“モアナ”が生き生きとしたヒロインである理由――服は全て実在する材料で・10代の身体を徹底再現

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この春、興行収入50億円突破の大ヒットを記録したディズニー・アニメーション最新作『モアナと伝説の海』。MovieNEXがいよいよ7月5日にリリース、6月28日より先行デジタル配信が開始となります。

ガジェット通信では、『モアナと伝説の海』を生み出した、ロサンゼルス「ディズニー・アニメーション・スタジオ」に潜入取材! 今回は、キャラクター・デザインを行ったアート・ディレクターのビル・シュワブ&コスチューム・デザイナーのネイサ・ボーヴェのプレゼンテーションをお届けします。

モアナは冒険に出かける少女なので、コスチュームも動きやすく作っている

ネイサ・ボーヴェ:コスチューム・デザインは映画の一部でそれぞれのキャラクターのパーソナリティを表現する手段であるだけではなく、彼らが着ているコスチュームからストーリーさえも伝わるデザインを要求されます。モアナはアスリートで、冒険に出て崖から飛び降りたり、水の中に飛び込んだり大活躍するので、コスチュームもそれなりのものになっていきます。スカートにスリットが入っているのは彼女が動き易いように考慮しているからです。アクションが自由にできるようになってるんです。

監督たちが持って帰って来た資料や現地で撮った写真、ビデオをもとにデザインしました。それにオセアニック・ストーリー・トラストの方の意見も聞きました。すべて現実にもとづいた資料、情報を参考に衣装をデザインをしています。

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▲モアナが身につけているものは、すべて実際にポリネシアの島で手に入る材料・手法で実現可能な衣類。

ポリネシアの島の少女と言うことから、彼女の衣類に使う素材も限られたものになります。このモアナが着ているものはタパと呼ばれる材質のもので、スカートはパンダナスと言う材質です。この生地をもとに、たくさんのユニークなバリエーションを考える必要がありました。ヘアスタイルも、コスチューム・デザインの一部でありストーリーテリングの一部でもあるので重要な意味を持っています。髪の毛を上に上げるのはアクションをする時で、髪の毛が邪魔にならないように考えたもの。髪の毛が長い場合は私たちも上に上げるのが普通ですよね。

また、モアナのアクセサリーはどれも背景に物語があって、それぞれのアクセサリーをディレクターたちにスケッチを見せながら説明する必要がありました。これはモアナのお母さんのコスチュームの詳細で、いろいろな事を説明する役目をもっています。ジュエリーも同じように細かい背景があります。

モアナの最大の特徴は10代であること「すべての身体の動きに若さが表現されていなくてはならない」

ビル・シュワブ:僕がこの作品の制作チームに入った時、監督とプロダクション・デザイナーが「モアナ独特のスタイルを作りたい」と言いました。とはいえ、どんな時もディズニーの作品だと言う事を忘れる事はありません。

僕が考える「ディズニーらしさ」とはアピールです。キャラクターのアピール、つまり見る人が共に感情をシェアできる、心地良くて清々しいアピール。ユニークさはモアナがティーンエイジャーだということです。ディズニーの今までのヒロインたちはモアナより年上が多く、これほど若くなかったと思います。年が若いと言うことは彼女のルックスだけではなく、すべての身体の動きに若さが表現されてなくてはなりません。手の動きなどは特に留意しました。若い独特の手の動かし方ってありますから。

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▲モアナのキャラクターデザインが完成するまで描かれた様々なスケッチ。これらはモアナのイメージがほぼ固まってきてからのもの。

僕が加わった時点でまだ「これだ!」というモアナのイメージは出来上がっていませんでした。それで島のリサーチを担当していた人に、「島の環境を通して想像するとモアナはどんな感じの女の子ですか?」と聞きました。そして、僕や様々なアーティストがスケッチを描き、モアナのデザインを絞り始めました。その後に、ジム・キムと言うアーティストがチームに加わり、モアナをアクション・ヒーロー、またティーンエイジャーの冒険家としての展開を見せるようになりました。この後ジム・キムと僕でいよいよモアナの性格などを探る段階に入り、このスケッチからモアナの冒険好きなティーンエイジャーとしてのイメージの探求がスタートしたんです。これがモアナのキャラクター・デザインの展開です。

ジャイアント・クラブのタマトアのデザインも僕達がやりました。これはタマトアの声をやってるジャーメイン・クレメントのパーソナリティをタマトアの表情の中に入れ込んで欲しいという監督の要望に答えてスケッチしています。また、ココナッツの殻で武装した海賊のカカモラですが、ココナッツの殻の中に居るもの、殻から出たイメージ、さらに木に逆さにぶら下がったりできるように手足を付けたものなど色々なバリエーションを考えました。

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「アニメーションであること」を理由にせず、モアナという少女がいたらこういう服を着て、こういう体の動かし方をするだろう……と、とことん追求するクリエイター陣。モアナが着ている服の材質に、実在するポリネシアの島の物を指定しているという徹底ぶりには脱帽です。こうした細部のこだわりを知ると映画をさらに楽しめそうです!

次回はディズニー・アニメーション・スタジオで働く日本人クリエイターのインタビューをご紹介します。

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『モアナと伝説の海』
http://www.disney.co.jp/movie/moana.html

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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