スーツに「紐のない革靴」を合わせてはいけない――ビジネスファッションの常識・非常識

「見た目より中身が重要だ」と語る人は少なくありません。しかし、問題は、決めるのはあくまで相手だ、ということです。どんなにスキルを身につけていたとしても、印象というのは一瞬で判断されてしまうことも少なくありません。ところが、そんなに大事な「見た目」がもし、残念なことになっていたとしたら……。実は恥ずかしいことになっていた、としたら……。

これが決して少なくない、と語るのは、著書『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』が大きな話題になっている木暮桂子さん。実は誰も教えてくれなかった「あれ?」と思われないためのビジネスファッション講座、第4回のテーマは、誰も教えてくれなかった「靴と鞄の常識」です。f:id:k_kushida:20170808173608j:plain

株式会社ディグニータ 代表取締役 木暮桂子さん

シンガポール航空にて、フライトアテンダントとしてシンガポールに駐在。その後帰国し、株式会社グロービスの創業期から現在のグロービス経営大学の立ち上げに関わる。その後、独立。経営者、政治家等をクライアントにした外見力強化のコンサルティング、スピーチトレーニング、企業向け研修などを手がける。これまで1000名以上の見た目を変え、外見力強化を実施、依頼が後を絶たない。近著に『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』(ダイヤモンド社)。

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正しい靴は、紐の付いた革靴

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ビジネスファッションでスーツに合わせる靴には、ひとつルールがあります。それは、基本的にスーツに合わせられる正しい靴は、紐の付いた革靴だということです。

「形は3種類。つま先部分に横一文字が入っているストレートチップ。そして、つま先にW型の模様のあるウイングチップ。ウイングチップは、ストレートチップよりも若干、カジュアルな印象になります。また、モンクストラップというベルトがついているものもOKです。モンクストラップとは、その名の通り、修道師が履いていた靴からきています。写真のモンクストラップはベルトがふたつですが、ひとつのものもあります」

そして、ビジネスファッションでは、靴の色は黒か茶色のみ、と木暮さん。

「まず、先に持っておきたいのが、黒の靴です。その次に持つなら、茶色の革靴もおすすめです。スーツに合わせられるのは、この2色だけです」

黒はどんな色のスーツでも合う靴。パリッと見える。茶色は優しい雰囲気に見えます。

「特に、グレーのスーツに茶色の靴を合わせると、とてもおしゃれです」

茶色には色の濃淡がありますが、合わせやすいのは、濃い茶色だそうです。

すっぽり履けてしまうスリップオンはNG

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スーツには合わせてはいけない意外な靴もあります。もしかすると、これは多くのビジネスパーソンがご存じないかもしれません。

「間違った靴が何かを知っておくと、大切な場に出て行かなければならなくなったときでも、堂々と振るまえます」

まず、よく間違えてしまいがちなのが、靴紐が付いておらず、すっぽり履けてしまうスリップオン。これは、スーツにはNGだ、と木暮さん。

「脱ぎ履きがしやすいので、ルーツとしてはワーキングシューズです。電球を交換したりするときに、脱ぎ履きがしやすいでしょう」

また、スリップオンは、すぐ履けることから、アメリカでは「逃げ足の速い人」という意味でも使われます。英語圏では、いい印象はないということです。

「ローファーもスリップオンのひとつです。こちらは、怠け者が語源。日本でも、ハイスクールのジュニアたちが履く靴のイメージが強いので、避けたいところです。ジュニアのイメージに見られてしまいます」

ブーツやスエードもNG。双方共に、カジュアルな場面での靴だから。ビジネスの場で、カジュアルは、違和感を持たれる原因になるのです。

「最近は少し見かけることが減りましたが、先の尖った靴やブーツも同じ理由でダメです」

足元の間違いは全体の印象を決めてしまいかねない、と木暮さん。注意が必要です。

鞄は空いている席に置いたりしてはいけない

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鞄も意外にルールを教えてもらえる機会がありません。そのために、間違った作法が広まってしまっているのではないか、と木暮さんは語ります。

「ビジネスファッションでは、鞄は立つものを選ばないといけません。ビジネスでは、鞄はそもそも床に置くもの。間違っても、空いているからと隣の椅子の上に置いたりしてはいけません。だから、鞄は床で倒れたりしない、自立するものを選びましょう」

鞄を椅子に置くのは、基本的に禁止です。これは、汚れているものを、人が座ることになる椅子の上に置かないため。だから、鞄は立てて横に置くのが、ルール。

「だから、鞄の底に鋲が打たれているものを選びます。これがついているものは、床に置くことを前提につくられているので、安定感もありますし、べったりとついて鞄と底が汚れるのを防いでくれます」f:id:k_kushida:20170808183913j:plain

理想は、革のブリーフケース。色は黒。茶色も合格だそうです。

「ただ、今は昔と違って、重い荷物を持ち歩くシーンも多い。書類だけではなく、パソコンだったり、タブレットPCだったり。そうすると、革のブリーフケースでは入らない、重くて運べない、という声も聞こえてきます。そこで、ナイロン系のビジネスバッグでもいいと考えます。ただし、やっぱり革の品にはかなわないことを覚えておいてほしいですね」

ビジネスバッグで注意してほしいのは、肩紐をかけて歩くときだ、と木暮さん。肩が重みでずり落ちたりして、スマートには見えないから。

「でも、重いですから、そうしたくなる気持ちはわかります。ですから、お客さまに会うビルの前で、肩から外すといいと思います。そうするとスマートに訪問できます」

次回、最終回は、ビジネスファッションにふさわしい「小物」についてお届けします。

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【参考図書】

『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』

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著者:木暮桂子

出版社:ダイヤモンド社

WRITING:上阪徹

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