原発の話をしたら友人から”特別扱い” 若者に広がる問題意識の温度差
若者たちは原発問題についてどのように向き合っていけばいいのか――。原発のない未来に向けて専門家や市民が議論する「脱原発世界会議」。開催初日の2012年1月14日には、元福島県知事の佐藤栄佐久氏や緑の党・欧州自由同盟副代表のレベッカ・ハルムス氏らがゲストスピーカーとして招かれる中、「若者と原子力」をテーマに大学生が語り合う企画も開催された。
「脱原発世界会議」の企画の一つ「ハタチの議論~若者が考える原子力」。恵泉女学園大学を中心とした東京の大学生で構成される学生団体・SARA(学生から原子力を考える会)と福島大学の学生らによるパネルトークだ。「実生活での原発事故・放射能の被害」をテーマに、若者の立場から「福島大学は5月上旬に新学期が始まった。その頃には外でランチを食べたり、芝生を走りまわる学生がいた。福島第1原発事故前の日常に戻っているように感じた」「魚は絶対食べないようにしている。野菜や肉も産地に気を付けている」といった意見が交わされた。
■若者たちの間で広がる「温度差」
「ハタチの議論~若者が考える原子力」には、訪れた50名ほどの一般来場者も10代後半や20代の学生とみられる若者が多数を占めており、若者の原発問題に対する関心の高さがうかがえる。しかし、登壇者をはじめとする原発問題への関心が高い若者たちは、同年代の友人から”特別扱い”の視線を受けることがあると話す。パネルトークでも、登壇者や会場から「原発の話をしたら友人から『そういう話はもう辞めて欲しい』と言われた」「ツイッターで原発の話をつぶやいたら、友人からフォローを外された」などのエピソードが紹介された。
■「無関心の人がいたとしても、責められない」
原発問題に対して若者の関心の温度差が広がる中、若者たちは原発の問題についてどのように付き合っていけばいいのだろうか。
今回のパネルトークの登壇者で慶応義塾大学の村西祐亮さんは「原発問題について知っている人が知らない人に伝えていく姿勢が重要。そのために地道に伝えていくことを続けていかないといけない」と語り、進行役を務めた恵泉女学園大学の川畑美結さんは「原発問題と向き合わないと始まらない。そのために考えることが一番大事だ」と話した。
一方で、登壇者で福島大学の田中真衣さんからは
「無関心の人がいたとしても、それが責められる問題でもない。私たちは原発問題に関心があるけれど、沖縄の基地問題はよく分からない。原発問題について、全員が考えるというのは難しいのではないか」
という意見も出た。
このような若者の原発問題に対する議論について、”大人”はどのようにみるのか。企画に参加した38歳の高校教師の男性はこう振り返る。
「原発をこれからどうするのか、安全に生活していくにはどうすればいいのか。原発問題はこれからの世の中を生きていく若者に大きく関わってくる。だからこそ若者が自分で考え、(原発の在り方を)決めていくべきだと思う。高齢の政治家たちが決めてもしょうがない。あの人たちはいなくなるのだから」
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 「脱原発世界会議」のセッションを視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv77648254?po=news&ref=news#6:30
・脱原発世界会議 – 公式サイト
http://npfree.jp/
(松本圭司)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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