スーツに「紐のない革靴」を合わせてはいけない――ビジネスファッションの常識・非常識
「見た目より中身が重要だ」と語る人は少なくありません。しかし、問題は、決めるのはあくまで相手だ、ということです。どんなにスキルを身につけていたとしても、印象というのは一瞬で判断されてしまうことも少なくありません。ところが、そんなに大事な「見た目」がもし、残念なことになっていたとしたら……。実は恥ずかしいことになっていた、としたら……。
これが決して少なくない、と語るのは、著書『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』が大きな話題になっている木暮桂子さん。実は誰も教えてくれなかった「あれ?」と思われないためのビジネスファッション講座、第4回のテーマは、誰も教えてくれなかった「靴と鞄の常識」です。株式会社ディグニータ 代表取締役 木暮桂子さん
シンガポール航空にて、フライトアテンダントとしてシンガポールに駐在。その後帰国し、株式会社グロービスの創業期から現在のグロービス経営大学の立ち上げに関わる。その後、独立。経営者、政治家等をクライアントにした外見力強化のコンサルティング、スピーチトレーニング、企業向け研修などを手がける。これまで1000名以上の見た目を変え、外見力強化を実施、依頼が後を絶たない。近著に『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』(ダイヤモンド社)。
株式会社ディグニータ HPはこちら
正しい靴は、紐の付いた革靴
ビジネスファッションでスーツに合わせる靴には、ひとつルールがあります。それは、基本的にスーツに合わせられる正しい靴は、紐の付いた革靴だということです。
「形は3種類。つま先部分に横一文字が入っているストレートチップ。そして、つま先にW型の模様のあるウイングチップ。ウイングチップは、ストレートチップよりも若干、カジュアルな印象になります。また、モンクストラップというベルトがついているものもOKです。モンクストラップとは、その名の通り、修道師が履いていた靴からきています。写真のモンクストラップはベルトがふたつですが、ひとつのものもあります」
そして、ビジネスファッションでは、靴の色は黒か茶色のみ、と木暮さん。
「まず、先に持っておきたいのが、黒の靴です。その次に持つなら、茶色の革靴もおすすめです。スーツに合わせられるのは、この2色だけです」
黒はどんな色のスーツでも合う靴。パリッと見える。茶色は優しい雰囲気に見えます。
「特に、グレーのスーツに茶色の靴を合わせると、とてもおしゃれです」
茶色には色の濃淡がありますが、合わせやすいのは、濃い茶色だそうです。
すっぽり履けてしまうスリップオンはNG
スーツには合わせてはいけない意外な靴もあります。もしかすると、これは多くのビジネスパーソンがご存じないかもしれません。
「間違った靴が何かを知っておくと、大切な場に出て行かなければならなくなったときでも、堂々と振るまえます」
まず、よく間違えてしまいがちなのが、靴紐が付いておらず、すっぽり履けてしまうスリップオン。これは、スーツにはNGだ、と木暮さん。
「脱ぎ履きがしやすいので、ルーツとしてはワーキングシューズです。電球を交換したりするときに、脱ぎ履きがしやすいでしょう」
また、スリップオンは、すぐ履けることから、アメリカでは「逃げ足の速い人」という意味でも使われます。英語圏では、いい印象はないということです。
「ローファーもスリップオンのひとつです。こちらは、怠け者が語源。日本でも、ハイスクールのジュニアたちが履く靴のイメージが強いので、避けたいところです。ジュニアのイメージに見られてしまいます」
ブーツやスエードもNG。双方共に、カジュアルな場面での靴だから。ビジネスの場で、カジュアルは、違和感を持たれる原因になるのです。
「最近は少し見かけることが減りましたが、先の尖った靴やブーツも同じ理由でダメです」
足元の間違いは全体の印象を決めてしまいかねない、と木暮さん。注意が必要です。
鞄は空いている席に置いたりしてはいけない
鞄も意外にルールを教えてもらえる機会がありません。そのために、間違った作法が広まってしまっているのではないか、と木暮さんは語ります。
「ビジネスファッションでは、鞄は立つものを選ばないといけません。ビジネスでは、鞄はそもそも床に置くもの。間違っても、空いているからと隣の椅子の上に置いたりしてはいけません。だから、鞄は床で倒れたりしない、自立するものを選びましょう」
鞄を椅子に置くのは、基本的に禁止です。これは、汚れているものを、人が座ることになる椅子の上に置かないため。だから、鞄は立てて横に置くのが、ルール。
「だから、鞄の底に鋲が打たれているものを選びます。これがついているものは、床に置くことを前提につくられているので、安定感もありますし、べったりとついて鞄と底が汚れるのを防いでくれます」理想は、革のブリーフケース。色は黒。茶色も合格だそうです。
「ただ、今は昔と違って、重い荷物を持ち歩くシーンも多い。書類だけではなく、パソコンだったり、タブレットPCだったり。そうすると、革のブリーフケースでは入らない、重くて運べない、という声も聞こえてきます。そこで、ナイロン系のビジネスバッグでもいいと考えます。ただし、やっぱり革の品にはかなわないことを覚えておいてほしいですね」
ビジネスバッグで注意してほしいのは、肩紐をかけて歩くときだ、と木暮さん。肩が重みでずり落ちたりして、スマートには見えないから。
「でも、重いですから、そうしたくなる気持ちはわかります。ですから、お客さまに会うビルの前で、肩から外すといいと思います。そうするとスマートに訪問できます」
次回、最終回は、ビジネスファッションにふさわしい「小物」についてお届けします。
合わせて読みたい
◆第1回記事
「黒いスーツ」は着てはいけない――ビジネスファッションの常識・非常識 – リクナビNEXTジャーナル
◆第2回記事
多くの人の「クールビズ」は間違っている――ビジネスファッションの常識・非常識 – リクナビNEXTジャーナル
◆第3回記事
ネクタイは「この6本」を持っておけばいい――ビジネスファッションの常識・非常識 – リクナビNEXTジャーナル
【参考図書】
『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』
著者:木暮桂子
出版社:ダイヤモンド社
WRITING:上阪徹
関連記事リンク(外部サイト)
【マンガ】職場のエアコン設定は「勝手に」変えてはいけない
ネクタイは「この6本」を持っておけばいい――ビジネスファッションの常識・非常識
【要注意】社内恋愛が職場バレしない「夏休み」の過ごし方
ビジネスパーソンのための、キャリアとビジネスのニュース・コラムサイト。 キャリア構築やスキルアップに役立つコンテンツを配信中!ビジネスパーソンの成長を応援します。
ウェブサイト: http://next.rikunabi.com/journal/
TwitterID: rikunabinext
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。