【au発表会】今回はこちらが主役? スマートフォンを皮切りにテレビやタブレットへも展開狙う新サービス『スマートパスポート』を発表
KDDIは1月16日、2012年モデルのau向けサービスとスマートフォンの発表会を開催しました。スマートフォン新製品5機種が発表されたのは既にガジェット通信でお伝えしたとおり。今回の発表は同社が2012年に推進する『スマートパスポート』の事業構想と、それを構成するサービスの紹介に比重を置いていたのが特徴です。ここでは『スマートパスポート』を中心としたサービスの発表内容を紹介していきます。
参考記事:
【au発表会】スマートフォン2012年モデルはテンキー搭載の『INFOBAR』や『GALAXY S II WiMAX』『Xperia acro HD』など全5機種
https://getnews.jp/archives/162608
『スマートパスポート』構想とは
KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は発表会の冒頭で、同社の事業ビジョンとして「Multi-Device」「Multi-Network」「Multi-Use」の「3M」戦略に触れ、この戦略の第1弾として『スマートパスポート』の構想を発表しました。
『スマートパスポート』のコンセプトは、「オープンインターネットの世界を様々なスマートデバイスからシンプル・シームレスに、安心して、お使いいただけるようにするサービス・イノベーション」というもの。ユーザーが複数の端末やネットワークから自由にネット上のアプリ、写真、映像、音楽などのコンテンツを利用できるという環境の実現を目指します。
この『スマートパスポート』を構成するサービスとして、スマートフォンユーザー向け月額サービス『auスマートパス』、スマートフォン利用料の割り引きサービス『auスマートバリュー』、『au one ID』に替わってユーザーを管理する『au ID』を発表。それぞれ具体的なサービス内容を明らかにします。
月額390円で4種類のサービスを提供する『auスマートパス』
『auスマートパス』は、Androidスマートフォンユーザー向けに提供する月額サービス。月額390円で「アプリ取り放題」「ストレージ」「クーポン&ポイント」「より安心・安全に」の4項目にわたってサービスを提供します。Android 2.2以上のスマートフォンを対象に、3月1日から提供の開始を予定。
「アプリ取り放題」では、同社が厳選した500本以上のアプリを利用可能にします。『モバイル・パワフルプロ野球2012 for au スマートパス』(コナミデジタルエンタテインメント)、『モンスターハンター Dynamic Hunting』(カプコン)、『RIDGE RACER ACCELERATED』(バンダイナムコゲームス)といったゲーム、『大辞林』『ジーニアス英和辞典第4版・和英辞典第3版』(イースト)、『ATOK for Android』(ジャストシステム)、『細木数子六占星術』(サイバード)といった学習、ツール、エンターテインメントなど幅広いラインアップをそろえる予定です。これには海外の人気アプリや、同社のインキュベーションプログラム『KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)』で支援した国内スタートアップによるアプリも含まれます。
「ストレージ」では、容量10GBのクラウドストレージを提供。写真や動画を保存、共有できるサービス『au Cloud』を利用可能にします。『au Cloud』は、外部の写真、画像アプリとの連携も可能にしていく方針。
「クーポン&ポイント」では、ローソンや『au one GREE』、『ニッセンオンライン』など提携各社で利用できるクーポンを提供するほか、auポイントを貯められるサービスの提供を予定しています。
「より安心・安全に」では、トレンドマイクロのセキュリティアプリ『ウィルスバスター』を提供するほか、『auスマートパス』で提供されるアプリの品質チェックやセキュリティチェック、『auスマートパス』内のサービスへの専用サポート窓口の設置を予定しています。
固定回線とセットで利用料金を割り引く『auスマートバリュー』
『auスマートバリュー』は、FTTHやCATVの固定回線とスマートフォンを合わせて契約すると、スマートフォンの利用料金を最大2年間、毎月1480円割り引きするサービス。2年経過後も、永年で月額980円を割り引くという内容になっています。この割り引きは、同じ固定回線を利用する家族がそれぞれ対象になるため、たとえば『auひかり』の月額5880円のプランを利用する家族4人が『auスマートバリュー』を利用することにより、スマートフォン4台分の月5920円の割り引きを適用して実質無料にすることも可能。
さらに、『auスマートバリュー』に申し込んだグループに対して1台、モバイルWi-Fiルーターを10MBまでの使用量では月額390円で利用可能にする『auスマートバリュー(ルーター割引)』も提供。家ではFTTHやCATVの回線、外出先ではWi-Fiルーターと、複数のネットワークでスマートフォンを利用する環境を提案しています。
提携する固定回線の事業者は、FTTHが4社、CATVが40社。auスマートフォンユーザーで、自宅で固定回線を利用している方は申し込みを検討してみる価値がありそうです。『auスマートバリュー』の提供開始は、『auスマートパス』と同様に3月1日から。
デバイスをまたがってコンテンツを利用可能にする『au ID』
『au ID』は、従来の『au one ID』に替わるユーザーID。発表会では、機種変更しても同じコンテンツを利用可能にする、スマートフォンだけでなくテレビ、パソコン、タブレットなど複数のデバイスで同じコンテンツを利用可能にする、家族や友人にコンテンツをシェアする、同一IDで複数のネットワークを利用可能にする――といった将来像を含めた利用イメージを発表していました。
具体的には、『auスマートパス』と『auスマートバリュー』はこの『au ID』を使ってサービスを利用することになります。気になるのはiPhoneやWindows Phoneでもこの『au ID』を利用可能にするのか、ということ。質疑応答でこの質問に、田中氏は「iOSやタブレットにも広げていきたいという思いを持っている」と回答するにとどめました。本当にデバイスを問わず利用する環境ではこれらも対象になるべきですが、実現するまでのハードルは高そうです。
『スマートパスポート』構想は、この『au ID』を介してコンテンツ、ネットワーク、デバイスで「3M」を実現していくということが分かります。2012年春にはスマートフォンのみが対象デバイスとなりますが、夏にはテレビとパソコン、秋冬にはタブレットが対象デバイスに加わり、秋冬にはネットワークでLTEが選択肢に加わるという内容がスライドで予告されました。今後のスマートテレビや『iPad』の提供をにおわせていますね。次回以降の発表会では、この『スマートパスポート』の枠組みを前提に、新たな製品やサービスが発表されていくものとみられます。
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
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