焚き機能付き風呂」となる。
利用者数の最も多い「エアコン」は、設備の満足度は58.2%(12位)だが、次も絶対欲しいと74.7%(1位)が考えている。つまり必須アイテムということだろう。「独立洗面台」(満足度58.0%/13位)や「TVモニター付きインターフォン」(満足度61.3%/7位)も同じ流れだ。
一方、「24時間出せるゴミ置き場」は、利用者数はそこそこだが満足度は1位(71.1%)。絶対欲しい優先順位は少し下がるものの、あると便利なので「けっこう欲しいかも」となるのだろう。満足度3位(66.5%)の「宅配ボックス」も同じ傾向が見られる。
「遮音性能の高い窓」(67.8%/2位)と「無料インターネット完備」(65.6%/4位)は、満足度はかなり高いが、利用者数がまだ少ないので「絶対欲しい」のスコアが上がってこないと推測できる。
立地や広さVS家賃、設備の充実度VS家賃など、互いに関係性が深いのが賃貸住宅市場だ。部屋探しの際には、「何を重視すれば毎日快適に過ごせるのか」をよく考えて、優先順位をきちんとつけるのが良いだろう。イメージがよいとか、あったら便利そうといった観点で選ぶのは後悔の元になりかねない。
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