新日本プロレス・真壁刀義インタビュー(上) 「ドラマや映画に出るのもリングと同じ覚悟だ」

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「暴走キングコング」の異名を持ち、IWGPヘビー級ベルト戴冠や『G1 CLIMAX』優勝などを果たし、デビュー20周年を迎えた現在でも新日本プロレスの第一線で活躍している真壁刀義選手。同時に日本テレビ『スッキリ!!』では“スイーツ真壁”としてお菓子の食レポでお茶の間のお馴染みとなり、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『キングコング: 髑髏島の巨神』では日本語版吹き替えで声優を務めるなど、幅広い活躍を見せていましたが、2017年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』で龍雲党の一味のひとり・力也役として出演して大きな話題となりました。

プロレス界に留まらない活躍を見せていて、超多忙な中な真壁選手。ガジェット通信では、そんな真壁選手のインタビューに成功。大河ドラマに出演にあたっての裏話からタレント活動とレスラーを両立させる秘訣までお聞きすることができました。

「俺の仲間だったらどうなるのかなと考えて力也役をやった」

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ーーNHK大河ドラマの『おんな城主 直虎』に力也役で出演されています。オファーを受けた時にどんな気持ちでしたか?

真壁刀義選手(以下、真壁):正直びっくりしたね。マネージャーに何回も聞き返したりして。「大体、なんで大河が俺に声かけるんだよ」って話で。「冗談言わないで本当のこと言えよ」と言ったら「本当なんです」と。もう覚悟は決まってるじゃない? やるしかないもんな。もう一生懸命やったよ。

ーーこれまでにも『マッドマックス』や『キングコング』の吹き替え役もやってらっしゃいますが、そういった演技力が生かされた?

真壁:いや。生かされたというよりも経験値だな。

ーー経験値。

真壁:おそらく、いきなり大河のドラマを「さあ、演じてみろよ」って言われても多分何もできなかったね。だけどよ、いろいろな声優の話であり、真壁刀義として出た役であったりとか、その時の度胸や経験値だと思うんだよ。それがすごく役に立ったかな。あとは撮影の前に演技レッスンを受けたりとか、本当に先生には世話になって、それら全てなんじゃないかなとは思うね。

ーープロレスラーがプロレスラー役を演じることは、真壁選手もなさってますし、ほかのレスラーでも多いと思うんです。でも、今回は力也というキャラクターの役づくりをされたと思います。

真壁:まず、俺がなぜオファーを受けたのかってことだよね。もともと力也って屈強な木こりだけど、故郷でいろいろ問題を起こしてしまっていられなくなったわけだろ。荒々しさであったりとか正義にはうるさいという力也は、自分の考えには正直で人を裏切らない。だから力也を演じるというよりも「これが俺の仲間だったらどうなるのかな」っていうことを考えながらやった。

ーー力也の性格とご自身が合致するところが多かったと。例えば真壁選手のプライベートであったり、選手としてリングに立つ事と通じる部分はありましたか?

真壁:もちろん。自分自身がリングに上がるときの感覚と同じような覚悟。ドラマや映画の吹き替えだとNGになってて撮り直すことがある。だけどよ、リングだと撮り直しなんて存在しないんだよ。そういうことを考えたら全部勝負なわけでね。その一瞬の勝負に賭ける覚悟を大河でも出させてもらった。

ーー常日頃リングでも言っていらっしゃる「ハート」というお話ですね。

真壁:そういうことだね。

ーーもちろんオファー次第だと思うんですけれども、今後も役者として活動していきたいと思いますか?

真壁:やりたいね。今まで僕が接した龍雲丸役の柳楽優弥君だったり、カジ役の吉田健悟君だったりとか話していると、学ぶことも多いし、「役者たちは役者たちで本当に命かけてやってんだな」っていうのがすごい分かるんだよ。だからこそ俺はプロレスラーでありながら、大河でも俳優をやらせてもらって、プロレスを広げたい。ドラマに出れば出るほど「この人、プロレスラーなんだ!」となって、観てくれる人たちの家の近くに新日本プロレスが興行にきた時に、会場に足を運んでくれるかなと。興味を持ってくれるかなってなるよね。

「チャンスをもらってそれを活かさなかったら俺こそクソだなと思った」

      
ーーテレビや映画に出演されることとプロレスラーを両立することは大変だと思うんですけれど、その秘訣がもしあれば教えてください。

真壁:それは簡単な話だよ。覚悟。俺がしょうもない覚悟でリングに上がったら面白くてすげえ試合なんて見せることなんてできないだろ? 自信がないレスラーはリングに上がったらすぐわかるんだよ。だから俺は最大限の努力をして最大限の身体でリングに上がる。「練習は嘘をつかない」っていう言葉があるだろ? 練習してはじめて言い訳っていうのができるわけであって、練習しないで言い訳だけ言うってとんでもない話だからな。

ーー今おっしゃった覚悟が、テレビや映画や『スッキリ!』に出演される事でも一緒だということですね。

真壁:もちろん! 俺もさ、『スッキリ!』をやらせてもらったとき、最初は「早く終わらないかな…」って正直思ったこともあったよ。あまりにも苦しくて。だけど途中であきらめるのって誰でもできるじゃねえか? これだけのチャンスをもらってそれを活かさなかったら俺こそクソだなと思ったのね。だから、言い回しや表現の仕方を勉強しようと。スイーツに限らず、他の食レポしてる人たちを見まくって、そのポイントを自分の食レポで取り入れるようにしていった。

ーー研究したということですね。

真壁:そう。まさか3年半も続くとは思わなかったけどよ、ありがたいよな。あの時諦めていたら今もないと思うから。だからやっぱりやってよかったなと思うな。

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ーー先程もお話しにありましたが、レスラーとして芸能活動するのはプロレスを広めるという目的があるわけですよね。

真壁:そうだね。俺としては世間一般のプロレスの認知度を上げたいんだよね。だから、プロレスラーとしても活躍ながらメディアにも、もっとたくさん出るよ、俺は。そうしないと始まんねえから。今よ、新日本プロレスって他団体から比べたらメジャーって言われてるよ。俺もだけど他の選手もみんなそれなりに名前が知られてきたよ。だけど100人が100人は知らないでしょ。まだスタートしてねえんだから。100人が100人知ったところからスタートするからさ、新日本プロレスが。そこまでもってかなきゃいけねえよな。

ーーその中で真壁選手は出来ることをやっていく、と。

真壁:とにかく俺はメディアだよね。メディアで真壁刀義っていう人物像や見た目をどんだけお茶の間の人に轟かせるかだよね。今、「ああ、このスイーツの人でしょ」って分かってくれ始めているから、それをもっともっと広げて。「このガサガサの声、本間(朋晃選手)だ」とか「この髪型の変わったやつ天山(広吉選手)だ」とか「おバカな人、中西(学選手)でしょ」とか「(獣神サンダー)ライガー(選手)でしょ」とか、そういう認知度もどんどん上げていきたい。上げていった時にはじめて皆がスタートラインに立つと思うんだよね。だからまだスタートしてないよね。まだまだ足踏み状態だと思うから。これからだよ。

ーーただ、選手の中では考え方が違う人もいると思います。内藤哲也選手は、メディアや芸能をやるのならば「そっちに行けば」といった内容のコメントをされていますが。

真壁:俺からすると「お前はかわいそうだな。口で言ってることとやってることが全然違うな」って。だって内藤はよ、カープの始球式出てんじゃねえか。あれ「メディアの活動じゃねえの?」って。投げたいから投げてんの? 投げたいんだったら、どっか誰もいないグラウンドで投げりゃいいじゃん。自分自身で全てを否定してるのと同じじゃん。「お前バカだな!」っていうのが正直なところだよね。

ーー言行一致していない、と。

真壁:大体よ、口で俺に勝てるわけねえだろ。俺は口から生まれてんだぞって。「お前が勝てるわけねえだろバカ」って。でも、別にヤツはヤツの言い分でそれを言えばいいんじゃねぇの。だた、メディアに出るということがどんだけ難しいことか分かるだろって。それを考えろよお前は。メディア出ねえからすげえ、メディア出てるからだせえ? バカ言ってんじゃねえって。「小僧頼むぜ。ものは考えてから言えよ」っていうのが俺の本音だな。

ーーなるほど。真壁選手に限らず、新日本プロレスの選手がメディアに出演する機会が増えていると思います。それについてはいかがでしょう?

真壁:新日本プロレスがほかの団体と比べて何がすごいかっていうと1人1人の個性が強いことかな。どいつが出たって面白いでしょ? ユニット関係なく。多分そこだと思うんだよね。あとはバラエティとかだと芸人さんがうまく俺たちをさばいてくれるんだよ。だからこそ、同じリングに立ったときに個性のぶつかり合いが面白いんだと思うよ。新日本プロレスはやっぱりさすがだなってみんなに思われるんだ。プロレスできるから一般人になってないんじゃねえんだよ、みんな。そんな奴らの集まりだからそりゃあ個性強いわね。だからプロレスが面白いんだと思う。

(後編は https://getnews.jp/archives/1914969 [リンク])

『KING OF PRO-WRESTLING』

日時:2017年10月9日(月) 15:30開場 17:00開始
場所:東京・両国国技館
   東京都墨田区横網1-3-28

『KING OF PRO-WRESTLING』特設サイト(新日本プロレス)
http://www.njpw.co.jp/series/kopw2017 [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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