「仕事に追われている人」と「仕事を追う人」の決定的な違いとは?
『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』や『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、「ビジネスパーソンの仕事への向き合い方」についてお話しいただくこのコーナー。第17回の今回は、「デキる人の仕事への取り組み方」についてです。
こんにちは。俣野成敏です。
「問題」と「課題」。語彙としては、この2つはだいたい同じ意味に使われることが多いでしょう。けれど仕事上において、両者の意味は大きく異なる場合があるということを、あなたはご存じでしたか?
仕事における「問題」と「課題」の違いとは?
私は、仕事を大きく分けると「問題対応」と「課題創出」しかないと考えています。通常、仕事に追われている人が取り組んでいることの多くが「問題対応」です。問題対応というと、仕事をしている感が出やすいのですが、要は「目の前の問題に対処する」ということです。対する課題とは、「理想の未来に近づくための行為」のことを言います。
まず、問題対応とはどういうものかを説明すると、上司から「至急よろしく」と頼まれた予想外の業務だったり、ルーティンワークから生じたミスのフォローだったり、一般業務を含めてやらなければ後々、仕事の障害となってくるようなもののことです。それに対して課題とは、誰からも急かされたりはしません。つまり、今はやらなくてもいいことです。
もともと、仕事とは簡単に言ってしまうと、他人の代わりに業務を行うことによってお金をもらうことです。だから「代金」と言います。一方、課題とは将来のために行うことです。ですから一般に、課題をこなすだけでは即金にはなりません。
課題とは「理想の自分に近づく」ための目標
それでは一体、課題とは何なのでしょうか?課題を式で表すと、以下のようになります。
課題=未来の理想の自分ー現在の自分
課題とは、「理想の自分」と「今の自分」との間にあるギャップのことです。このギャップを埋めれば、理想の自分に近づくことができます。よって「このギャップを埋めるためには何をしたらいいのか?」と考え、行動する際の指針となるのが課題です。
課題創出とは、たとえば「管理職になった時のために、今のチームをどのようにまとめるべきなのかを思案する」「いずれ独立起業をするために、現在の仕事から何を学べばいいのかを考える」といった行為のことです。自分の目的に達するためにクリアしなければならないと考えることが該当します。
意図してつくらなければ、時間は決して余らない
以上の説明で、問題と課題の違いは理解できたと思います。ところで、ここで多くの人が悩むのが「時間」ではないでしょうか。たいていの人は「時間が余ったら自分のために使おう」と考えています。けれど、時間は絶対に余りません。自分の時間が欲しければ、意図的につくる必要があります。一つ、事例をお話しましょう。
私の友人で、大手外資系企業に就職し、30歳の時に同社史上最年少で部長に昇進した人がいます。しかしその人が最初に配属されたのは、DMの発送係でした。
友人は当初、前任者から言われた通りの手順でDMリストを作成していましたが、それだと一つのリストをつくるのに1週間もかかりました。そこで友人は、これを何とか効率化できないだろうかと考え、独学でデータベースソフトの勉強を始めました。その後、苦労してリストをデータベース化することによって、従来は1週間かかっていたリストづくりが、たったの5秒でできるようになりました。これが「未来の時間をつくる」ということです。
これを聞いて、もしかしたら「会社に言われてもいないのに、自分から勉強してもつまらないのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし本人からしてみれば、「これをすれば自分の未来が開ける」と分かっているから楽しいのです。友人は上記の功績が認められ、入社1年目にして社長賞を受賞しています。
もちろん時には失敗したり、見込み違いのこともたくさんあったりします。けれど失敗したら、今度は違う方法でやればいいだけの話です。自分の将来のためにやっていることであれば苦にはならないでしょうし、失敗も経験として蓄積できます。
「課題をつくる」ために始める最初の一歩
おそらく、多くの人は課題を持っていないのではないかと思います。そういう人は、だいたい「目標がない」か「今のことで手一杯」とかいう傾向があります。だとしたら、いっそ「どうやって自分の将来のための時間を確保するか?」ということを課題としてタイムマネジメントに取り組むだけでも、他人と差別化する第一歩となります。
課題をつくるためには、「自分は将来、どうなっていたいか?」を思い描くことから始めます。最初は「出世したい」とか「お金をたくさん稼ぎたい」といった漠然とした我欲でも構いません。そこから「自分の希望を実現するために、今やるべきこと」を考え、それを目標にします。
もし、これをお読みのあなたが、まだ自分の課題をお持ちでないのなら、これを機に、ぜひ考えてみることをオススメします。自分の未来を考え、そこに近づいていくことほど、やりがいのあることはないのですから。
俣野成敏(またの・なるとし)
大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』が12刷となっている。著作累計は35万部超。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。
俣野成敏 公式サイト
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