【ドイツ】中世のたたずまいを残す、1200年の歴史をもつ花の都エアフルト
かつて自由都市や領邦国家の集まりだったドイツは、地域ごとに多彩な表情に出会える地域色豊かな国。日本ではあまり知られていなくとも、驚くほどに美しい景色を有する町がたくさんあります。
そのひとつが、ドイツの中央部に位置するエアフルト。1200年もの歴史を有し、中世の頃から商業都市として栄えてきたこの町には「テューリンゲンのローマ」とも呼ばれる華やかな町並みが築かれました。
花の都・エアフルト
ドイツ・テューリンゲン州の州都エアフルトは、1200年もの歴史を誇る古い町。森に囲まれた盆地という立地から交通の要衝となり、中世の時代から商業都市として繁栄してきました。
宗教改革を行ったルターは、教区教会や修道院礼拝堂など、合わせて80もの教会施設があるこの町を、「塔多きエアフルト」とたたえたとか。第2次世界大戦の被害をほとんど受けなかったため、中世の息づかいが感じられる美しい町並みが残っています。
ゲーテ街道沿いに位置するエアフルトは、ゲーテがナポレオンに謁見したゲーテゆかりの地としても有名。ほかにもシラーやフンボルト、リストなど数多くの偉人たちが訪れたエアフルトは、ドイツの豊かな歴史と文化が育まれた花の都なのです。
大聖堂とセヴェリ教会
エアフルトを象徴する風景のひとつが、ドーム広場から見上げる大聖堂とセヴェリ教会。ドーム広場は、冬になると美しいクリスマスマーケットが開催されることでも知られています。
小高い丘の上に建つ大聖堂は、8世紀から15世紀にかけて建てられたドイツゴシック建築の傑作。その歴史を742年創建の礼拝堂にさかのぼり、1154年にはロマネスク様式のバジリカが、1349~1370年にはゴシック様式の内陣が造られました。
大階段の上に鎮座する、ギザギザの塔をもつ大聖堂は圧巻の迫力。外観の壮麗さはもちろんのこと、18メートル近い13枚のステンドグラスや、バロック時代の木彫りの傑作と称される17メートルの祭壇など、内部も見ごたえ十分です。
大聖堂の隣に建つ3本のとんがり屋根が印象的なセヴェリ教会は、13世紀に建設が始まった初期ゴシック様式の教会。大聖堂と並び見事なハーモニーを奏でています。
日中の姿ももちろん美しいですが、大聖堂とセヴェリ教会がライトアップされた夜の風景はひときわ幻想的。時間帯に応じてその表情を変えるエアフルトのシンボルに会いに行ってみてください。
クレーマー橋
(C) Haruna Akamatsu
もうひとつ、エアフルトのアイコンとなっているスポットがクレーマー橋。両側に古い木組みの家が建ち並ぶ美しい橋で、中世の時代には各地からやってきた商人たちでにぎわっていたといいます。上に建物が並び、人が住んでいる橋としては、ヨーロッパ最長なのだとか。
現在は、工芸品や骨董品、アクセサリーなどを売るショップやカフェが並ぶ人気の観光スポットになっています。
(C) Haruna Akamatsu
なかでも、チョコレート専門店「ゴルトヘルム・ショコラーデンマニファクトゥーア (Goldhelm Schokoladen Manufaktur)」は行列ができる人気店。パッケージもキュートな色とりどりの手作りチョコレートはエアフルト土産にぴったりです。
両側に建物が並ぶクレーマー橋は、渡っているあいだは普通の通りのようで、とても橋とは思えません。ところが、川の北側から見てみると、まぎれもなく橋。カラフルな木組みの建物が並ぶフォトジェニックな橋の姿を目に焼き付けておきましょう。
市庁舎
優雅な建築物が集まるフィッシュマルクト広場のなかでも、とりわけ目を引くのがまるで教会か宮殿のような市庁舎です。1870~1874年にかけてネオ・ゴシック様式で建てられたこの市庁舎は今も現役。
内部では、ワーグナーのオペラ「タンホイザー」やゲーテの戯曲「ファウスト」を題材にした壁画を楽しむことができるほか、壁一面にエアフルトの歴史が描かれた華麗なる「祝祭の間」を堪能することができます。
そうそうたる偉人たちをも惹きつけてきた歴史と文化の香りに満ちたエアフルト。日本人がまだ知らない、ドイツの珠玉の町へ出かけませんか。
[Photos by shutterstock.com]
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