皿につかない、ハシにつかない、歯につかない! 幻のスイーツ「三不粘」を食べてきた【別視点ガイド】
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あなたは幻のスイーツ「三不粘(サンプーチャン)」を知っていますか?
幻のスイーツ、「三不粘(サンプーチャン)」をご存じでしょうか?
粘は中国語で「くっつく」を意味する言葉。
三不粘とは 皿にくっつかない ハシにくっつかない 歯にくっつかない
を意味する中華スイーツです。
原料は卵、砂糖、ラード、でんぷんだけで、レシピもきわめてシンプルです。
が、調理の難易度がとても高く、本場中国ですら北京のレストラン一店舗でしか提供していないという、幻と呼ぶにふさわしいスイーツなのです。
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▲中華料理店「エムズスタイル」。清潔でさっぱりした店内
そんな幻のスイーツを千葉県富里市の中華料理店「エムズスタイル」で食べられます。
ただし1日1組限定で要予約。飛びこみでは作れないとのこと。
予約の電話をして、さっそく食べてまいりました。
7分間の真剣勝負! 三不粘をたたき続ける
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▲「三不粘」の原材料はこれだけ
「三不粘」の原材料がこちら。砂糖とでんぷんをいれた水、ピーナッツオイル、卵黄だけ。
重たくなり過ぎるため、ラードではなくピーナッツオイルを代用しています。
水とでんぷんをなじませるのに4~5時間はかかるので、あらかじめの予約が必須とのこと。
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おたまを温めて、くっつかないようにしておきます。
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卵黄を布でこして、でんぷんと砂糖がは入った水のなかに入れてかき混ぜます。
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ピーナッツオイルをかけつつ、熱を通すと水分が飛んでいき固まりだします。
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「タイマーセット、7分でおねがい!」と料理長。
あとは7分間、タイマーが鳴るまでの間たたき続けます。
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カンカン、カンカン!
小気味いい音が厨房に響きます。
水と油、砂糖と卵黄をたたいてなじませているそうです。
「最初から強くたたくと分離しちゃうので、はじめは優しく、徐々に強くしていきます」
このたたく所作と火加減が難しく、すこしでも火加減を間違れば黒くなってしまうとか。
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途中でおたまが折れてしまいした!調理の激しさ、たたく力強さがうかがえますね。
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▲幻のスイーツ「三不粘」(1,944円)
そして完成した幻のスイーツ、「三不粘」。
なんて美しい見た目なんでしょう。焦げひとつなく、ピカピカと黄金色に輝いています。
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スプーンで取り分けてもらいました。
この時点ではまだ、どんな味なのか、どんな食感なのか見当もつきません。
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ハシで持ち上げてみるとふにゃんと柔らかく粘りがあります。
ねっとりしていますが、たしかに皿にもハシにもくっつかず、きれいにはがれます。なんとも不思議な感覚です。
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温かくて、とっても優しい甘さ。ピーナッツの香りがほんのりと広がります。
食感はおもちに近いですが、より柔らかく、口のなかが「ふにふに」という擬音でいっぱいになります。
おいしくて面白いスイーツですね。
▲調理過程の動画です。カンカンカンとたたき続けています
なぜ「三不粘」をつくるのか? 料理長にお話しをうかがった
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▲料理長・佐野貢一(さのこういち)さん
── 「三不粘」はオープン当初から出していたんですか?
「お店は2006年からやっているのですが、当初は出していませんでした。
きっかけは「賞味会」です。年4回ほど当店で主催してる、みんなでおいしいものを食べる会です。第1回のテーマが北京料理だったので「珍しい料理だし『三不粘』作ってみようか」と思いました。
メニューに入れるつもりはなかったんですけど「また食べたい!」という方がけっこういまして。正直面倒くさかったので「暇な時ならいいよ」と知ってる人だけが頼める状態でした。」
── さきほど調理過程を見せてもらいましたけど、7分間たたきっぱなしですもんね。
「とにかくたたき続けますから体力消耗が大きいですし、調理を1人でやっているお店なので時間的な縛りも大きい。
というわけで、1日1組限定にしています。
麻婆豆腐は一生懸命つくっても注目されませんが、1日1個だけでも「三不粘」ならこうして注目されます。
目立ちたいわけではないんですが、一種の武器にはなっています。」
── 難しい料理といわれてますが、いきなり作れたんでしょうか?
「前の修行先でかなり練習してました。
親方から「全員作れるようにしろ」とお達しがあって、6、7人チャレンジしたんですけど作れる人はいませんでして。私は3カ月くらいかかって作れるようになりました。先輩より先にできて気まずかったです(笑)
親方が作るのを「なんだ、これ?」「いつか作れるようになりたいなー」と思いながら、ずっと見てたんですよ。」
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── なにがそんなに難しいんでしょうか?
「とにかく火加減です。
はじめの頃は黒くなったり、べちゃっとしたり、完成にはほど遠かった。
今回も最初にすこし焦げが見えたので、火力をすこし弱めました。
気泡の数がどれぐらいだとか、火加減はどうだとか見るポイントが無数にあります。」
── 素人目にはただたたきまくっているようにしか見えなかったんですが、気泡の数まで気を配っていたんですね!
「タイマーを7分にセットしてるのも、データを取るためなんです。いま、7分で仕上がる火加減を微調整しながら確認しています。
たたく力や火加減がポイントだからレシピを教えてすぐにできるとは限らない。逆にできる人は、すぐにできちゃうこともありますよ。」
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▲香ばしい香りにクセになる辛さ! 四川麻婆豆腐(1,296円)
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▲蒸したあとでカリッと焼きあげる焼餃子(540円)
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▲ぷるぷるでなめらか食感のマンゴープリン(486円)& 杏仁豆腐(486円)
── 大変な料理なのに、なぜ「三不粘」を作るのでしょうか?
「新しい料理を作っていないと同じことの繰り返しになってしまいますから。
「三不粘」に限らず、3~4カ月に1回ある「賞味会」に向けて、常に新しいものを探求しています。
自分のなかで課題を持って、新しいものを作るきっかけにしています。
まあ、夏休みの宿題は最後にやるタイプですけどね(笑)」
お店情報
エムズスタイル
住所:千葉県富里市七栄127-48
電話番号:0476-93-2573
営業時間:11:30~14:00、17:30~21:00
定休日:月曜日
ウェブサイト:http://www.msstyle-ms.com/index.html
www.hotpepper.jp
※この記事は2017年5月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。
書いた人:松澤茂信
![松澤茂信](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/matsuzawa7/20170410/20170410231805.jpg)
観光会社「別視点」の代表。「東京別視点ガイド」を書いてます。 Twitter:別視点ガイド Twitter:松澤茂信 Twitter:齋藤洋平(撮影)
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