おせちに合う日本酒の選び方
現代のおせちは多種多様な内容に
おせち料理の準備や購入申し込みのシーズンがいよいよやってきました。近年は自宅で作るよりも有名店で購入する方が多くなっています。事前にお料理の内容が把握できるのはお酒選びにとっても便利です。
事前に内容が判るということは年末年始に備え今から色々とお酒選びも出来ると言うことです。
おせち料理の具材も年末に近くなればなるほど高値になってきます。そして人気の日本酒も入手が難しくなるものも多々出てきます。早めの準備が何よりですね。
お節料理は地方によって大晦日に食べてしまう地方もあれば元旦に食べる地方と習慣も様々です。私の住む北海道では大晦日に「お節料理」を食べ尽くしてしまいます。不思議な習慣と思われる方も多いともいます…。
「御節」とはそもそも季節の変わり目の「五節句」のお祝い事の際に食べられていた宮廷料理です。江戸時代に庶民に広がり現在は新年を迎えるお正月の風習だけが残ったもの。
日本中で伝統的に続く習慣ともいえます。
「御節料理」の内容は伝統的なものから現代風にアレンジされた中華料理、イタリアン料理、フレンチ料理などなど今では多種多様になっています。
日本酒のマリアージュの基本を紹介
おせちも多様化していますが、お酒も多様化しています。単純にやはり日本酒ならなんでも!と言うわけにはいきません。年代や各地の特産酒との取り合わせなどは無限とも言えます。
しかし神事と歴史的にもつながりを持つ日本酒はその中でも別格です。日本酒の持つポテンシャルの素晴らしいところは、どんなお料理でも幅広いくマッチングするところにあります。
お料理とのマッチングとは「マリアージュ」のことです。お料理とお酒の相性のことです。
日本酒のマリアージュの基本は日本酒のタイプに因ります。
「薫酒(くんしゅ)フルーティーな香りの高いタイプ」
「爽酒(そうしゅ)軽快でなめらかなタイプ)」
「醇酒(じゅんしゅ)芳醇な味わいでコクのあるタイプ)」
「熟酒(じゅくしゅ)熟成した濃醇なタイプ)」
4タイプに分かれます。
マリアージュは単純には語れませんが基本があります。
「同調」と言われる、お料理とお酒の香味との共通点を組み合わせること。そして何より判りやすいのは「色のマリアージュ」です。お料理の仕上がりの色とお酒の味わいや色の濃淡で組み合わせることです。そして「土地のマリアージュ」。御節の素材の産地とその地域で造られるお酒との組み合わせです。こだわりのある地酒と素材の原産地と組み合わせる至極の贅沢なマリアージュと言えるでしょう。
お節料理は素材の味わいを生かしたシンプルな味付けからしっかりとした濃厚な味付けまで幅広いお料理がぎっしりと詰まっています。
日本酒ソムリエとしてはピンポイントで合わせたいところですが、各家庭でお正月と言えども何種類もの日本酒を用意するのは大変なものです。
オールマイティな純米吟醸がおすすめ
そこでおすすめするのが「純米吟醸」のコクがありそして香りも楽しめるオールマイティーなタイプです。性別や年代も問わず、そして何より日本酒を普段余り飲まない方にも人気の高いタイプです。
純米酒のコク味も兼ね備え、肉から魚料理にも幅広い相性が生み出されます。「困ったときの純米吟醸」ですが、せっかくのお正月ですのでちょっと財布の紐を緩めて最高峰の「純米大吟醸」でも良いでしょう。
日本酒の通でしたら「純米酒」がお勧めです。ちょっと燗を付けて徳利でぐい飲みを傾けながら舌鼓を打つのも乙なものです。ちょっと贅沢な日本酒を早めに確保しておきましょう。早めに手に入れてお正月になる前に飲んでしまわないように!
(鎌田 孝/利酒師)
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