関西恐怖ゾーン!“開かずの間”がある大阪のラブホでバイトしてみた
どうもこんにちは、裏社会ライターの丸野裕行です!
数年前、とある雑誌でホテル側から苦情が入ってしまったルポ記事が、原稿整理しているときに出てきました。これは当時、私がちょっとした“噂”を聞きつけ、それの真偽を確かめるために、「あるホテルの一室」に潜入取材したときのエピソード。
(※編注・写真と本文は関係ございません)
稲川淳二の話をネタとしか思っていないあなたに伝えたい、“マジで冷や汗が止まらなかった話”です。
はてさて、ライター・丸野裕行はどのような体験をしたのか?
この部屋、すごく気味が悪い
平成23年2月。
その噂というのは、古いホテルにありがちの“霊”に関することだった。
僕も霊感があるわけじゃないけれど、編集部側の意向もあり、ちょっと興味があったので、一度潜入取材として、アルバイトすることになったのだ。ちょうど清掃のバイトを募集していたこともあり、面接した即日に採用されることになった。
ただのバイトだが、人手不足の現場ではやることがたくさん。ベッドメイクや浴室の清掃、キッチンの手伝いもしなければならない。
スタッフのほとんどが同年代くらいで、長年働いているパートのおばちゃんや、なぜここでバイトしようと考えたのかわからない20代くらいのギャルもいる。
とにかく、現場主任の飯田さん(仮名、男性、57歳)について、空室になった各部屋を回ることになった。
関東のラブホテルから流れてきた飯田さんは盗癖でもあるのか、もう8ヵ所目のホテル勤務になるという。
そんな飯田さんに教えてもらった業務内容とは ―― 短時間で浴室の水滴を拭き取り、ひとりでシーツをピンと張ってベッドメイクをする。もちろん備品の補充も欠かさない。その種類もかなりあるし、覚えるのが大変そうだった。
ようやくスタッフ全員の顔を覚えて、仕事をひとりでまわれるようになった5日目。廊下で立ち尽くしているベッドメイクのおばちゃんがいた。
「どないしたんですか?」
「また207号室やんか~、ウチここの部屋やるの、嫌やねん!」
部屋のタイプとしては、料金が安めのなんてことのない広さの部屋。ひとりで十分だろうに、おばちゃんは何を言ってるんや。
「あんた、入ってまだ知らんやろうけど、この部屋は薄気味悪いんよ」
「どういうことですか?」
「だ・か・ら! この部屋は騒ぎばっかり起きる部屋やから、嫌いなんよ! 何かにとり憑かれてるんちゃうかって」
噂になっているのは、この部屋か?
ホテル側と提携しているホテルヘルスの女の子が気が狂って死んだ部屋。それからは、恋人同士の殺し合いがあったり、自殺未遂があったりと、一筋縄ではいかない部屋だという。では、どんな雰囲気かちょっと入ってみるか。
「じゃあ、僕がここやるし、おばちゃんは隣の部屋やってよ」
「え! ええのん?」
おばちゃんを隣室に見送り、僕がドアノブに手をかけた。中に入った瞬間、全身に違和感を感じる。全身の産毛が静電気で立ち上がったようにぞわぞわとしている。確かにおかしい。背筋に悪寒が駆け上がる中で、なんとか力をふり絞り、内扉を探し、窓ガラスを開け放った。隣のホテルの壁が見えるが、ドスンと重たいおかしな空気は、少しずつだが外へ逃げていく。外の新鮮な空気が入ってくると、一応気持ちは落ち着いた。
このホテル、実はリニューアルオープンしてから半年。やはり壁材の化学物質などが充満していたのだろうか。一通りの仕事を終え、外に飛び出すと、さっきのおばちゃんが待ち構えていた。
「だ、大丈夫やった?」
「だ、大丈夫、ですよ……」
「その部屋、ホンマにおかしいねん。3ヵ月前も援助交際してた女子校生が客に首絞められて、病院に運ばれているし」
まぁ、ラブホテルなんだから、その程度のプレイや痴話喧嘩は当たり前だし……。その日は自分にそう言い聞かせて帰宅した。
カップルノートに異様な内容の書き込みが……
それから207号室は、僕の担当になったのだが、やはり入室したときの違和感がハンパない。
それでも、清掃とベッドメイクをこなしていくのだが、風呂掃除をしていると洗面所からのパチパチという異様な音が止まらない、ベッド横からは誰かに見られている感じがする。
そんな中、すごく気になったのが、宿泊、休憩したカップルが思い出を書き綴るメモリアルノート。もちろん、この部屋にも置かれていた。それを持ち出し、休憩時間に内容に目を通してみる。その中身はやはり常軌を逸していた。
「この部屋は、薄気味悪いです。絶対に何かあった部屋だと思います」
「彼氏が頭を洗っていると、髪の毛を掴まれました。すごくコワいんですけど……」
「ベッドの下の数センチの隙間から足の甲がぬ~っと出てきました、誰か亡くなっていますよね? もうここには泊まりたくありません」
などなど、気持ちの悪い話が数多く並んでいる。や、やばいなこれ。
親しくなったパートさんにそのことを話した。“空室のはずなのにルームサービスの電話”があったりするこの問題の部屋は、社員はともかく、何が起こったとしてもバイト・パートの間では当然のことなのだという。「何度、このカップルノートを差し替えても、またこのような書き込みがあるから、もう諦めている」とのことだった。
その後、原稿が忙しくなった僕は、中途半端なところでそのバイトを辞めてしまったのだが、仲のいい男性バイトスタッフにその後を聞くことになる。
後日談
ここからは、後日談です。
僕の代わりにあの部屋の掃除担当になった女の子が、いきなり出勤しなくなり、精神を病んでしまったというのです。
しかもその後も、カップルで207号室を訪れた彼女の方が、突然わけのわからないことを叫びだし、舌を噛み切ったのだとか。
その後、その207号室は閉鎖。開かずの間になりました。
事件後に血まみれになったカップルノートの写真を撮ってきてくれた彼。
当時、それを雑誌に載せたときの写真がこれです。
正直、この世に霊がいるのかどうかはわかりません。しかし、世の中には説明のつかないこともあるというのが本当だと思う体験でした。
(C)写真AC
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