人と人とのつながりが重要な社会って良い社会なのだろうか
今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
人と人とのつながりが重要な社会って良い社会なのだろうか
「ぶっ飛んだことを書く時は、とことんぶっ飛んだことを書かないと面白くない」2012年04月07日『メカAG』
http://mechag.asks.jp/460339.html
このエントリの続き。
なんでもお金で解決する貨幣経済は終わりで、これからは『Twitter』とかでの人と人との心のつながりが重要視される経済になる……という話が流行のようだ。
でもそういう社会ってホントに良い社会なの? これって前時代的なムラ社会の姿に見えるのだが。現代の社会はお金を持っていれば誰でも物が買える。イケメンだろうが身なりが貧相な人間だろうが、みんなから好かれている人間だろうが、嫌悪されている人間だろうが、100円出せば、100円相当の物を売ってもらえる。
でも現在でも“一見さんお断り”というシステムが残っているように、客を選ぶシステムもある。お金を出しても物を売ってもらえない。相手に気に入られなければ売ってもらえない。
この客は気に入ったからサービスしてやろう、この客は気に入らないからいくら金を出しても売ってやらない。それが極端になると村八分とかになるわけだ。
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別にホリエモンのようにお金を賛美するわけではないが、お金がこうした前時代的風習のマイナス面を解消しているのは確か。人間同士のつながりと経済を切り離すことで、多種多様な価値観を持つことが許されるようになった。
ムラ社会では価値観が異なる人間はその共同体では生きていけない。そして人と人とのつながりというのは、だいたいにおいて自然に階層を生む。現在の『Twitter』も少数の有名人の意見に大半の人間は盲従している。一部の有力者が力を持ち、そこにお布施……じゃなかった贈与が集まる。そしてその周りに人間が群がる。その流れに従わないものは共同体から排除される。
結果的に確かにみんな(その共同体が共有する価値観に照らして)良い人だけが残る。みんな良い人ばかりだし、自然とその価値観に合う行動をとる人が増える。ポジティブフィードバックがかかる。良いことをする人間が得をする社会。すばらしい!
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人と人とのつながりが動かす社会というのはそういう社会だと思うのだが、ホントにみんなそんな社会を望んでるんですかね?
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追記
やっぱこういう馬鹿がいるのか。
違う。評価経済は先祖返りでなくムラが消滅した顕れ。ネットと携帯によって社会は構造を変えた(例・都合の悪い人間関係即切り)。評価(贈与)経済論は新手の道徳(こうすれば社会はよくなる)。今や経済だけが道徳の土台
道徳が一元化され多様性が失われた場合に、間違った方向へ暴走する危険を言ってるのだが。戦前の皇国史観も道徳の一種だよね。ネット時代は都合の悪い人間関係を切れるとかも、問題は“切れる”ことではなく“切られる”こと。自己中心的にしか考えられないから、自分が他者を“切る”ことしか考えず、他者から“切られる”リスクが現状より増大した場合のことなど、思いもよらないのだろうな。
こうやって下々の人間が社会のあり方について疑問を差し挟む(現状の否定)ことが許されるのも、それによって経済的不利益を被らないからなのだが。
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こういうの考えるときに、前提としているムラあるいは共同体ってのは例えば中国には存在しないってことを考えるといいと思うんだよね。村八分って言葉は中国にはない。であるがゆえに存在する血縁のつながりだとか。
別にインターネット時代のムラ社会が、過去にどこかの場所で実在したムラ社会である必要はないわけで、ムラ社会というのはたとえに過ぎない。こうたとえればくどくど説明しなくても、一発で伝わり手間が省けるという程度のこと。“たとえ”というものは“説明”の手段であって、“証明”ではないわけで、これを勘違いしている人が多い。「猿カニ合戦のようなものだ」という場合、猿カニ合戦が実在する必要はない。
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追記2
はてブとかで“コミュ障”うんぬんという話をしている人は、“価値観の違い”と“コミュ障”とをどう捉えているのだろう?“価値観が違う”=“話し合いで同じ価値観になれない”=“コミュニケーション下手”ってことなのだろうか?
価値観が同じになれないのは“障害”=“忌むべきもの”という捉え方をしている時点で、この国がいかに病んでいるか、気分が鬱々となるな。この国はムラ社会が合っているのかもしれない。そういう国は変化も発展もないけどね。子供の頃から周囲と同じ価値観になることが正しいと教育されてきたのだろうな。価値観が違う人は、それが“できなかった”人なわけだ。
参考サイト:
共同体 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E4%BD%93
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
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