72.6%の成功率、累計30億円以上獲得したテレアポ術とは?

「テレアポだとそもそも恥ずかしくて何を言ってよいかわからない」

「忙しいと怒鳴られ、数本電話をしただけで心が折れた」

「会社からのプレッシャーに耐えられない」

新規の仕事を取ってくることは、営業パーソンの宿命です。豊富な人脈がある人は別として、競争優位性が強い商品を持つ会社でない限り、新しい仕事を獲得するためには、こちらからセールスする必要があります。そんな新規獲得の最大の関門こそ「テレアポ」です。誰でも知らない人にいきなり電話をかけ、その場でアポを取るのは難しいものです。

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そこで今回は、広告代理店の営業担当として新規獲得成功率72.6%を誇り、ベテランでも100万円の新規扱いを獲得できれば上々と言われる中、新規だけで累計30億円以上の案件を獲得した実績を持つ「気配り営業のプロフェッショナル」後田良輔さんに、テレアポの極意について伺いました。

「たった1つのテレアポのゴール」

テレアポというと100本電話をかけて1本でもアポが取れれば上々と思われる人が多いようですが、それは間違った発想です。私自身、広告代理店の営業として20年以上勤務し、東京・名古屋・大阪という日本の三大都市で働きましたが、どの地区においても、デキる営業パーソンはたった1本のテレアポで、確実にキーマンのアポを取り、その結果、新規の売上を獲得していました。

この両者の違いは、テレアポをする際のゴールの設定にありました。何本も電話をして断られ続ける営業パーソンは、「電話で自分の商品をいきなり売ること」をゴールにしています。一方、1本必中のテレアポをする営業パーソンは「相手が知らないと損する情報を共有すること」をゴールとしています。

実際、自分が何かを買うときを想像してみてください。見ず知らずの人からいきなり電話をかけられて、その場で買う人はどれだけいるでしょうか?やはりきちんと物を見つつ、販売してくれる人柄を見て、安心してからでないと買わないのが現実だと思います。しかしほとんどの営業パーソンはそのことに気づかず、買って欲しいという自分の欲求だけを全面に押し出して話し、その結果、あっさりと断られているのです。まずはセールスの原点に戻りましょう。テレアポとは物をいきなり売ることではありません。「あなたが知らないと損する情報を共有したいので、直接顔を見る機会をもらえませんか?」というアポの場なのです。

テレアポをかける前の事前準備

ここでは「BtoBの会社を攻略したいと思っているのだが、そもそも電話番号はもちろん相手の担当部署や担当者の名前すらわからない」というマイナスの状況からのテレアポを考えていきたいと思います。

最初にやるべきことは、自分が仕事をしたいと思う会社をインターネットで調べ、ピックアップすること。この時、できるだけ自分が共感できる会社を選びましょう。やはり愛着が持てる会社に対してはこちらもやる気が出て、前向きな考えが浮かびやすくなるものです。その上でその会社の「会社概要」や「会社情報」という欄を見てください。そこには簡単な業務内容に始まり、場合によっては組織一覧を始め、代表的な電話番号が書かれています。その代表番号をまずは確認すればOKです。

代表電話を100%突破する話し方

さて代表番号がわかったら、実際に電話をかけるのですが、この時意識することが1つだけあります。それは電話に出る人の立場を考えて話すということです。一般的に代表電話に出る人は、大手企業なら専門部署、中小企業なら事務スタッフや新人などが出る場合が多いものです。多くの場合、彼らのエスカレーションフローは「自分の範疇を超える話が来た場合は、上の者に相談する」というもの。だから、電話を受けた相手が「自分の範疇を超える」と思うような話し方をする必要があるのです。具体的にはこのような内容です。

「お世話になります。私、〇〇市で一番の広告シェアを持つ××会社の後田というものです。この度、御社のお役に立つ情報がございまして、初めてお電話いたしました。お手数ですが、広告や販売促進(自分の商品販売先の部署名となります)の責任者やご担当の方は、今、お手すきでしょうか?」

実はこの言い方には上司や担当部署につながなくてはいけないと感じるギミックが3つ仕込まれています。

1つめは「〇〇市で一番の広告シェア」という部分です。失敗するテレアポをかける営業パーソンは会社名しか言わないですが、会社名でメリットを感じさせられるのは、誰もが知っている有名企業のみです。

だからこそ相手の視点に立ち「地域で一番のシェアがある」とか「毎年200%の成長をしている」、「創業〇十年」など、何か勢いがあるとか、社会的に安心感があると相手に感じる情報を社名に添えるようにするのです。これにより何か「得」を自分に与える可能性を持つ会社であることを、冒頭で刷り込むことができます。

2つめのギミックは「御社のお役に立つ情報がございまして」です。これにより押し売り感を削除し、精神的なハードルを下げることに成功します。

3つめは「広告や販売促進の責任者やご担当の方は、今、お手すきでしょうか?」です。この中で注目すべきは「責任者」と明言することです。これにより自分では判断できない重要な案件かもしれないと相手は思い、次のステップの部署へ電話を回されることに成功します。

以上が、代表電話を突破する話し方です。「こんなに簡単で大丈夫?」と思われるかもしれませんが、私はこの言い方でこの10年間、断られたことが一度もありません。ぜひ堂々と使ってみてください。

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担当部署向けの話し方

いざ担当部署に回されると3つのパターンに遭遇します。

1つは担当者の居留守や不在。もう1つは興味がないというパターン。そして最後は「興味があるので会いたい」というものです。では1つずつ解説します。

【1】担当者が居留守や不在の場合

この場合はまず責任者や担当者の名前、またこの部署への直通番号と電話がつながりやすい時間を、暫定的に電話に出てくれた方に確認します。そして後日、本当の担当者宛に電話をかけ、代表電話で話したように「お世話になります。私、〇〇市で一番の広告シェアを持つ××会社の後田というものです。この度、御社のお役に立つ情報がございまして、初めてお電話いたしました。お手数ですが、お時間をいただけないでしょうか?」と話し、アポを取ります。

【2】興味がないと言われた場合

この場合は、取引している会社に満足していて、新しい情報を別の会社から共有されることに興味がないのか、それとも今は興味がない時期なのかを確認します。前者であれば、「このご時世、情報は複数の会社から集めた方が有益です」と言いましょう。なお、どうしても興味がないと言われた場合は、粘らずにあっさりと諦めましょう。相性が合わない人に付き合うほど、あなたの時間は無駄ではないはずです。

【3】会いたいと言われた場合

何度かテレアポをしているとこのようなことも起こります。丁寧にお礼を言い、アポを取りましょう。

想定される問答集

■「どんな内容かをまずは電話で言って欲しい」と言われたら

基本的な概要は説明しつつ、詳しくは会わないと説明しきれないと言います。ただし話す内容は、相手にとって本当にメリットのある「引き」の強いものを用意してください。

■「時間がない」と言われたら

この場合は、いつなら時間があるのかを確認しましょう。今は忙しいので1ヶ月後と言われた場合は、言われたタイミングで再度、電話をすればOKです。

■「書類をまずは郵送あるいはメールしてほしい」と言われたら

「できれば会いたい」と話しますが、どうしてもと言われた場合は、直筆の手紙を添えて、郵送やメールではなく、直接届けに行きましょう。その上で、翌日、電話でフォローし、アポにつなげます。

――いかがでしたでしょうか?テレアポとは、あなたが相手のために「得する情報を教えます」という行為です。相手が知らないと損をするという情報を持っていて、それを共有したいというスタンスであれば、意外とアポがすんなり取れるようになります。なお、役に立つ情報を「いらない」という人にまで、無理にアポを取る必要はまったくありません。ほんのちょっと視点を変えるだけで、面白いほどアポが取れ、また相手に「この情報が欲しかった」と感謝される場面が出てきます。

テレアポとは、そもそも縁をつなぐ行為です。ぜひ自分の人生を成長させるために、前向きに活用してはいかがでしょうか?たったそれだけで本当に信じられないくらい、いろいろなことがどんどんつながりはじめ、人生が劇的に変化していきます。

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。

著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

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