生産性を「あげられる人」と「あげられない人」の違いとは?ーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス
『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』や『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』の第16回目です。
『エンゼルバンク』から学ぶ!【本日の一言】
こんにちは。俣野成敏です。
名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただけたら幸いです。
【本日の一言】
「与えられた仕事をこなすだけで終わらせず、チャンスを見出してビジネスへと進化させた」
(『インベスターZ』第3巻credit.20より)
大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。
世界の大富豪への道は1万ドルから
道塾学園の創設者・藤田金七(かねしち)の玄孫(やしゃご)・美雪は、道塾学園の投資部に対抗して、自分も女子投資部を設立します。メンバーは美雪のほかに、友人の町田倫子(のりこ)と久保田さくらの3名です。
中高一貫の超進学女子校に通っている美雪には、もう一つ「個人資産2000万円を運用する投資家」としての顔を持っています。9歳から投資を始めた美雪にとっての“憧れの君”とは、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏でした。
バフェット氏の偉大さを、夢中になってメンバーに語る美雪。氏はアルバイトで貯めた1万ドルを元手に、投資を始めます。当時のアナリストから「そこまでの価値はない」と言われていたグレアムの株に、自身の資金1万ドルのうちの75%を投じます。1年後、その株は倍の値段に上昇。氏は取引で得た利益を次の投資資金に充てる、といったことを繰り返し、やがて自身の会社「バークシャー・ハサウェイ」を世界的な投資会社へと成長させたのでした。
天才少年が手がけた商売
今回の「本日の一言」は、世界的な投資家、ウォーレン・バフェット氏の天才性について語られた箇所から取り上げました。バフェット氏は、食品雑貨店を開いていた祖父からは商売の勘を、証券会社を経営していた父からは相場観を受け継ぎ、早くからその才能を開花させています。
氏は、6歳から商売を始めたと言われ、例えば祖父の店で買った6本入りのコカ・コーラに20%の利益を乗せてバラ売りしたり、5種類の味のガムを組み合わせて高値で販売したりしたと言います。これらはいずれも、うまく世間の需要をつかんでそれにこたえたエピソードとして、興味深いものがあります。以下に、どういう点が優れていたのかをまとめてみましょう。
《6本入りのコカ・コーラのエピソード》 バラ売りよりまとめ買いのほうが割安になることを利用し、差益を得た 同じ商品でも「スーパー」「コンビニ」「空港」など、場所によって価格が変わることを知っていた
《5種類の味のガムを組み合わせて売るエピソード》 「全部が同じ味のものより、いろんな味を試したい」という需要にこたえた 他では手に入らないガムのセットをつくり、商品に高付加価値をつけた
現在の企業努力にも通じることを、6歳の子どもが行なっていたというのですから驚きです。
わずかな時間を最大限に活用し、ビジネスにつなげる
さて。バフェット氏は14歳の時に、新聞配達のアルバイトを始めます。
もちろん、氏がただの新聞配達では終わるワケがありません。今回は何をしたのかというと、
・数社の新聞や雑誌の配達を同時に引き受け、顧客が選べるようにした
・新聞配達のついでに御用聞きも行い、必要な日用品も一緒に配達した
といったことです。
氏は、顧客と直接接するわずかな時間を最大限に活用し、ビジネスの幅を広げたワケです。この「ついでに何かできないか?」という発想こそ、ぜひビジネスパーソンの方には持っていただきたい考え方です。人は、「本来は期待していなかったことを思いがけずやってもらえた」時、そこにお得感を感じます。
言われたことをやるだけでは、他人との差はつかない
実は、サラリーマンの出張でも同じようなことは、十分に応用できます。
例えば、会社の経費で出張した際に、「ライバル社の視察」など、時間の許す限り頼まれていないことを現地で調べ、それをレポートにするというようなことです。元来、会社からしてみると、部下を出張させるには経費がかかります。社用でやむを得ないこととはいえ、会社からしたら、それは間違いなく痛みです。痛みというのはマイナスですから、出張に行って言われたことをしてくるだけでは、ようやく±ゼロの状態と考えるのが自然です。
つまり、期待されたことをするのは「当たり前」。そこからプラスを上乗せしていくためには、「指示は受けていないけれど、やれば相手が喜ぶであろうこと」を察することです。そうすれば、上司の脳裏にはサプライズのお得感とともに、あなたの存在が刻み込まれていくことでしょう。
以後はぜひ、「今どうせやっている仕事に、いかにして相手によりお得な印象をプラスさせるか?」ということを意識してみてください。この発想があなたの行動に付加価値をつけることになり、さらには生産性の向上へとつながっていきます。
俣野成敏(またの・なるとし)大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓。著作累計は40万部。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。
俣野成敏 公式サイト
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