100年ライフ「必要とされる人」であり続けるために「今」磨くべき“3つ”の力

100年ライフ「必要とされる人」であり続けるために「今」磨くべき“3つ”の力

終身雇用が崩れ、年金制度も不透明な今の時代。「60歳定年」は過去のものとなり、70代になっても働き続ける未来が現実的になってきました。

では、今後、年齢を重ねても「必要とされる人材」とはどんなスキルや姿勢を備えた人なのでしょうか。

今回お話をうかがったのは、人財・組織開発のプロフェッショナルとして多くの企業の変革を手がけるエッグフォワード株式会社・代表取締役社長、徳谷智史さん。さまざまな組織や人、働き方の変化を見てきた徳谷さんに「20代~30代のうちに意識して身につけておくべき力」をお聴きしました。

徳谷智史さん/エッグフォワード株式会社 代表取締役社長

企業変革請負人。組織・人財開発のプロフェッショナル。大手戦略コンサル入社後、アジアオフィス代表を経て、「いまだない価値を創り出し、人が本来の可能性を実現し合える世界をつくる」ことを目指し、エッグフォワードを設立。総合商社、メガバンク、戦略コンサル、リクルートグループなど、業界トップ企業数百社に人財・組織開発やマネジメント強化のコンサルティング・トレーニングなど幅広く手がける。近年は、先進各社の働き方改革、AI等を活用したHR-Tech分野の取り組みや、高校・大学などの教育機関支援にも携わる。

エッグフォワード株式会社

「前提として言えるのは、一つの会社組織の中でずっと働く時代ではなくなってきているということ。特定の組織の中だけで、その環境に適応していくような働き方では、80歳どころか数年後にも必要とされなくなるかもしれません。これからの時代は、いかに特定組織に依存せずに価値を出せるかが、重要になってきます」

徳谷さんが、組織に依存せず価値を出すために、「磨くべき力」として挙げるのは大きく分けて3つ。

「課題設定力」「変化創造力」「関係深化力」です。

1.「課題解決力」だけでなく「課題設定力」が重要

これまでの大手企業では、与えられた課題に対する「解決力」が求められてきました。それももちろん重要ですが、課題を与えられなくなったとき、つまり組織から離れて「指示してくれる上司や、過去のやり方」がなくなったとき、「何をしたらいいかわからない」という事態に陥ってしまいます。

誰かが目指す姿を示してくれる時代が徐々に終わりを告げると、自分自身で課題やゴールを設定する力が必要となってきます。

<課題設定力を磨くためにすべきこと>

まず、「自分は何をしたいのか」「自分はどうありたいのか」を考えることから始めてもよいでしょう。例えば、「なぜこの仕事をやろうと思ったのか」、「もしあと数年しか仕事ができなかったら何をしたいか」。自身の原点に戻って考えてみてほしいです。

そして、誰かに与えられた仕事の範囲外で、自発的に「これをやろう」という目標を設定し、行動する。「やりたいと思っていたプロジェクトに手を挙げる」、「新しい新規事業機会に応募して**を学ぶ」など些細なことでも構いません。

そうした課題や目標を一つでもいいので設定し、周囲の人に「これをやる」と宣言しましょう。アウトプットすることで、「やる」の意識を自分に植えつけることができます。

小さな課題設定を繰り返すというトレーニングを積むことで、大きな課題設定にも対応できるようになるでしょう。

また、チーム単位で課題や目標設定することもお勧めします。このチームの存在意義は何か、どんな未来を目指すのか、ビジョンやゴールをメンバーとしっかり話し合い、共有する時間を持つ。目線を合わせ「言語化」することが重要。お互いにプラスの刺激となり、やるべきことが明確になります。

大切にしているミッションを可視化し、常に目に入るようにしているチームは力を発揮していることが多いのです。

日々の仕事は単なる「タスク」になりがちですが、個人にしろチームにしろ、自ら課題を設定し、「これをやると、その先に何があるのか」を常に考える習慣をつけるようにしましょう。

2.「変化創造力」こそ、若いうちからトレーニングしておくべき

「変化創造力」とは、自ら「変化」に飛び込んでいく姿勢です。

会社に入って経験を積み、だんだん仕事に慣れていく。すると、過去の延長線上で仕事をこなせるようになり、それなりの活躍ができる。でもこれはとても危険な状態です。本気にならなくてもこなせるということは、「伸びしろ」が減っていくということ。

私はいろいろな会社の事業・組織づくりをお手伝いしていますが、実際、「過去の経験」だけに依存して仕事をしているミドル層は、いざ組織がなくなったときや、異なる環境に入ったときに全く活躍できず、こんなはずじゃ…というケースが非常に多く見られます。

どの組織からも求められる人材とは、自ら「変化の機会」に飛び込んでいける人、もっというとその変化を自ら創り出せる人です。それまでとは異なる環境で、過去に付き合ってきた人とは異なる人々と接し、未だない経験をすることで、一段大きな成長を重ねることができるというわけです。

今の時代は変化のスピードが速い。年齢を重ねてから変化が訪れても、対応できない人が多いのが現状です。だからこそ、柔軟性のある20代~30代のうちから変化に慣れながら、自ら変化の機会を創り出せることが重要なのです。

<変化創造力を磨くためにすべきこと>

何よりも「コンフォートゾーン」から飛び出すことを意識してください。つまり、慣れ親しんで居心地のいい環境からあえて離れるということです。

人の成長というのは、自分のコンフォートゾーンを飛び出してこそ始まるものです。環境ががらりと変わり、付き合う人が変わる体験をすることが成長につながります。

私自身、コンサルティング会社に勤務していた時代、自分の成長カーブの鈍化を感じ、そんなときこそ、海外拠点の新規立ち上げに自ら手を挙げてチャレンジしました。起業も同様です。やってみたら、失敗の連続、本当に大変なことばかりでした。でも、その経験があるからこそ、次の課題に挑めるようになり、新たな経験の幅が広がっていきました。

この4月に、不本意な異動や転勤を命じられた方もいるかもしれませんが、見方によっては、それはチャンスだと捉えてみても良いと思います。

敢えて、異動を申し出るまでは、さすがに…ということであれば、自分の得意分野以外の新規プロジェクトに手を挙げて参加してみる、自分とは分野が異なる人たちが集まる場所に行ってみる、といったアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

経験をゼロリセットするまでいかなくても、イメージでは少なくとも30%以上は過去の強みに頼らない「変化」を経験することを意識してみてください。

3.これからの時代の働き方には「関係深化力」が欠かせない

最後に、大切にしたいのは、「人と深くつながる」力です。

ここで言う「つながる力」とは、Facebookの友達の数を増やすといったことではありません。たまに飲む友達が大勢いるということでもありません。

1つの会社組織の中だけにとどまっていると、同じような価値観・考え方の人とばかり付き合うことになりがちですが、これからの時代は、多様な人々と接し、深い関係を築いていくことが重要です。

言い換えれば、誰かが目指すゴールを掲げたとき「このテーマならあの人に相談したい」「あの人と手を組みたい」と思ってもらえる人になるということです。

これからの時代は、一つの会社や部署に所属するのではなく、複数の組織にプロジェクト単位で参加し、自分の強みを発揮して働くスタイルが増えていくでしょう。実際にそうした働き方をする人が増えており、優秀な人は複数の会社から引っ張りだこになっています。

「〇〇社の人」ではなく「△△さん」と指名で選ばれる。そんな自分になっておきたいものです。

<関係深化力を磨くためにすべきこと>

自分がどんな価値観や考え方を持つ人、どんな目標やビジョンを持っている人やどんな価値を発揮している人と関係を強めたいのかを考え、そうした人たちと過ごす時間の濃度を高めましょう。

まずは7人ほどターゲットを決めてください。「親しい7人を見ればその人がわかる」と言われています。

このとき、社内の人だけでなく、社外の人も加えます。また、同じような価値観の人だけでなく、自分とは違うタイプの人や、刺激を受けるような人も含めた方が良いでしょう。そうした人と新たに出会う場を積極的に求めていくことをお勧めします。

分野が違っても、「面白そう」とピンとくれば行ってみる。あるいは自分が信頼している人、自分とはタイプの違う人に、お勧めのコミュニティを聞いて連れて行ってもらう手もあります。

Facebookで興味のある人を見つけたら、直接コンタクトを取って「お会いしたい」と申し出てみてもいいでしょう。「自分はこんな考えや目標を持っています」と、その人と接点のあるテーマで語りかければ、ちゃんとした人こそ対応してくれるものです。

そうしてつながった人と「自分はこれを実現したい」を共有することで、関係を深めていってください。

――ここで挙げた3つの力は、いずれも「組織に依存せずに働く」ことを実現してくれるものです。

今から磨いておくことによって、何歳になっても自分らしい道を選択し、価値を発揮しながら、自分らしく働けるような生き方につなげていってください。 EDIT&WRITING:青木 典子 撮影:平山 諭

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