「猫あるある」満載!? ツイッターで大人気の猫漫画がついに書籍に
雑誌、ネットでも数多くリリースされている猫漫画。その中でも「とにかく猫の描写がリアル」と多くの人々の心をとらえているのが本書『俺、つしま』です。何気ない猫のしぐさから猫のぽってりとした体つきや毛並みの色まで優れた画力で丁寧に描かれていますが、根底にあるのはあふれんばかりの猫に対するいとおしさ。その猫愛は、読んでいるこちらまであたたかな気持ちにさせられます。
作者は作画を兄、文章・ストーリーを妹が担当するきょうだいユニット「おぷうの きょうだい」。2017年7月からツイッターで「俺、つしま」をスタートさせたところ、これが大人気に。満を持して書籍化されたのが本書です。
主人公の「つしま(つーさん)」は、外でゴミを漁っていたところをおじいちゃん(実は女性!)に保護されたキジトラ。すでにおじいちゃんの家に暮らしている先住猫の「ずん姐さん」や、後からやってきた「ちゃー」「おさむ」などとの生活がコミカルに漫画で描かれていきます。これが「猫あるある」満載で、猫を飼っている人にとっては共感したりニヤニヤしたり……。猫を飼っていない人も、猫との生活がリアルに想像できてすぐに登場キャラクターたちに愛着がわいてしまうはず!
けれど、ただ笑いだけで終わらないのがこの漫画のスゴさです。ときに涙がホロリ、ときに号泣してしまう場面があるから読んでいて油断できません。まずは、つしまが今の飼い主であるおじいちゃんと出会う前のお話。これは書籍化された際に新たに挿入された描き下ろしのエピソードのようですが、野良猫だったつしまと一人で一軒家に暮らすおじいさんという孤独な者同士の心の交流、そして死別が描かれています。
そして、もうひとつが先住猫であるズン姐さんとの別れ。もう二十年以上この家に住んでいる年長者のズン姐さんは、年を追うごとに一日中寝ているばかりのことが増え、以前のように元気に動き回ることがなくなってきます。それでも、おじいちゃんもつしまたちも思うことは同じ。「ただいてくれたらそれでいい」んだってこと。けれど、やがて春が来たころにズン姐さんは死んでしまいますが、その後のつしまの「姐さんはいろんなところにいるよ」という言葉はとても心に響き、読者の涙を誘います。
どちらのエピソードも、それが動物であっても人間であっても、愛する者との死別を経験したことがある人ならばきっと心を揺さぶられることでしょう。
猫を飼っている人、さまざまな事情から飼えない人、これから飼おうと考えている人……すべての猫好き必読の『俺、つしま』。皆さんも笑って、ホロリとして、爆笑して、号泣して、この一冊で猫との愛すべき生活を疑似体験してみてください。
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