消費者庁が高校生向けの消費者教育用冊子「社会への扉」を作成
消費者庁作成の消費者教育用冊子「社会への扉」とは?
ネットショッピングやカードでの支払いなどで高校生が巻き込まれることが増えてきたことをふまえ、消費者庁は消費者教育用冊子「社会への扉」を作成しました。
内容を確認してみましたが、絵や漫画を散りばめながら、クイズ形式で理解を深めるようなもので、なかなか良くできているなあと感心しました。
消費者トラブルの基本は押さえられているように感じましたし、高校生を中心とした若年者でも「とりあえず、こういった場合には消費者センターに電話してみればいいのか」ということは理解できると思います。
特に、若年者にあり得そうな未成年取り消しやクーリングオフのことを詳しく記載されていることや、ネットショッピングの落とし穴について解説している点はいいなと思いました。
消費者トラブルに巻き込まれる若年者の増加が背景に
消費者庁のこういった取り組みの背景には、特に近年、若年者が消費者トラブルに巻き込まれがちであるという社会的な状況があります。
ネットが普及し、昔とは比べものにならないくらい情報が飛び交っているこのご時世ですから、筆者が子どものころからは考えられないくらい、今時の子は色んな事を知っていますし、反面、悪の手が忍び寄りやすいともいえます。
教育の場で活用される機会がなければ意味がない
ご紹介した「社会への扉」やそれに付随する解説などは、非常に有益な内容を含んでいますが、実際に教育の場でこれらを活用する機会がなければ意味がありません。
現在、各都道府県でも、消費者問題に関する講義などを行おうと推進されている傾向にありますが、まだまだ不十分と言わざるを得ません。
また、一部の高校などの授業でこういった問題が取り扱われているとしても、高校に進学せずに社会に出る人にとってはそれに触れる機会はありません。
高校だけではなく、義務教育である小学校、中学校などでも、より簡単な内容になるとは思いますが、将来を見据えて意識付けをするためにも、こういった生活に密着した授業を取り入れるということが重要になってくるのではないかと思います。
国語や算数などもいいですが、子どもたちが必ずなる「消費者」ということについて、子どものうちから勉強することで、将来、消費者トラブルに巻き込まれる人が減るのではないかと思います。
(河野 晃/弁護士)
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