会話が「途切れる人」と「盛り上がる人」の違いとは?
せっかく相手との会話を盛り上げようと思ってもうまくいかないときがあります。お互い気持ちだけ空回りしていて話が全く続かない。そんな悩みの解決策は「こちらがうまく質問を作り、聞いてみる」ことです。ただしこれはいろんな会話術スキルの本やノウハウでも指摘されているポイント。実現できないから難しい、と思われる方は多いのではないでしょうか。
今回は「上手な質問の作り方」を具体的にお伝えします。実は一生懸命に頭をひねらなくても大丈夫です。質問作りの材料は目の前、会話相手の回答内にあるからです。丘村奈央子
1973年長野県生まれ。広告営業職の正社員、編集職の派遣OLを経て2010年にフリーライターとして独立。現在は一般企業、制作会社、出版社からテキストや書籍のライティングを請け負っている。電子書籍の自著として2016年8月に『人生が変わる会話術』、2018年4月に『立てる・埋める・直す 3ステップで確実に書き上がる ビジネス書実用書の書き方』を刊行。
よくある「一問一答」で会話が途切れるパターン
会話がブツ切りになってしまうとき、よく陥ってしまうのが「一問一答」のパターンです。雑誌などにある歌手やアイドルへの質問と似ています。「趣味は?」「休日の過ごし方は?」「好きな食べ物は?」と質問をして、一つ一つ答えてもらうあの方法です。一見望んだ答えを得られているようですが、弾んだ会話にするのは非常に難しいでしょう。
なぜなら質問一つ一つがバラバラで関係性がなく、聞き手の都合でしか内容が構成されていないからです。質問された側の立場で考えると「つまらなさ」がよくわかります。
1つ目に「趣味は?」と聞かれたら、話し手はいくつか浮かんだ趣味の中から場に相応しい答えを見つけようと努力し、聞き手が喜ぶであろう答えを選んで提示するでしょう。お互いに良い関係で会話を進めたいと考えるなら、なおさらです。
しかし2つ目の質問で「休日の過ごし方は?」と聞かれてしまうと、話し手の気持ちが落ちます。せっかく答えた「趣味」の回答は聞き手に何も反応を起こさず、むしろ無視されたと感じてしまうからです。それでも頑張って想像し、休日の過ごし方を答えたとしましょう。
そこで3つ目の質問が「好きな食べ物は?」だったら、おそらく話し手は聞き手と真剣に話すことをあきらめます。せっかく自分が答えた内容は次の質問に全くつながらず、気を遣って出した答えに反応はゼロ。あちらは無頓着に浮かんだ質問をポンポン投げるだけだからです。答えを考える労力が損に思えてきます。
会話はキャッチボールといいますが、これではキャッチボールが成立しません。自分が話し手になった場合を思い出すと、多くの人に心当たりがある光景だと思います。
会話中、私たちは何を意識しているのか?
ただし、質問する側の立場になると「一問一答」になってしまう心理もわかります。例えば相手と初対面であったり、お客様など目上の人であったりすると、聞き手に徹しようと思いながらかなりの緊張感が伴います。そんなとき頭を占めるのはこんな意識ではないでしょうか。
「うまく盛り上げなきゃ」
「会話を弾ませなければいけない」
「相手に良く思われる会話にしなければ」
この考えに囚われるとどうなるか。意識は自分の振る舞いや発言に集中します。
「うまく発言しよう」
「気の利いた質問でうならせたい」
「良い人間に見せなければ」
こうなったときに発生するのが、先ほど紹介した「一問一答」パターンの会話です。聞き手は会話をしているように見えて会話に集中できていません。相手から減点されない振る舞いをするため、常に自分の次の手、次の言葉を考えているからです。いわば話し手の言葉が耳に入らない状態で会話をしているのです。
話し手を意識しないまま「良い質問をしなきゃ」というプレッシャーの果てに生まれるのが、回答とは全然関係ないバラバラな質問であり、弾まない会話です。これを解決するには、質問を考えるための材料を見直す必要があります。
質問の材料は、相手の回答の中にある
例えば先ほどの例と同じように、会話を「趣味は?」からスタートさせるとしましょう。相手が「ランニング」と答えたとしたら次の質問はどうしますか。一番簡単で一番確実なのは「ランニング」から連想する質問を返すことです。
自分がランニングをしていたら比較的多くの質問を連想しやすいかもしれません。でも何も知識がなかったら? ……それでも大丈夫です。「知らない」からこそ連想することが必ずあるからです。私はランニングを趣味にはしていないので、知らないことがたくさんあります。それを質問にするのです。
仕事をしながらいつ走るのか?
私は走るのが苦手だけれど、楽しい点は何か?
大会に出るのが目標なのか?
健康に役立っているのか?
……
もし「映画」という回答だったとしても質問作りの原則は同じです。「映画」から自分が連想したことを質問すればいいのです。
最近見た映画は?
どんなジャンルの映画が好きなのか?
一人で行くのか、誰かと行くのか?
……
答えを聞き、そこから連想したことを質問する。さらに得た答えをしっかり聞き、そこから連想したことを質問する。実は、会話はこのシンプルなくり返しでしかありません。これができれば言葉のキャッチボールが見事につながり、話が途切れなくなります。
相手との共通点を探さずに違いを質問にする方法は、こちらの記事でも紹介しています。
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「趣味は?」の例
ランニング→楽しい点は?→走った後の爽快感→何kmくらい走る?→1回10km→最初から走れた?トレーニングは?……
映画→どんなジャンルの映画が好き?→洋画のSF物→一番好きな映画は?→スター・ウォーズ→最初に見たときの印象は?何歳だった?……
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相手の答えから質問を作るメリット
ブツ切りの「一問一答」形式と比べて、相手の回答から質問を見つける「連想」方式には多くのメリットがあります。第1は質問のタネが尽きないことです。相手が答えてくれる限り、そこから思い浮かんだことを聞けば質問作りのサイクルは切れません。
第2のメリットは話し手が安心してくれることです。出てくる質問は必ず自分の回答に立脚しているので「無視されていない、聞いてくれている」とわかります。話し手の言葉から質問が発展していくので「自分の言葉で会話が回っている」という満足感もあります。
何より会話が弾むと話し手と聞き手の関係が良くなります。自分がどう見えるか考えるより、相手が何を話しているのかを聞く。たったこれだけで会話は変わります。ぜひ今からでも、隣の人との会話で試してみてください。
『人生が変わる会話術』(ごきげんビジネス出版)
「聞き方」メソッドをまとめて2016年8月に発売。現在まで「外国人パートナーにも応用できた」「合コンでもこの方法が使えた」など星5つのレビューを連発。2017年5月にはAmazon有料Kindle月替わりセールに選ばれ、全カテゴリー中27位の最高位を記録した。現在も売れ続け8500ダウンロードを突破。このメソッドのレクチャーとワークを行う「聞き方セミナー」も行っている。
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