イヤな仕事を楽しくする“たった1つ”の方法
『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)の著者である石川和男さん。石川さんは、建設会社総務部長・大学講師・専門学校講師・セミナー講師・税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパービジネスパーソンです。そんな石川さんに今回は「イヤな仕事を楽しくする方法」についてお聞きしました。
プロフィール
石川和男(いしかわ・かずお)
建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。最新刊の『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)ほか、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)など、勉強法、時間術などのビジネ
あなたも中学2年生の頃にタイムスリップしたと思って、想像してみて下さい。
授業が終わり玄関を出たら、土砂降りの雨。持ってきた傘では小さすぎて肩もカバンも濡れてしまう。「早くやまないかな」と思いつつ、塾があるから帰りを急がなければならない。もう、憂鬱で仕方がありません。
ふと気配を感じて振り向くと、小学校から大好きだった幼馴染が立っています。幼馴染は、傘を忘れて途方に暮れている。意を決して「入っていかない?」と誘い、相合傘で自宅に帰る。雨に濡れないように小さな傘に身を寄せながら、この状況が永遠に続かないかなと考えます。
先ほどまでは「早くやまないかな」と願っていたのに、今は「永遠にやまないでくれ」と願っている。憂鬱な気分からドキドキな気分に一変しました。
一体何が変わったのでしょうか?
雨が降っている状況に変わりはありません。内面である心が変わったのです。
仕事をゲームに変えてみる
イヤだと思っている仕事、大変だと感じている仕事でも、同じことが言えます。仕事をやることに変わりはありません。内面である心を変えれば楽しく仕事を進められます。
『イヤならやめろ! 社員と会社の新しい関係』や『おもしろおかしく 人間本位の経営』などの著書でも知られる堀場製作所の創業者堀場雅夫氏は、『今すぐやる人が成功する!』で、イヤな仕事をするコツを次のように言っています。 仕事を『敵』に見立て、それに対して総攻撃をしかけるイメージでとらえるのだ。仕事の1つひとつをつぶしていくという気構えである。2時間なら2時間、1週間なら1週間と仕事の量に応じて、総攻撃の期間を定め、徹底攻撃をしかける。すると、これが結構おもしろくて、ストレス解消にもなるから不思議だ。
『今すぐやる人が成功する!』より
仕事の内容は変わっていません。イヤだと思っていた仕事を敵と見立てて次々と終わらせることで、おもしろくてストレス解消にまでなるゲームに変わったのです。
イヤな仕事、大変な仕事は細分化して攻略する
私もイヤな仕事にはゲーム感覚を取り入れています。たとえば膨大な量の営業年度終了報告書。つい後回しにしたくなります。資料も膨大で最初の一歩が踏み出せません。
そんなときには、「営業年度終了報告書攻略大作戦!」と名付けて、エクセルで表を作ります。作成に必要な項目を全て表の中に細かく書き出すのです。細かければ細かいほど良いです。読まなければならない手引きの1ページから100ページまで、集める資料の内容も書き写します。営業年度終了報告書を作成するために必要な全ての細目をエクセルの表に書き込み、ゲーム(仕事)をスタートさせます。
終わった箇所を順々に黄色(好きな色)で塗りつぶします。やればやるほど白い枠が黄色に染まります。敵であるホワイト軍の陣地を奪い取っていくイメージです。
堀場氏の仕事を「敵」に見立て、それに対して総攻撃をしかけるのと同じです。
また何度言っても宿題をやらない兄弟に、どちらが速く宿題を終わらせるか、時間を計って競い合わせると、急に張り切り出して宿題をやりはじめます。
ペンキ塗りのボランティアをイヤイヤやっている子どもたち。ダラダラと塗っていたのにチーム制にして、どのチームが一番塗る量が多いか競わせると、喜んでペンキ塗りをはじめます。
宿題、ペンキ塗りという行為は変わっていません。イヤだと思っていたことが、競い合うことで楽しいゲームに変わったのです。
私も競争原理やゲーム感覚を利用して、私と部下、部下同士など、チームになって競い合いながら仕事を終わらせることがあります。伝票整理とパソコンへの入力業務が同じぐらいのスピードであれば、タイムを競い合います。終わったあとは、お互いの仕事を交換し合いチェックをします。1つのミスで1分のタイムを加算するなど、仕事をゲームに変えるのです。
嫌な仕事、大変な仕事ほどゲーム感覚ですすめると、部下も満足だし、自分も楽しく仕事をすることができます。
楽しい仕事があるわけではありません。仕事を楽しくしているのです。
「楽しい」はパフォーマンスを上げる
仕事は成果を出さなければなりません。ゲーム感覚でやればアイデアも出やすく、集中力も続きます。何より楽しく仕事ができます。「楽しい」はパフォーマンスを上げることにつながります。
「仕事をゲームのように楽しもう」という考えに基づいて仕事をすると、部下も創意工夫をしようとするので速く終わります。疲れを持ち越さず、次の日もよいパフォーマンスで仕事を進められる。すべてに好循環です。
忙しいときに「仕事は激務」と考えてしまうと、身体はもとより心まで疲れてしまいます。特に大変と感じる仕事を嫌々やると、仕事の量が多いうえに気乗りもしていないので、仕事も遅くなり残業してしまいます。
私が知っている成功しているリーダーは、仕事自体を楽しんでいます。仕事そのものがゲームだと考えている人が多いのも事実です。
イヤな仕事、大変な仕事、単調な作業にゲーム感覚を取り入れる。仕事をゲームに変えることで、楽しくなり、アイデアが出て、集中して取り組むことができ、仕事が早く片付くのです。
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