通学や通勤でお世話になった「あの電車」のいま…

日常の風景として、いつも変わらず走り続けている通勤電車の世界も、気がつけば毎年どこかの路線で「新車」が投入され、従来電車を置き換えています。

では、今までお世話になった電車はすべて廃車されてしまうのでしょうか?

いえいえ、まだまだ現役で走っているんです。

今回、昔お世話になった「あの電車は今…」と題して探求したいと思います。

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海外で第二の人生も!寿命の長い通勤電車の行く末とは?

鉄道に限らず、どんなモノにも「寿命」はあります。同じ乗り物である車であれば、だいたい10~15年程度が一つの目安でしょう。

それに比べて鉄道の場合、車両によってその耐用年数は大きく異なります。

例えば新幹線の場合、毎日時速200キロ以上の高速運行、かつ数千キロという長距離を運行する過酷な環境下で使用されることから、一般の電車に比べて劣化が早く、おおよそ15年~20年程度。

一方、一般的な通勤電車などは平均すると30~40年、中には50年以上現役で走る車両もあるくらいなので「意外と長く使用されているなあ」と感じると思います。

ただし実際のところ、鉄道会社によって耐用年数ギリギリまで運行するかどうかの判断は、かなり分かれます。

例えばJR東日本の場合、今年から本格的に新車(E235系)が投入されて話題の山手線で、現在運行されているE231系500番台は製造からまだ15年に満たないため、

●山手線に新車であるE235系電車を今後、続々と投入

●玉突きで、現在山手線で運行されている既存電車(E231系500番台)が、中央総武線に続々と投入

●またまた玉突きで、現在中央総武線で運行されている電車(209系500番台&E231系※登場からまだ20年弱)は、別の路線へ投入予定

※候補先に挙がっているのは「JR武蔵野線」で、この路線で運行されている205系電車(※車歴30年前後でそろそろ寿命を迎える)を置き換える目的での投入

といったように、「早い段階で都心に新車投入」→「郊外へまだ車歴の浅い既存車両を郊外路線に展開」→「郊外路線で運行されていて、そろそろ寿命を迎える電車を置き換える」という流れを辿っています。

なお、インドネシアで埼京線で運行されていた205系が活躍するなど、海外で第二の人生をスタートしているケースもあります。

人気は東急?キーワードは「18m&ステンレス車両」

前置きが長くなりましたが、そろそろ本題へ…。

一般的に大都市圏で黒字経営を維持するJR/大手私鉄各社は毎年、積極的に新車を投入する一方、経営が厳しい地方私鉄は自費での新車導入が難しく、大都市圏で使用された「中古車両」を購入して運行するケースが多くあります。

ただし、「どんな車両も地方で活躍しているか」と問われると、そうとは限りません。

地方の場合、大都市圏のように10両などの長編成で運行するようなニーズがないため、

できれば1両、長くても2~3両の短編成で運行できる車両」というのが前提条件に。

さらに1両当たりの大きさも急曲線や短いホームなど、インフラ面で制約の大きいケースがあるため、できればコンパクトなサイズが望ましいのです。

そうなると、JRを中心に運行されている「1両20メートル級」より一回り小さな「1両18メートル級」が望ましいことになります。

そしてもう一つ、車両のメンテナンスにおいてもできるだけ容易かつ低コストで対応できる「ステンレス製車両」にも人気が集まる傾向が…。

以上の条件を満たす通勤電車で現在人気なのが「東急1000系」。東横線や大井町線、池上線などで運行された車両ですが、現在、続々と地方私鉄で「再デビュー」を果たしています。

上田電鉄(長野県) 伊賀鉄道(滋賀県) 一畑電車(島根県) 福島交通(福島県)

他にも、京王電鉄井の頭線で運行していた「3000系」電車も、人気中古車両の一つ。

北陸鉄道(石川県) 上毛電気鉄道(群馬県) 岳南鉄道(静岡県) 松本電気鉄道(長野県) 伊予鉄道(愛媛県)

といった複数の地方私鉄で運行されています。

特異なケースとして、あの「小田急ロマンスカー」として運行された車両(10000形・20000形)が現在、長野電鉄や富士急行で運行されています。

他にもまだまだ都会で活躍していた多くの通勤車両が現在、全国の地方私鉄で元気に活躍しています。機会があればぜひ、そうした車両もご紹介したいと思います。

WRITING:山田モーキン イラスト:海月あいる

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