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低走行車でも60万~70万円ぐらいになった今、up!は「ある種の人」には狙い目の存在に!

▲鳴り物入りで上陸したフォルクスワーゲンup!だが、その後のセールスは今ひとつ伸びず、中古車相場も爆安に。しかしだからこそ、「あるタイプの人」にはかなりオススメしたい存在になってきた

▲鳴り物入りで上陸したフォルクスワーゲン up!だが、その後のセールスは今ひとつ伸びず、中古車相場も爆安に。しかしだからこそ、「あるタイプの人」にはかなりオススメしたい存在になってきた

「黒船登場!」と噂されたup!だが、その後座礁?

いわゆるAセグメント(最も小型な車格)に属するフォルクスワーゲンのコンパクトカー「up!」が12年10月に日本市場へ投入されるちょっと前、自動車ジャーナリスト各氏を対象とした海外試乗会が某国で開かれた。それに基づく試乗記の内容やトーンはもちろん各氏により様々であったが、基本的には「up!はすごい! ニッポンの軽自動車やリッターカー危うし! up!は現代の黒船である!」というような趣旨でほぼ共通していたと記憶している。

しかしup!はまったくもって「黒船」にはならなかった。

たしかに高速巡航時の性能というか安定感というか疲れにくさのようなものは、一般的な軽自動車やジャパニーズ・リッターカーを凌駕しているように思えた。しかし、一般的なジャパニーズ小型車と比べるとあまりにも快適装備類が簡素すぎたせいか、はたまたシングルクラッチ式のロボタイズドMTである「ASG」のぎこちなさが敬遠されたのか、ニッポンの小型車ユーザーの多くはフォルクスワーゲン up!は選ばず、カップホルダーなどが大充実している新鋭の軽自動車やコンパクトカーを選択し続けた。

その結果として現在の中古車市場においても、up!の状況は「死屍累々」と言っては少々言葉が過ぎるかもしれないが、正直それに近い状況である。

新車がさほど売れなかったわりには中古車の台数が妙に多く(1月19日現在で427台)、車両価格で70万円前後も見ておけば、走行1万km台までの個体が余裕。もうちょっと距離がいった個体でも構わないのであれば相場はおおむね60万円前後といったところだ。爆安である。欧州車の現行モデルなのに……。

▲12年10月に登場し、現在も販売中のフォルクスワーゲンup!。エンジンは1Lの直列3気筒DOHC。基本となるグレードはベーシックな「move up!」と装備が比較的充実している「high up!」があり、move up!には3ドア版と5ドア版の双方がラインナップされている。high up!は5ドアのみ

▲12年10月に登場し、現在も販売中のフォルクスワーゲン up!。エンジンは1Lの直列3気筒DOHC。基本となるグレードはベーシックな「move up!」と装備が比較的充実している「high up!」があり、move up!には3ドア版と5ドア版の双方がラインナップされている。high up!は5ドアのみ

▲up!のフロントシート周辺。日本仕様のトランスミッションはシングルクラッチ式セミATの「ASG」

▲up!のフロントシート周辺。日本仕様のトランスミッションはシングルクラッチ式セミATの「ASG」

いろいろ不満もなくはないが、低走行車が60万~70万円ならおおむねOK?

この結果をもって「フォルクスワーゲン up!は、少なくともここ日本でイマイチだった」的な分析はできると思う。ていうか、筆者も実際そう思う。

しかし、そういった「分析」はもはやどうでもいいのではないだろうか。

重要なのは、とりあえず高速巡航時の安定感にかけては世界レベル(=欧州レベル)の1.4Lターボ車とほぼ同等の感もあるヨーロピアンコンパクトの、しかも走行数千kmとかせいぜい1万km台の個体を、車両価格60万円とか70万円程度で買えてしまう事実だ。

「車っつーのは軽自動車や小型車でも、たくさんのカップホルダーとかフルオートのエアコンが付いてないとダメだよ!」というタイプの人は、そもそもup!の想定ユーザー像から外れている。しかしup!に比較的マッチする価値観を持っている人間だとしても、新車価格である154万8000円とか194万円とかの数字を突きつけられると、「うっ……」と詰まるものはある。「いくら走りが良いとはいえ、運転席側に助手席パワーウインドウのスイッチがなくて、リアの窓がほぼはめ殺しの1L車にその金額はちょっと……」となることを、誰も責めることはできないはずだ。

しかしup!は今や60万円とか70万円なのである。いや新車は相変わらず154万8000円とか194万円だが、前述のとおり「中古車であれば、かなり好条件なブツを車両60万円とか70万円ぐらいで余裕で探せる」ということだ。

であるならば「ある種の人」にとってup!は、ただただお買い得な、新しめの年式の欧州コンパクトでしかないのではないか? マーケティングうんぬんを論ずるのは評論家とかに任せておけばよく、我々市井の車が必要な人間は、ただただ必要でお買い得なものを、各自の都合に応じて買えば良いのである。

▲ポロと比べて全長-450mm/全幅-35mmという、軽自動車+αぐらいのサイズ。写真の電動パノラマスライディングルーフは新車時、受注生産オプションだった

▲ポロと比べて全長-450mm/全幅-35mmという、軽自動車+αぐらいのサイズ。写真の電動パノラマスライディングルーフは新車時、受注生産オプションだった

▲いわゆる快適装備類はお世辞にも充実しているとはいえないup!ゆえリアウインドウは昔なつかしい手動チルト式で、ここまでしか開かない

▲いわゆる快適装備類はお世辞にも充実しているとはいえないup!ゆえリアウインドウは昔なつかしい手動チルト式で、ここまでしか開かない

以下の条件に合致する少数派なあなたにはオススメ

ただし、あなたがここでいう「ある種の人」に該当するかだけは、事前に慎重に見極めておくべきだろう。筆者が考える「ある種の人」とは、以下のとおりである。

1. 「ちょっとそこのAEONまで」というより、中距離以上の移動に車を使うことが多い。

2. 荷物も人もそれほどは載せないので、車内が多少狭めでもあんまり気にしない。

3. 「ゴーカでカイテキなソービ」とか、割とどうでもいい。

4. しかしその分「しっかり走る車かどうか」にはこだわりたい。

5. 古めの車よりは新しめの車の方が好みである。

6. しかし、できればお手頃予算で購入したい。

7. 何も考えずに使うとややギクシャクするASGをスムーズに変速させることに燃えられる。

以上の条件にピタリと合致する人がいたならば、その人は「up!を買うべき人」だ。……まぁそういった人の絶対数がそもそも少ないからup!は苦戦しているのかもしれない。しかし、もしもあなたが上記に当てはまる少数派であるならば、フォルクスワーゲン up!の人気薄ゆえの安値という、売り手にとっての不都合は、買い手であるあなたにとってはかなりのエッジ(優位性)となるだろう。

▲繰り返し「装備が簡素」と言ってきたが、安全装備に関してはさすがに抜かりはない。全車横滑り防止装置とフロント・サイドエアバッグ装備で、走行中に障害物を検知し非常の場合に作動する「低速域追突回避・軽減ブレーキ」も標準装備している

▲繰り返し「装備が簡素」と言ってきたが、安全装備に関してはさすがに抜かりはない。全車横滑り防止装置とフロント・サイドエアバッグ装備で、走行中に障害物を検知し非常の場合に作動する「低速域追突回避・軽減ブレーキ」も標準装備している

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車両価格70万円以下、修復歴なしのフォルクスワーゲン up!をチェックしてみるtext/伊達軍曹

photo/フォルクスワーゲン グループ ジャパン

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