仕事でのトラブルやミスですぐパニックに どうすれば改善できる?
一度のミスが命取り?パニック状態が招く負の連鎖
人は誰でも、大なり小なりいろいろな失敗を繰り返しながら生活しています。ビジネスシーンにおいてもトラブルやミスがなく仕事をしている人はいないはずです。
トラブルやミスが起きた時は、如何に対処するか、次は同じようなことがないように教訓にするなど、前向きに考えて行動できたら良いのですが、パニック状態に陥ってしまう場合は、トラブルやミスを悲観的に捉え、上司やクライアントに責められたり、深刻な事態を想像したりして不安や恐怖で心が支配されてしまいがちです。
ではなぜトラブルやミスにパニック状態になるほど過剰反応してしまい、心や感情が揺らいでしまうのでしょうか?
パニックに陥ってしまう人の特徴としては、完璧主義過ぎる、自己肯定感が低い、マイナス思考、二極思考などが考えられます。「失敗=悪いこと」、「失敗する人=ダメな人間」というような思い込みで、自分を責めてしまったり、また失敗するのではないかという不安や恐怖で萎縮してしまったり動けなくなってしまったりしてしまいます。
そのような状態になってしまうと、周囲も当人には任せておけなくなくなってしまったり、代わりに問題に対処しなくてはいけなくなってしまったりと、余計に責められる要因を作ってしまうことになります。しかし、多くの場合、周囲はトラブルやミスが起こることより、それに適切かつ的確に対処してもらえない時に怒りやストレスを感じると思われます。
パニック障害との共通点と相違点
「パニック障害」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。上記のような場面でパニックになってしまうというお悩みをお持ちの方の中には、「私って、もしかするとパニック障害では?」と思われる方もいるかもしれません。
パニック障害の特徴としては、電車やバスの中など、閉鎖的で逃げ場のない空間、大勢の人前など人の注目を集めたり緊張する場面、体調が悪いときなどに、突然の動揺や身体的な症状から強い不安や恐怖を感じてしまい、過呼吸や呼吸困難、目まいなどの発作を起こすなどが挙げられます。
さらに、一度発作を起こしてしまうと、また同じように発作が起きるのではないかという不安や恐怖が更に発作を誘発させてしまい、直接的な原因がない状況下でも頻繁にパニック発作が起こるのが特徴といわれています。
パニック障害が起こる原因は、恐怖や不安に関係している神経伝達物質「ノルアドレナリン」と、興奮を抑える神経伝達物質「セロトニン」とのバランスが崩れるためと考えられています。
仕事のミスなどで、頭が真っ白になったり何も考えられなくなったりしてしまうのは、原因がはっきりしていて、目まいや呼吸困難などの症状を伴うことが少ないと思われますので、パニック障害とはちょっと違うと思われますが、心の中に不安や恐怖が強くなると言う点では似ている点もあると思います。
幼少期のトラウマが原因のことも
「間違えたりミスをしたりしたらやり直せばいい!」
言葉で言うのは簡単ですが、実際頭が真っ白になったりパニックになってしまったりする時は心の中ではどんなことが起こっているのでしょうか?
私たちは誰でも幼い頃は間違えたり危ないことをして親に注意されたり叱られたりしたことはあると思います。そんな時、やり直そうと手を出したり、違うことをしようとしたりしたら、
「もう危ないからじっとしていなさい!」
「あなたがやるとろくなことにならないからやらないで!」
「お母さんがやるから手を出さないでちょうだい!」
そんな風に言われて、何もさせてもらえなかったり、考えて動くことを阻止されてしまったりしたことが大きなトラウマとなってしまうことがあります。
そのトラウマによって、何かミスを犯したりトラブルになったりした時に、自分で考えてはいけない、行動してはいけない、という思い込みが無意識に刻み込まれてしまい、問題に対処することができなくなってしまうのです。
子供の頃のそういった記憶や思い込みが大人になった今も残っていると、仕事の場面でも無意識に同じ状況が思い出され、自由に考えることや行動することができなくなってしまいます。その結果、無意識に思考をストップさせてしまい、問題に対処するために冷静になって次の行動を考えたり行動に移すことができなくなってしまうのです。
これは一例ですが、一度や二度でなく、そのような状況が多いと感じるのであれば、幼少期のトラウマが原因になっていることがあるかもしれません。
パニックにならないための心の持ち方や対処法
そもそも人はミスをする生き物です。また、仕事にミスやトラブルは付きものです。どんなトラブルやミスも対処できるし、挽回することができる、一度や二度のミスでクビになったり人生が終わったりするわけでもないのです。日頃からそんな風に考えるクセを持っていれば、心の重りが少し軽くなるかもしれません。
また、想定しうるミスやトラブルは起こる前から、こんな場合にはどう対処したらよいか、こんな時は誰に相談するのが一番良いか、信頼できる上司や仲間は誰かなど、もしもの時のシミュレーションをして問題に対処できるという自信を付けておくことも大事です。
そうは言っても、いざトラブルやミスが起こると、上手く対処できないかもしれません。万が一、頭が真っ白になったりパニックになってしまったりした時は、意識が「今ここ」ではなく、過去の記憶や自分だけの世界に意識がいってしまっていることが考えられます。
そんな時は、大きく深呼吸して、今の自分と現実を確認しましょう。周囲を見渡して、今いる自分の場所を確認したり、自分の身体を触って現実とコンタクトしたりしてみましょう。よく、「これは夢じゃないよね?」と身体をつねったりするのと同じです。パニックになってしまった時は、現実を確認し気持ちを落ち着かせる習慣を身につけましょう。
そして、少しずつ冷静さを取り戻すことができたら、今の状況を確認して、自分は何ができるのか、何をしたらよいかを考えて、助けが必要な時は一人で抱え込まないで周囲に助けを求めることが必要です。
自分のミスでトラブルになってしまったとしても、いきなり信頼が失われることはありません。むしろミスやトラブルにどう向き合ったか、どのように対処したか、その姿勢が更に信頼をアップさせることもあります。
ミスや間違いのない人はいません。完璧な自分を手放して、ミスを許容できる心の余裕が必要なのかもしれません。
(大場 慶夫/心理セラピスト 心理カウンセラー)
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