男女間の賃金格差は過去最少 今後もこの傾向は続くのか?

男女間の賃金格差は過去最少 今後もこの傾向は続くのか?

男女間の賃金格差は過去最少に

厚生労働省の調査によると、2016年6月にフルタイムで働く女性の平均賃金(残業代除く)が、月額244,600円となり、過去最高を記録しました。
男性賃金の73%で、この20年間において10%縮まりました。
厚生労働省は、「長く働く女性が増え、管理職の割合も高まったことが女性の賃金を押し上げた。人手不足や最低賃金の引き上げ等から改善は進んでいる」と分析しています。
果たして今後も男女間の格差は縮まっていくのでしょうか?

M字の解消とさらなる給与の高い管理職への登用が必要

女性の就労はM字カーブと言われ、妊娠・出産で一旦退職をし、子育てが一段落してからあらためて就職し直す方が多数です。
現に厚生労働省の調査では、最初の子の出産後に6割が退職しています。
一旦退職することでキャリア形成にブランクが生じてしまいます。
再就職する際、どうしても不利になります。
希望の正規社員に就けず、賃金の低い契約社員に甘んじている方もいます。
出産による退職を防ぐためには、やはり保育所を充実させて待機児童を0にする必要があります。
管理職に占める女性の割合は、過去最高と言っても9.3%です。まだ1割です。もっと管理職への登用を増やしていかなければなりません。

保育士確保と長時間労働の是正も必要

政府は2017年度末に待機児童を0にするという目標を掲げていましたが、取り下げました。
保育園は多くなってきているものの肝心の保育士が確保できない状態が顕在化してきています。
特に都市部は深刻で、東京都では保育士の有効求人倍率が5.92倍となっており、実際に練馬区では保育士不足により、0歳児の受け入れを中止した保育園があります。
このような状態では、職場復帰もままならず、一旦退職してキャリア形成にブランクが出来かねません。
保育士以外の方でも働けるよう規制を緩める必要がありそうです。

また、介護職に関しては、技能実習制度による外国人労働者の受け入れが決まりましたが、保育でも受け入れが可能か、検討する余地もあるでしょう。

女性の管理職を増やすと言っても肝心の女性が、管理職になることで部下の管理、仕事の責任等から労働時間が増え、仕事と家庭の両立ができないという理由からなりたくないという方が圧倒的に多い現状があります。
これは、長時間労働を前提とした管理職像を改める以外に方策はありません。
現在、残業時間の規制に向けて労働基準法の改正も検討されたり、各企業でも働き方を改革しようという機運も高まってはいますが、管理職でも定時で帰宅できるような思い切った制度改革も求められます。

(影山 正伸/社会保険労務士)

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