もう泣き寝入りはしたくない! 反論上手だけが知っている「うまい反論の仕方」とは?
社内では上司や先輩、社外ではクライアントなど、自分と意見の異なる人と主張がぶつかるシーンはビジネスにはよくあることです。その際、あなたは相手の言いなりになっていませんか?「こんなことを言ったら怒られるかも」「そもそもうまい言い返し方がわからない」という悩みは、誰でも持っているものです。そこで今回は、広告代理店勤務時代に3,000人以上のVIPと交流し、彼らのうまい反論の仕方を研究している「気配り」のプロフェッショナル・後田良輔さんに「泣き寝入りしない人のうまい反論の仕方」について話を伺いました。
反論とは「答え」を一緒に見つけ出すための「交渉」である
反論とは「相手を打ち負かす技術」、「うまく説明する方法」、「自分の主張をねじ込む技術」である。そうイメージしているなら、あなたは反論下手な人かもしれません。反論とは相手を打ち負かす技術ではありません。少なくとも私が交流してきた3000人のVIP達は「より親密になるための手段」として反論を活用していました。彼らにとって反論とは、相手の意見を否定するものではなく、お互いが納得できる「答え」を一緒に見つけ出していく「交渉」でした。そして彼らはこの交渉を通して、相手の配慮や真意を引き出し、のちのち良好な関係を築くビジネスパートナーを見つけていました。真の友情というのは意見の対立を超えた先に出来るものなのです。では実際に、一緒に答えを見つけるためのうまい反論の仕方を次から見ていきましょう。
打ち合わせ場所の設定
×打ち合わせ場所を「相手に」選んでもらった。
〇打ち合わせ場所を「自分の行きつけの喫茶店」に指定した。
サッカーの国際試合のように、打ち合わせ場所にも「ホーム」と「アウェイ」があります。同じ反論でも「ホーム」で話す方が自分のペースで進められるものです。
複数の人が絡んでくるとき
×「個別に」意見調整した。
〇関係者を集めてから「一度に」意見調整した。
人の意見は色々と違うもの。意見の調整を個々で行うと、つじつまが合わなくなり、自分が複数の意見の間に挟まれることになりかねません。意見や反論は全員がいる場で出し尽くしましょう。
反論の工夫
×「自分の想い」と「熱意」を熱くぶつけた。
〇「データを見せて」客観的にわかりやすく話した。
客観的事実を利用すると感情論になりにくいものです。また大人数を相手に反論する際は、データを利用する方が説得力が増します。
反論の態度・姿勢
×自分の間違いには「触れず」、相手の問題点だけを指摘した。
〇自分の間違いを「自ら認めて」から、相手の問題点も指摘した。
問題点を指摘するのはいいが、一方的過ぎると今後の人間関係を悪化させる原因になるもの。見方を変えれば「自分にも落ち度がある」場合もあるので、そのことを認める度量を持つ方がベター。
議論が平行線のまま進まないとき
×時間を無視して「結論が出るまで」とことん話し合った。
〇2時間たっても結論が出なかったので、気分を落ち着かせるため「日を改めた」。
いつまでたっても建設的な議論にならないときや、これ以上議論するとケンカになりそうなときは、日を改めるのが正解です。最大でも「2時間」が議論の目安。
反論をされたとき
×相手の意見を聞き、「即座に」反論した。
〇相手の意見を聞き、「3秒考えてから」反論した。
「あなたの意見をおざなりにしていません」「きちんと考えています」という思いを「見える化」する方法。間をあけることにより、「考えている姿勢」を醸し出すことができます。
議論を前に進めたいとき
×「それは絶対にありえません」と強く反論した。
〇「おっしゃることは理解できます。ただこう考えることはできませんか?」と提案した。
YES/NOの選択質問をすることで、議論が前に進む場面は多々あるもの。YESならば円滑に話が進み、NOであれば「それはなぜですか?」と相手の本音を引き出すことができます。
相手の話が疑わしいとき
×「何だか信用できません」と言った。
〇「成功事例はどれくらいありますか?」と聞いた。
相手の話がすんなり納得できないときに使う方法。この質問で相手が揺らぐようであれば、実ははったりの場合もあります。
どうしても相手に譲れないとき
×どうしても譲れなかったので「それはちょっと」と反論した。
〇「共通点は〇〇ですね?」と共通認識を確認した。
反論とは敵対することではありません。同じゴールにたどり着くために「お互いが考える手段」です。つまり敵対するよりも共通認識を高め、確認しておく方が有効です。
相手の話の途中で意見を述べるとき
×「それは違います」と割り込んで間違いを指摘した。
〇「そこ、大事なポイントですね」と確認を入れ、自分の意見を話した。
相手の話に異議を唱えるときは、完全否定ではなく「自分と意見が異なるポイントがある」と言うのが正解です。相手を否定すればするほど敵を作りかねません。
目上の人に反論するとき
×「やっぱり違うと思います」と反論した。
〇「ひとつ質問させてください」とお願いした。
目上の人に直接反論すると角が立つものです。質問という形にして「意見が違う」というニュアンスで表現するのがうまい人のやり方。また相手の話をよく聞いてから反論すれば、生意気にも思われません。
相手が煮え切らないとき
×「『でも』、ばかりじゃ議論は進みませんよ」と言った。
〇「『では』、どうすればよいと思いますか?」と聞いた。
何を言っても「でも」「しかし」と反論してくる人がいます。そんな人には自分の意見を無理に主張するのではなく、相手の意見を引き出す言葉を投げかけるのが正解です。
まとめ
反論とは相手を打ち負かすための技術ではありません。共通のゴールを建設的に見つけていく交渉術です。とはいえ意見の対立は感情的になりやすいもの。だからこそ相手の感情を逆なでしない「大人の言い方」を身につけたいものです。たったそれだけで人間関係がよくなり、お互いの真意の交流が図りやすくなります。反論の言い方次第で、あなたの人生の評価が180度変わるかもしれません。ぜひ反論の工夫を仕掛け、グッと相手と親密になってください。
後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト
1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。
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