【頭真っ白…】プレゼンで失敗する人の「残念なこだわり」
丸山久美子(まるやま・くみこ)
まるっと空気を掴むMC、展示会専門接客アドバイザー
1982年、和歌山県生まれ。「人前で話せるようになりたい!」という憧れを叶えるべく、20歳で展示会プレゼンターとしてデビューするも、本番中にてが震えてマイクを落とすなど、さまざまな大失敗を繰り返す。「あがりを克服する方法」や「緊張をなくす方法」を模索するが、改善どころか逆にあがりに拍車がかかり、体調にまで悪影響が。しかし、憧れを捨てきれず、「あがり」や「緊張」と向き合い独自のメソッドを開発。再スタートを図る。以来、展示会やイベントへ3,000回以上出演し、リピート率90%を超える人気MCに成長。2015年から講師活動を開始。「人前で話せるようになりたい!」と願う全国の人々へ、「あり方とやり方」の両面から具体的なノウハウを提供している。
Twitter:Kumiko Maruyama
緊張しいな皆さんへお届けするこの連載も、4回目を迎えました。多方面から反響をいただき感謝申し上げます。今回は、その中でも“もっと知りたい!”とリクエストをいただいた「人前で頭が真っ白にならない方法」を深堀りしていきますね!
こんにちは!
まるっと空気を掴むMC・丸山久美子です。
人前でのスピーチやプレゼンでは、台本を見ながら話すより、何も見ず話す方が“カッコイイ”と思われています。
何も見ずに話すという事は、暗記をして話すという事。しかし、人前に立って話すだけで緊張する私たちには、話しの流れやキーワードを覚える余裕はありません。そんな緊張状態の中で必死に無理を重ねると、体が耐え切れなくなり「あがり」というSOSを出してきます。ここまで来ると、頭が真っ白になったり記憶がとんだりします。苦い思い出として記憶にある人も多いのではないでしょうか?
これでは、せっかく頑張りも水の泡。頭が真っ白にならずに、きちんと話すためにはどうすれば良いのか?一緒に考えてみましょう。
未完成な暗記は「損のモト」
確かに、暗記してスラスラと話せたらカッコイイと思います。しかし、1度立ち止まって考えてみましょう。なぜ、私たちは緊張してまで人前で話すのでしょうか?カッコイイ自分を見せびらしたいから?…違いますよね。伝えたい事があるから話すのです。
伝えたい事を書き出し、暗記したとしましょう。本番で、その内容をスラスラと今思いついたかの様に感情を乗せて話せたら最高です。皆さんもそうやって話したくて暗記を頑張った経験があると思います。
しかし、私がMCとして大勢のスピーチを見てきた結果は真逆です。緊張しいな人は必ず、次は何を言うんだったけ?!と頭の片隅で考えながら話しています。その姿はとても不自然で、感情を込めて話しているようには見えません。不自然な話し方ですから、説得力も激減します。努力が実らず、逆に損をしている人が非常に多いのが現実です。
暗記するなら徹底的な練習を!
とは言え、仕事上どうしても暗記を求められる場合もあります。私も、暗記必須の現場を数多く経験してきました。しかし、緊張しいな私が暗記を完璧に仕上げるには相当な労力が必要で、地獄のような日々でした。
例えば展示会ステージで10分間のプレゼンMCを行う場合。完璧に仕上げるには、1週間は必要です。最初の3日間で、台本を熟読→暗記→声出し→そして、噛まない様に練習します。しかし、本番で緊張すると、このレベルの練習では太刀打ちできない事が分かっているため、緊張対策として4~6日目に特殊な練習を重ねます。繁華街へ行き、人ごみの中で歩きながら声に出してみたり。カラオケBOXで好きな曲を大音量で流しながら、マイクを使って言ってみたり。このような特殊な練習を繰り返し、やっとスラスラ話せる様になります。
これで終わりではありません。7日目に、本番と同じ会場でのリハーサルで最後の仕上げを行います。リハーサルでは、ほぼ100%ミスをします。どれほど念入りに準備しても、本番と同じ会場で生々しい緊張を感じるとミスをするのです。このミスこそが仕上げとなり、本番では最良のパフォーマンスを発揮する事ができます。
こうして私は、1年に200日以上の暗記の仕事をしてきました。緊張しいが暗記を完璧に仕上げ成功するためには、相当な練習が必要だと身をもって味わってきました。どうしても暗記が必要な際には、上記の様に徹底的に練習をしましょう。せっかくの頑張りを水の泡にしてはモッタイナイですから!
プロだって台本を見ている
現在、暗記の仕事はお受けしていません。MCとして駆け出しの頃は、何も見ず話せる人こそが「プロ」だと思っていたので、暗記の仕事をがむしゃらに頑張っていました。しかし、気が付いたのです。テレビのアナウンサーも、結婚式の司会者も、必ず、台本を見ながら話している事に…!
世の中のプロのほとんどは、台本を見ながら話しているではないですか!そう気が付いてからは、私も、台本を見ながら話して良い仕事へとシフトチェンジしていきました。
台本を見ながら話して良い仕事をする様になってから、私のMC力は確実に伸びていきました。それまで暗記作業や練習に充てていた時間を、台本の修正やイメージトレーニングに使う事で、本番で緊張しても、あらゆるトラブルへ対応できるようになりました。緊張しいな私には、暗記よりも、台本を見ながら話す方が相性が良かったようです。
プロにも2種類います。暗記するプロと、台本を見ながら話すプロ。私が自分に合う方を選んだように、皆さんも、ご自身に合う方を選んで良いのです。自分に最適な方法を選択する事こそが、人前で頭が真っ白にならずに話せるコツなのだと思います。
台本を見ながら話す時のポイント
私と同じように、台本を見ながら話す方法へシフトチェンジしたい!と感じた方は、ぜひ1回目のコラムも読み返してみてください。台本を使用する際のちょっとしたコツを載せていますので、参考にご覧いただければと思います。
第1回記事はこちら
第2回記事はこちら
第3回記事はこちら
【参考図書】
『上手にあがりを隠して人前で堂々と話す法』
著者:丸山久美子
出版社:同文舘出版
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