『セル』監督インタビュー「スティーブン・キングは原作よりもダークなラストを映画で実現した」
『シャイニング』『キャリー』などで知られるスティーブン・キングによる小説を、キング自身の脚本、『パラノーマル・アクティビティ2』のトッド・ウィリアムズによって映画化したアクションホラー『セル』。現在大ヒット上映中です。
【ストーリー】
コミック作家のクレイは、ボストンの空港から別居中の妻と息子へ電話を掛けるが、携帯の充電が無くなってしまい、話途中で切れてしまう。すると、携帯で話していた周囲の人々が突然暴徒化し始め、一瞬にして空港はパニック状態に。何とか地下鉄へ逃げ込んだクレイは、車掌トムと少女アリスの協力を得て、妻と息子が住むニューハンプシャーを目指すが……。
今回ホラー通信では、トッド・ウィリアムズ監督に電話インタビューを敢行。作品について色々お話を伺いました。
―スティーブン・キングはこれまで何作もの小説が映画化されていますが、監督にとってスティーブン・キングとはどの様な存在ですか?
トッド・ウィリアムズ:僕はかなり読書をするのでキングの本はどれもすきなのだけど、やっぱり思い出深いのはキューブリックの『シャイニング』と、クローネンバーグの『デッドゾーン』だね。同じジャンルの中でキングの作品が際立つのが、物語の展開がいわゆるロジカルなのでは無く、人間の心理描写を優先させているからだと思うんだ。
―今回スティーブン・キングさんは原作者だけではなく、脚本を書かれているわけですが、ご一緒に仕事をしてみていかがでしょうか?
トッド・ウィリアムズ:キングさんは本当に優しくて寛大な人でした。「俺の作品だからどうのこうの」と言う事は無く、よく私を励ましてくれました。でも、良い意味で遠慮が無く意見がハッキリしていたので助かりました。この作品は彼の小説の中でも登場人物も多く、時間軸も壮大なのに、それを90分に治めるというチャレンジをしたので、キングの助言には何度も助けられたよ。
―そのアドバイスとは例えばどんなものでしたか?
トッド・ウィリアムズ:実はキングさんは小説のエンディングには少し不満があったそうなんです。うまく書けなかったと。今回、映画の方がかなりダークな終わり方をしていますが、このエンディングに関しては彼とよく話し合いました。キングさんが意識していた事は「観客に答えを委ねる」という事だったのですが、その部分はハッキリ主張していました。
―本作は、ジョン・キューザックとサミュエル・L・ジャクソンという大スター2人が出演しているわけですが、2人とも良い意味でオーラを消して、普通の男としてスクリーンに映っていました。そういった部分のリアリティの追求はどうされましたか?
トッド・ウィリアムズ:そういってくれて嬉しいよ、ありがとう! 2人は『1408号室』(2007)で共演して、キャラクターを大げさに演じているいるけれども、今回サミュエルさんは「普通の何も無い男を演じたい」と言っていた。ジョン・キューザックさんもつかみどころの無い男を意識している。僕も、とんでもない状況、ヤバすぎて笑ってしまう様な状況において戸惑う2人というコントラストを表現したいと思ったんだ。
―もう一人、女優のイザベル・ファーマンがとても重要なキャラクターとなっていますが、ホラーファンとしては『エスター』の少女がこんなに大きくなったのか! と驚かざるをえません。
トッド・ウィリアムズ:彼女は素晴らしい女優だよね。もちろん、キューザックとサミュエルと比べるとキャリアは全然異なる。でも2人もすごく辛抱強くイザベルと向き合っていたよ。中年の男2人だけという所に若い女性が入ると別のエネルギーが加わり、軽やかさが出るのでとても良かった。彼女はルックス的にもクールだと思うし、将来有望だと思うね
―本当に今後の活躍が楽しみな女優さんです。今日はどうもありがとうございました!
『セル』現在大ヒット上映中!
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