お坊さんが作る“地震除け”人形で“心の揺れ”を止めよう『倉敷坊さん玩具工房』
東日本大震災からもうすぐ1年。たび重なる余震のたびに身心ともに揺れを感じてきた人も多いのではないでしょうか。地震の専門家のなかには、今後も日本列島に大地震が起きる可能性が大きいと指摘する人もいますが、活性化する地震活動を止めるすべはありません。「でも、心の揺れを止めることならできるかもしれない」――倉敷・高蔵寺住職の天野こうゆうさんは、そんな思いから遊びごころある地震除けの縁起人形を作り始めました。
天野さんは、お寺の住職を務めるかたわらFMくらしきの人気番組『拝、ボーズ!!』でパーソナリティをしたり、作家として仏画や手びねりの『土ほとけ』を作るなど、さまざまな活動をする高野山真言宗のお坊さん。近ごろは『倉敷坊さん玩具工房』を立ち上げ、かわいらしい縁起物の制作を始めています。
縁起物は、かつては寺社の授けものとして人気がありましたが、今はその数も少なくなっています。『倉敷坊さん玩具工房』では、天野さんを中心にお寺での縁起物制作を行い「遊び心と祈る心をこめた“身近な祈りのカタチ”」を提案。気軽に部屋に飾っておけるポップなデザインの仏さまを作っています。
「昨年の地震の後、ノイローゼになるほど余震におびえていた人からなんとかしてほしいと連絡があって。僕の絵を送って『毎日般若心経をあげたらどうですか』と言ったら、その後は余震を感じなくなったと言われたんです」。地震の揺れはどうにもならないけれど、自分の心の持ち方を変えることで“心の揺れ”を止めることができるのではと天野さんは言います。
天野さんが作る地震除けの仏さまは力強く災いを封じると言われる「せいたかさん」。不動明王に仕える制多迦童子(せいたかどうじ)をモチーフに、ピチピチ跳ねるナマズのしっぽをつかみグイッと押さえこむカタチで表現されています。「一輪ざしのお花と同じですよね。そこにあるだけで心がやさしくなったり、周りを片付けておこうという気持ちになる。花が変わるんじゃなくて、自分の方が変わるんですよ。仏さんの人形を置くことで、ちょっと自分の心持ちが変わるならと願っています」と天野さんは言います。
お坊さんが作り、祈りを込めた縁起人形をそばに置いて、不安な気持ちを解消するだけでも心が楽になることもあるはず。自分の部屋に飾ったり、被災地にいる人への贈り物にしてはいかがでしょうか。仏像ファンにも喜ばれそうですね。「せいたかさん」1体2000円(税込み)、ネットでの注文も受け付けています。
倉敷坊さん玩具工房
http://mihotoke.net
京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。
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