30秒後に地震が起こるなら何をする? 震災経験者と非経験者ではこんなに違った!
東急コミュニティーが11月16日に発表した防災アンケートでは、過去の震災で被害に遭った経験者とそうでない非経験者の、家庭で行っている災害対策を比較している。回答結果を分析すると、経験者ならではの違いも見られたという。どういった点が違うのか?詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「災害対策の実態や防災意識に関するアンケート調査」結果を発表/東急コミュニティー
災害対策は3つのリスクへの備え、とりわけ「命のリスク」を重視すべし
まず、震災被害経験者と非経験者で違いが見られた項目について、カテゴリー分けをしたところ、対策をすべき3つのリスクが浮かび上がったという。
●命のリスク
●ライフラインのリスク
●生活必需品のリスク
以上の3つのリスクに対して、皆さんはどの程度の対策を行っているだろうか?【画像1】Q.あなたがご家庭で災害に備えて準備しているもの、対策していること(複数回答)(出典/東急コミュニティー「災害対策の実態や防災意識に関するアンケート調査」より転載)
同社は、過去の大きな震災で最も多かった被害が「家具や家電製品の転倒」だったことから、3つのリスクの中でも「命のリスク」を優先させる対策を行うことが重要だと指摘している。生き延びるための被災後の対策は、生き残ることが前提だからだ。
事前に災害発生を想定して、どういった行動をとるか確認すべし
次に、被災経験者と非経験者で違いが見られた行動としては、家族との話し合いや確認が挙げられる。
特に「家族で災害発生時の想定や行動を話し合った」、「家族と災害時の集合場所や連絡方法を確認した」で差が大きく、経験者のほうが災害時の対策について家族と確認していることが分かる。【画像2】Q.あなたが災害を想定して行ったこと(複数回答)(出典/東急コミュニティー「災害対策の実態や防災意識に関するアンケート調査」より転載)
また、「在宅の際、もし今から30秒後に震度6弱以上の地震が起きるとしたら何をするか?」(自由回答)を聞いたところ、「わからない」「何もできない」など、行動を起こさない回答が、非経験者では経験者の1.6倍(経験者12.0%:非経験者19.4%)もあり、「安全確保」や「避難準備」などの具体的な行動を想定できていないことも分かった。
マンション内の「共助」体制も整えるのがよし
調査結果では、マンション内で近隣世帯を助けようとする「共助」意識は高く、特に総戸数500戸以上の大規模マンションでは「災害時の飲食の備蓄」や「災害マニュアルの策定」などの取り組みを行っているという認知率が高いことも報告している。
災害時には、自分や家族を守る「自助」、マンション内や近隣住人と互いに助け合う「共助」、自治体などによる「公助」の3つの役割分担が重視される。特に大規模な災害になると公助に限界があることから、自助、共助による備えが重要とされている。
会社などでは、共助の体制が急速に整いつつあるが、会社に勤めていない人や勤務時間外などには、地域社会の共助がカギになる。地域コミュニティーがいかに形成されているかが問われるところだ。
ところで、東日本大震災のとき仙台で被災した、ある人にこんな話を聞いた。「管理組合の活動が円滑でマンションのコミュニティーが良好だと思っていたが、実際に被災すると役割分担ができていなかったので、共助が働かなかった」というのだ。
つまり共助が機能するには、「助けたい」という意識だけではダメで、具体的に被災時に誰が何をどのように実行するかをあらかじめ決めておかないと何もできないということだ。
振り返って調査結果を見ると、「近隣世帯に声をかけ、困っている人を助けたい」という意識は78.6%と高いものの、管理組合の防災・避難訓練への参加は38.5%と4割にも満たない。一方、500戸以上の大規模マンションでは規模が大きいだけに、管理組合で積極的に行事やイベントを開催したり、防災用品の備蓄や災害対策マニュアルを策定したりといった具体的な対策に力を入れている事例が多いので、それが結果にも表れている。
災害対策としてどれだけ“具体的な準備”をしているかが、自助であれ、共助であれ、決め手になるということだ。
調査結果を受けて、同社は「震災体験の有無にかかわらず防災に対する意識や備えが不足している」と警鐘を鳴らしている。家具の固定や転倒防止策を施している割合は、被災経験者であっても28.5%とまだまだ低い。大きな災害が起きたときだけでなく、日ごろから万一に備えた防災対策をしっかりとるようにしてほしい。
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