自動車愛好中高年よ、あきらめるな。「空冷ポルシェ 911」を計画的に攻め、末永く慈しもうじゃないか!
▲「人生も後半」といえる年齢になると、ついつい守りの意識が強くなるもの。しかし、そこで「逆にポルシェ 911を買う!」ぐらいの勢いを持った方がいいのかもしれない
「現状維持」で地味に生きるのか、それとも攻めに出てみるか?
不惑と呼ばれる数え年40歳ぐらいだと、まだまだ十分若い感じではあるはずだ。しかし男も40代後半~50代ぐらいになると、なんとなくだが「終わり」が見えてくる。
や、実際この秋50歳になる筆者もまだまだ浮世とオサラバするつもりは毛頭なく、それどころか長生きしてやろうとすら思っているわけだが、様々なタイムリミットは目に入ってくるのである。
車に関することだってそうだ。
運転自体は(たぶん)75歳ぐらいまで問題なくできるのだろうが、欲しい車を買うための財力や気力などは、どうしたって年齢とともに低下していくのが一般的である。
そんな折、我々「自動車愛好中高年」は果たしてどう生きるべきなのだろうか?
このまま「現状維持」といったニュアンスで何となく日々を過ごし、テキトーな実用車を必要に応じてのみ買い替えるという「守り重視」の人生終盤を送るのか? それとも、何らかの形で「攻め」に打って出るのか?
……無謀無策な攻めに出るべきでないのは明白であろう。そしてもちろん、この問題に関する見解は人によっても異なるだろう。しかし、せっかくの人生なのだからして「中高年だからこそ計画的に攻めに出たい!」とは強烈に思う筆者である。
例えば、攻めの一例は「ポルシェ 911を買う」ということだ。
▲世界的名車、ポルシェ 911。「……自分には縁のない車」と思うかもしれないが、意外とそうでもないのだ
「現役世代のうちにとりあえずローンを支払ってしまう」という考え方
実用的にも趣味的にも使える名車、ポルシェ 911。それを、とりあえずローンが支払える年齢のうちに入手する。そして何年かかけて完済し、その後の人生終盤を落ち着いた心持ちでポルシェ 911とともにじっくりと歩むのである。
……ここで「ポルシェ買うカネなんかねえよ!」という声が聞こえてきそうだが、安心してほしい。筆者だってそんなカネはない。
しかし世の中には「オートローン」という便利なものがある。それを使えば、例えば筆者のように、ごく一般的なお財布事情の下に生きている中高年であっても、ポルシェ 911を買うことは決して不可能ではないのだ。
そして、まだまだ気力も経済力もそれなり充実している40代後半または50代ぐらいのうちに、ローンをとっとと支払ってしまう。……それが、この攻撃計画の基本というか骨子である。
▲GT3やターボなどの特殊なグレードではなく、普通のカレラ系を狙う。ローンを組みさえすれば決して手が届かなくもないのがポルシェ 911のユーズドカーというものなのだ
「途中で返済不能になったらどうするんだよ? それでなくても中高年はリストラやら健康面の不安があるというのに……」
そんな声も聞こえてきそうだ。しかし、この点においても安心していい。そういうリスクもあるからこその「計画的な攻め」である。
我々は、ただの911ではなく「なるべく資産価値の高い911」を買おうじゃないか。そして何らかの事情で返済が厳しくなった際には、(残念ではあるが)とっとと売却しようじゃないか。
そうすれば、その時点での残債を完全クリアにできるかどうかは微妙だが、そうひどいことにはならないはずなのだ。
「資産価値」重視で考えると、狙うはMTの空冷世代か
では「資産価値の高いポルシェ911」とは、具体的にはどれのことを指すのか?
例えばタイプ991のGT2 RSなどは強烈な資産価値が見込めるわけだが、その分お値段の方も強烈で、新車価格は3656万円。……富裕層の方にはどんどん買っていただくとしても、筆者のような非富裕層はとてもじゃないがローンでも買えやしない。
手頃な中古車価格で狙えるタイプ996は、購入価格が手頃な分だけリセール価格も「手頃」であることが濃厚に予想される。その後のタイプ997のカレラ系は、低走行物件は今のところまずまずの資産価値を維持しているが、将来的なリセール価格は少々気になるところ。そしてタイプ991の低走行物件は、率直に申し上げて筆者のようなド庶民にとってはまだまだ高い。
……となると、狙うべきはやはり空冷世代のタイプ964またはタイプ993だろう。
▲こちらがタイプ964こと第3世代のポルシェ 911。大部分は新設計になったものの、それまでのポルシェ 911と非常に近いビジュアルから今も大人気の空冷世代。5MTカレラの支払総額は600万~1100万円といったところ
▲こちらは最後の空冷911となったタイプ993。ポルシェ 911伝統のフロッグアイ(カエルの目のようなヘッドライト)ではなくなったが、これはこれで今も大人気。6MTカレラの支払総額は700万~1200万円付近
改造車や修復歴のある個体、過走行車はその限りではないが、比較的低走行なこれら空冷モデルのノーマル車は、世界的に見ても非常に需要が高い。もう二度と造れないタイプの車であり、良質な個体の流通量は年を追うごとに減少している半面、手に入れたい人の数はまったく減らないため、いつまでたっても強烈な資産価値をキープできるわけだ。
そして一時は鬼のように高騰していたその中古車相場も、ここ最近は若干の落ち着きを見せている。
コツコツ直しながら長~く慈しもうじゃないか!
▲このシブいたたずまいは中高年にこそ大いに似合うと思うのだが、どうだろうか?
まぁ「落ち着きを見せている」といっても数年前と比べればかなり割高なのだが、それでも支払総額で800万円ちょいも見ておけば、まずまず低走行なフルノーマルに近い5MTまたは6MTのカレラ系を探せる。高いが、1年前にくらべればこれでもずいぶんマシであり、そしてローンの組み方次第では、筆者のような一般人でも買えなくはない総額だ。
メンテナンスについても心配はいらない。や、「心配いらない」といっても「壊れない」という意味ではなく、やっぱり壊れるときは壊れるだろう(機械ゆえ、当たり前の話だ)。しかし空冷世代の911というのは、
1. そもそも直し直ししながら長く乗り続けることができた時代の設計である。
2. その筋の専門店も多いため、比較的安価に直すためのノウハウが十分蓄積されている。
という2つの理由により、大人としてある程度の整備予算さえ用意できるのであれば、過剰な心配はいらない類の車なのだ。電子仕掛けの車と違って「意味不明な壊れ方」はしないのである。
で、それをローンで買う。具体的なローンの組み方は人それぞれだろうが、例えば総額800万円のタイプ964に頭金200万円を投入し、金利4.9%の120回均等払いにすると、月々の支払額は筆者独自計算で「6万3346円」。それなりの大人であれば、支払えなくはない金額だ。そして購入したそれを長く深く、静かに、しかし熱く、人生終盤において慈しむ。
筆者からの提案はとりあえず以上だ。……ご同輩たる中高年各位よ、どうだろうか?
【関連リンク】
ポルシェ 911 タイプ964/タイプ993のカレラ系MT物件をチェックしてみるtext/伊達軍曹
photo/ポルシェジャパン
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