プレゼン、商談の成功率が上がる!…相手を惹きつける「声」の作り方

プレゼン、商談の成功率が上がる!…相手を惹きつける「声」の作り方

「声」は、その人の第一印象を大きく左右します。

ハキハキと快活に、よく通る声で話す人には好感を持ち、信頼できそうだと感じますが、ボソボソとくぐもった声で話す人にはなかなか好印象を持てないものです。

にもかかわらず、「声」を重視しているビジネスパーソンは少ない…と、ボーカルディレクターの中西健太郎さんは指摘します。大事なプレゼンテーションの場にもかかわらず、話す内容ばかりに気を取られてしまって声が全然通っていなかったり、パワーポイントの資料を作ることに注力しすぎて疲れ果ててしまったり…。

ビジネスパーソンを始め、上場企業のトップや弁護士、大学教授などを相手に、声を始めとした表現方法のレッスンやセミナーを行っている中西さんによると、「魅力的な声を作るのは誰にでも可能」とのこと。その方法がまとめられた著書『姿勢も話し方もよくなる声のつくりかた』の中から、一部を抜粋しご紹介します。

自分を「いい気持ち」に持っていくことで声の印象はがらりと変わる

ビジネスシーンにおいては、お客様に商品・サービスを売り込む、社内で上司を説得するなど、「相手があなたの話にそれほど興味がない」前提で話をしなければならない場面が多いものです。そんなとき、「気持ちのいい声」で話ができれば、相手の気持ちをこちらに向けることが可能です。

ポイントは、「自分自身がいい気持ちになる」こと。

著者によると、「声には感情が乗る」とのこと。楽しい気持ち、幸せな気持ちの時は、誰しも自然に声が弾み、ハッピーな声音や口調になります。いい気持ちで話していれば、相手も無意識のうちにそれを感じて好意的になるのだそうです。

声は、どんなテクニックでも覆い隠せないほど感情が露骨に出てしまうもの。だからこそ、大事な場面の前には、まず「意識的に『いい気持ち』に持っていく」ことが鉄則です。

お勧めの方法は、「自分が心から楽しいと思えた経験」を思い出すこと。

好きな人、美味しかった料理、楽しかった旅行…思い浮かべるだけで、自然と明るい気持ちになれるでしょう。これだけで気分はかなり上がるはず。

さらに、その楽しかったことを、友人に伝えようとしているときの感覚を思い出してみましょう。きっと、声のトーンや目線、身振り手振りに至るまで、全身で一生懸命楽しさを伝えようとしているはず。その感覚を持ったまま、商談やプレゼンに臨むといいでしょう。

プロのアーティストや俳優は、観客や聴衆に対して「魅せる」「聞かせる」という感覚を持って臨んでいますが、一般の人の多くは受け手側の立場であり、「見る」「聞く」に留まっています。

ただ、「そういう一般の人たちこそ、『見せる』『聞かせる』という意識を持つだけで、人前で話したり、交渉したりする際のパフォーマンスの質がぐんと上がる」のだとか。

受け手側のことを考え、楽しく、明るい感情を持って商談やプレゼンに臨むことができれば、声に思いが乗り、少なくとも相手が前向きな姿勢で話を聞いてくれるようになるはずです。

前向きな情報をインプットして気持ちを切り替える

とはいえ、仕事が忙しくて疲れ果てていたり、上司に叱られて落ち込んでいたり、なかなか気分が上がらないときもあるでしょう。そんなときに大事な商談やプレゼンをすることになったら…マイナスの感情が相手にモロに伝わってしまうので要注意。商談前に気持ちを切り替えることが大切です。

気持ちの切り替え方法としてお勧めなのは、「これから会うお客様やミーティング内容に関する、前向きな情報をインプットする」こと。

「○○さんは、忙しい中時間を割いてくださった」

「○○さんとの仕事は、自分を成長させてくれる」

「この商談は、自分にとって大きなチャンスだ」

例えばこんなことを考えるだけで、少しずつ「明るい気持ちの素」が自分の中に広がり、さっきとは違う気持ちで相手に接することができ、声のトーンもぐんと明るくなるのだとか。

「たったそれだけのことで?」と思われるかもしれませんが、実際にやってみると効果てきめんとのこと。なかなか仕事の調子が上がらないときにも、ぜひ試してみてほしい方法です。

そして、これを習慣化すると、「いつ会っても気持ちのいい人だ」と思ってもらえるようになります。「無意識な好印象」を勝ち取れば、その後のコミュニケーションも格段にスムーズになるでしょう。

目力は逆効果!「力の抜きどころ」を知れば、伝わる声が作れる

多くの人は、いい声を出そうとするとき、喉や肩などにやたら力を入れてしまいがちです。でも、それは全くの逆効果。力を入れると単調な声しか出なくなり、繊細で細やかな表現ができなくなるのだとか。

そんなとき重要なのは、身体を「緩める」こと。「緩める」とは、必要なところには力が入り、不必要なところの力が抜けている状態を指します。体が「緩め」ば、気持ちも緩み、気持ちのいい声が出やすくなるのだとか。まずは、余分な力を抜き、力みを逃がしてあげましょう。

力を入れるべきなのは、「足の両親指」。

きちんと地面につけて床を踏みこむように立ち、頭を軽く吊り上げると、自然に「声が出やすい姿勢」が取れます。自分の頭の上にフックがあり、それに軽く吊られているようなイメージを持つといいでしょう。後頭部や首のあたりが伸びるような感覚です。

この「足指」と「頭」の2点を意識すると、ほかの必要な部分には自然に力が入ります。

なお、大事な話をするときに、目に力を入れて観客を惹きつけようとする人がいますが、声にとっては「目力」はむしろ邪魔になるのだとか。

基本的に、発声するときに顔や口に力が入るのはいいことではありません。声が胸の空洞を通らず、頭周辺も締め付けられてしまい、声が響きにくくなってしまうのだそうです。

そういうときに効果的なのが、「目の力を抜く」こと。目の力が抜けば、顔全体の力みも抜くことができ、声も響くようになります。

東洋では、眉と眉の間の少し上に「第三の目」があると言われています。眉間を開き、その「第三の目」でモノを見るようにイメージすると、不思議と目の力が抜け、身体全体の余分な力が抜けていきます。眉間にシワが寄らず、表情も柔らかくなるので、ぜひ試してみてください。

「声」を見直して、仕事のパフォーマンスを上げよう

ビジネスシーンにおいて、多くの人は「声」を意識してこなかったと思います。自社の商品やサービスの魅力を、いかに的確にわかりやすく伝えるか、トークの組み立てや資料の作成などに時間をかけていたことでしょう。

ただ、人は無意識に、相手の「声」で印象を判断しています。あなたの周りでも、心地のいい声で自然にみんなを惹きつけている人がいるのでは?

今回は、著者が勧める「声の作り方」のごく一部をご紹介しましたが、本書には気持ちのいい声を出すための姿勢や呼吸法、話し方のコツや、トレーニング方法なども掲載されています。「クライアントの心に刺さる商談がしたい」「上司や同僚を動かす声と話し方を身につけたい」と考えている人は、手に取ってみてはいかがでしょうか。

参考書籍:『姿勢も話し方もよくなる声のつくりかた』/中西健太郎/ダイヤモンド社 EDIT&WRITING:伊藤理子

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