【ベイカー恵利沙の憧れNY】情報収集が難しいうえに物価の高いNYで、素敵な家を見つけるには?
モデル/スタイリストのベイカー恵利沙が綴る、NYでの生活。今回はまず、お気に入りのおうちを見つけるまでの“引っ越し”奮闘記をお送りします。
はじめまして、ベイカー恵利沙(えりさ)です。モデルとスタイリストをしています。
アメリカ人の父を持ち、6歳から20年以上、日本で生活してきました。でも自分の一部、そしてルーツでもあるアメリカのことをもっとよく知りたくて、この9月からNYに暮らしを移しました。滞在は半年間の予定。英語は話せるけれど、大きくなってからアメリカで暮らすのは初めて。
そんな私のNYライフスタイルを、期間限定連載でお届けします!
第1回は、NYでの引っ越し。
「ニューヨーカーは常に仕事とボーイフレンド、そして家を探している」というのは『Sex and the City』の主人公・キャリーの有名なセリフですが、わたしがNYに来たころ「家を探しているの」とニューヨーカーに伝えると「that is the worst thing happens in your life!(それは人生のなかでも最悪な出来事だね!)」 って、言われていました。
それくらい、NYの家探しは大変で、そして“最悪”の出来事でもある!
何がそんなに大変にさせるかという、さまざまな理由をまとめてみました。
1、とにかく物価が高い! そこそこのエリアで一人暮らし、家賃は約30万円
NYに来てから、東京って物価が安い! と思います。(来る前はそんなこと思ったことがなかった)
だからか、NYでは一人暮らしってほとんどありえない。みんなシェアハウスに暮らしています。
都心のマンハッタンで治安のよい場所、なんていったらとても家賃は払えないので、マンハッタンの中心部というチョイスはさっそく外します。
学生や留学生といった日本人が多く住むエリアは、ハーレム(マンハッタンの上の方)、ブルックリン、クイーンズなど。
私はずっとブルックリンに憧れてきたので、ブルックリンの真ん中あたりで探していました。
数年前はブルックリンも安かったようですが、いまはかなり状況が変わっています。NYは本当に流れが速くて、物価も数年で変化するそう!
▲治安がかなりよくなって、おしゃれなカフェやお店が増え、おしゃれな若者が移り住み始めたら、人気が急上昇。
ブルックリンのなかでも安心して暮らせる治安で、ある程度はマンハッタンに出やすい(といっても30分から40分はかかる)4名シェアハウスの平均家賃は「750~1200ドル」。
1ドル=112円で日本円に換算すると、8万4000~13万4400円!
この金額を払って、お風呂とトイレとキッチンは共有。自分のスペースはお部屋だけ!(それもあまり大きくないことが多い)東京なら、都内の便利な場所で十分に一人暮らしができる家賃です。あぁ、東京ってすごく良心的!
マンハッタンにこだわるなら、シェアハウスでもさらにこの1.5倍くらい。一人暮らしをしたいなら、ブルックリンやクイーンズの少し奥でも2100ドルくらいからかなぁ。つまりNYでの一人暮らし、安くても23万5000円から也! 映画で見るような素敵なところを想像しちゃうと2万5000ドル、つまり28万円くらいから。
マンハッタンの一人暮らし、の家賃については考えたこともありません(笑)。
2、家探しのツールは掲示板やアプリが定番。素人同士のコミュニケーションが難しい
NYの不動産仲介手数料は、年間家賃の約15%(高い)。となると、転勤で会社が支払ってくれるパターンでもないかぎり、不動産屋さんからは借りづらいというのが実情です。だからみんな、掲示板やアプリで家を探します。
大家さんやルームメイトが自分で投稿して直接やりとりをするため、素人同士のコミュニケーションは、スムーズにいかないこともしばしば……。誰でも投稿できる匿名のサイトが多く、なかには詐欺や嘘の投稿もあったりして、注意が必要です。
サイトから「まぁ、アリな条件!」と思う家に出会うこと自体にとても時間がかかります。わたしはアメリカに来る1ヶ月前くらいから、毎朝6つくらいの掲示板で新着投稿を確認して、電車のなかでも、夜寝る前にも同じことをして、の繰り返しでした。
「ここはいいかもしれない」と思う家があったら、簡単なプロフィールを付けて直接その投稿をした相手に連絡をするわけだけど……ほとんどの確率で返信がありません(!!!)
FacebookでNYの家探しグループにも入っていたけど「まあまあアリかなあ?」と思う条件の投稿でも、5分もすれば「i text you!(連絡しました!)」のコメントが30件は並ぶ。とにかく早い者勝ちで、そもそもライバル多しなのです。
3、書かれている条件と実物が全然違う! 内見は絶対に行かなきゃダメ
安くていい家って、NYにはありません。それでもなんとか良さそうな物件を見つけて、連絡をして、返信がもらえたらようやくスタート。すぐに決めたくなっちゃうけれど、内見は必ず行ってください! というのはもう、絶対のアドバイス。
掲載されていた写真と実際の家がなんだか違うのなんて、かわいいもの。
まだわたしが日本にいる間、NYに住んでいる友人に代理で見に行ってもらった部屋には、なんとドアが付いていませんでした。しかも私以外のシェアメイトは4人とも男性。そんななか、わたしの部屋だけドアなしであけっぴろげ! ドアがないこと、普通は情報として書くと思いません?
庭付きと言われていた部屋は、行ってみたら庭なんて見当たらない。「どこに庭があるの」と聞くと「その窓の向こうだよ」って……わりと高めの位置にある小さな窓から出入りできることを、庭付きと言っているのです。しかもなんだかうれしそうに「its all yours!(お庭は全部あなたのものよ!)」って、かわいいご夫婦の紹介だったから、もうかわいいなと思うしかなかったけれど! 自分の部屋なのに窓から出入りって、泥棒みたい!(笑)
またある物件では、外まで裸足で迎えに来てくれたガールズたち。散らかり放題の部屋に案内されて「部屋をキレイに使ってくれる人を探しているの(*^^*)」と言われ……あなたたち、裸足で外を出歩くのに!?
家探しで押さえておきたい条件は、ランドリーと複数の交通機関!
800~1000ドルの家賃とブルックリンエリア以外で、私が家を探すときに条件にしていたのはこちら。
・家具付き
私は半年滞在の予定なので、1から家具を買い揃えるのはお金も手間も大変! だから、家具付きはマストでした。ただ、家具付きにするとやっぱりぐっとチョイスは減るので、1年以上いる方はこの条件は外してもいいかもしれません。
・シェアメイトに女の子もいる
実際住んでみるとほとんど会うこともないのが実情なのですが(家にもよるだろうけど)、なんとなく女の子もいた方が安心かなぁと思っています。
・コインランドリーやスーパーが近くにある
NYの家って、基本的に洗濯機がありません。みんなコインランドリーを使います。日本の暮らしに慣れていると、洗濯のために外出することがもう面倒に感じてしまうので、それが10分も15分も歩いていくとなるととても億劫!
いまの家は1ブロック内にコインランドリーもスーパーもあります。洗濯している間にスーパーに行き、洗濯が終わるころランドリーに寄って乾燥機に移し、乾燥している間に家の掃除をして、またランドリーに取りに行く……なんてことができるので助かっています。
・最寄りの駅が近く、使える路線が2つ以上ある
この条件は周りのみんなに教えてもらったのですが、住んでみると本当に納得! 日本の電車って、天才です。こちらの電車、平気で運転するのやめちゃいます。本当に!
今朝も、家を出ていつものように駅に向かったら、駅の入り口に立ち入り禁止のテープが乱雑に貼られていて「今日は動きません!」って、張り紙。
「夜はここには止まりません」「何時以降は逆方向に進みます」「この駅からこの駅は電車運休します」なんてことも当たり前! こんなに不規則に運転させるのって、逆にすごく大変なのでは!? と毎日思っています。
しかもほとんどのお知らせは張り紙。ホームで「なかなか電車来ないなぁ、でも来ないのも当たり前だしなぁ」なんて待っていて、ふと柱を見ると「今日はこの線お休みします」の張り紙が! なんてこともしょっちゅう。最近は慣れてきたので、早めに察知できるようになりました。
なので、最寄りの駅が1路線だったり、近くに他の駅がなかったりすると結構大変!
私の住んでいる駅はラインが2つ、バスも何本かあって、徒歩15分以内に他の路線が通っている駅もあるので、なんとか助かっています。
こうしてわたしが見つけた家は、プロスペクトパークの上のあたり、「BEDSTUY」と呼ばれるエリアにあります。これから人気が出てどんどん家賃が上がるだろうと言われている、いまホットな地域。とはいえまだ家賃はそこそこ安いので、狙い目です。
駅からすぐ、家賃875ドルで家具付きの、とてもいい物件! 私は公園が好きなので、プロスペクトパークがわりと近いところも気に入っています。
▲ランニング中に出会ったプロスペクトパークのスワン。NYは自然がいっぱいです
地下に大家さんが住んでいて、上の2フロアにわたしとシェアメイトたちが暮らしています。NYは建物がとにかく古く、この家もなんと100年以上前からある建物。でも、大家さんがとても大事にキレイに手入れしているので、レトロでとても素敵なお家です。
大家さんのいる物件は、暮らしの自由度が少し減るというか、厳しいルールがあったりします。うちは「タバコ禁止」「うるさくするの禁止」「酔っぱらって帰宅は禁止」。でも、私はパーティー系ガールではないからむしろそのルールが好き。おかげで毎日穏やかに生活しています(笑)
▲レトロな家具のなかでも特にお気に入りの、小さな洗面台。鏡もとてもかわいい♡
仮の住まいを確保しておけば、実際の物件や周辺エリアをしっかりチェックできる
とにかくなんだか面白いネタが集まっちゃう家探し、いま思い返すと楽しいけれど、当時はなかなか大変でした!
結局わたしはしばらく知人の部屋に居候をして、そのあとはネットで見つけたサブレット(短期貸し出し)の家に1週間ステイ。その間に毎日ネットで探して内見に行き、ようやくずっと住みたい家が見つかりました。
なので、渡米1ヶ月で2回の引越しをして、すでに3件目の家。一人暮らしも家探しも引越しも全部はじめてだったので、思えばすごい経験! NYは場所によって本当に表情が変わる街なので、3カ所に住む経験をしたのは結果的にとても面白かったなあと思っています。
できれば渡米前に家を決めたい、と思うかもしれないけれど(私もそうでした)、やっぱり自分の目で、土地や治安や街の空気も確かめてから決めてよかったなと思います。なので、これからNYに来る予定の方は、最初は『Airbnb』やゲストハウスなどで1ヶ月ほど住む場所を確保しておいて、その間に内見を繰り返して家を探すのをおすすめします。
家探しのお役立ちツール
<日本人向けのサイト>
日本語でやりとりできるため、英語が不安な方も安心!
内容がほとんど重複しているのも事実なのですが、たまにこのサイトにしかない物件も見つかるので、全部チェックしておくのがおすすめ。
add7
一覧表示でしか見られないけれど、おそらくもっとも定番のサイト。
mixb
家賃とエリアで検索がかけられるのが便利。
びびなび
写真からの検索も可能! イメージ優先の方に。
<現地のサイト>
やりとりはすべて英語になるけれど、やはり物件数が圧倒的に多い!
Craigslist
物件数は多いけれど、匿名投稿のため嘘の投稿も……注意して見て!
StreetEasy
細かい条件の指定ができるうえ、サイトも見やすい。現地の人たちにオススメされたサイト
NakedApartments
新着情報がとにかく多い。希望路線からの検索ができるのもうれしい。
「Pacoma」はホームセンター系のフリーペーパーに出自を持つ、「暮らしの冒険」がテーマのライフスタイル系Webマガジン。ノウハウ記事からタレントの取材記事まで「暮らしを楽しむためのアイデア」をテーマに日々発信しています。
ウェブサイト: http://pacoma.jp/
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