出世する人は「評価されない」時こそ、成長のチャンスと考える

12万部を超えるベストセラーシリーズとなった『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)。その著者である俣野成敏さんに、「ビジネスパーソンの仕事への向き合い方」についてお話しいただくこのコーナー。第5回の今回は、「仕事で思うように評価されないときに、心がけておきたいこと」についてです。f:id:k_kushida:20170111154432j:plain

こんにちは。俣野成敏です。

日々、仕事に向き合っていると、いろいろと悩みは尽きないものです。中でも、サラリーマンをしている方にとって、切実な悩みのひとつが「指示通りに仕事をやっているのに、思ったような評価を得られない」ということではないでしょうか。

なぜ、指示通りに仕事をやっているのに評価が下がるのでしょうか?考えられる要因のひとつに「すれ違い」があります。どういうことかというと、上司のほうでは「いったつもり」になっている状態であり、部下のほうでは「理解したつもりになっている」状態ということです。

自分自身だけで完結している場合でも勘違いしてしまうことがあるのに、ましてやお互い他人である以上「すれ違い」は避けられないことです。ですから「どちらが悪い」ということではなく、むしろそれを前提に行動したほうがいいでしょう。

「評価が下がる」のは、本来は「良いこと」

「すれ違い」については後述しますので、まずは評価が下がる理由から考えてみたいと思います。まず前提として、「評価が下がる」ことは、実はとても良い兆しなのです。そういうと、多くの方は驚くかもしれません。

評価が下がるということは、「相手の期待に応えられていない」ということになりますが、逆をいうと「それだけ相手から期待をされている」状態だと判断できます。ですから正確にいうと、評価が下がっているのではなく、あなたに対する上司の評価が上がった結果、採点基準も上がっているということなのです。

これは、新人の頃の自分と現在の自分を比較してみればわかりやすいのではないかと思います。ベテランになると給料が上がるのは、それだけ仕事ができるようになった結果です。同じように、上司の「新人に対する期待度」と「ベテランに対する期待度」も明らかに違いますから、当然、見方も変わっています。要するに、自らの立ち位置が上がっているため、たとえ同じことをしていたとしても、「元いた場所からの再スタートにはならない」ということなのです。

「期待値が上がる」ことを恐れるな

もしかすると、ここまでお読みいただいた方の中には、「勝手に期待しないで欲しい」「そんな高い期待をかけられても応えられない」と、期待を重荷に感じる人もいたかもしれません。しかし、それは自分の成長する機会を自ら放棄しているようなものです。

「今のままでいい」というのは、実は退化を意味します。会社の評価とは、そもそも同僚との相対評価で決まっています。ということは、自分は同じところにとどまっているつもりであっても、周りが成長している分だけ、結局は後退していることになります。仕事とは、基本的には「成長する」か「成長を止める」かのどちらかしかなく、「現状維持」という第3の選択肢はないのです。

ところで、「上司に期待されるのが良いこと」である理由のひとつに、「頼まれる仕事の質が変わる」ということがあります。それは、上司から「誰でもできる仕事」しか割り振ってもらえなかった状態から、「自分にしかできない仕事」を優先的に回してもらえる状態に変化するということです。

「いつも同じことの繰り返しで、サラリーマンはつまらない」と嘆く人は大勢います。しかし実際は、周囲の期待に応え続けていくことによって、仕事をステップアップさせることは可能です。これを続けていけば、サラリーマンであっても「他人にはできない仕事をする」、つまり「替えのきかない存在になる」ことができるのです。

成長し続ける存在になるための3つのステップとは?

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それでは、どうしたら周りの期待に応え続け、「替えのきかない存在」になれるのでしょうか?それには、以下の3つのステップをご参照ください。

【ステップ1】応答し、それに対してフィードバックをもらう

会社で仕事をしている人であれば、通常、自分に仕事を割り振ってくるのは上司になるかと思います。もしくは、販売職などであれば、お客さまから直接注文をもらう場合もあるでしょう。どちらにせよ、最初のステップは「与えられた役割に応えて、相手からフィードバックをもらう」ことです。

フィードバックとは、「コメントをもらう」ことももちろんですが、一番注目すべきなのは「相手の反応」です。仕事の仕上がりに対して、相手はどう反応したか?納品時期に対してはどうだったか?早く提出して喜ばれたか?やり直しを求められたか?など、仕事によっていくつかチェックポイントがあるはずですから、そこに着目していきます。

現実に即した話をするならば、普通は余程こちらが突出した成果を出さない限り、相手は無反応なのが当たり前でしょう。ですからオススメの方法としては、月に1回でもいいので、上司に自分の仕事に対するフィードバックの時間をいただいたり、意見を求めたりしてみることです。

【ステップ2】フィードバックを元に改善する

相手から何かしらの反応を得られたところで、次はそれを自分の仕事に取り入れ、改善します。

以前、私はサラリーマン向けに「会社で替えがきかない存在になる」という趣旨の『プロ研アカデミー』という通信講座を、1年間限定で開講したことがあります。それは受講生に週1回、仕事に関する週報を一問一答形式で埋めてもらい、それに対して私がフィードバックを行う、という形式で行ないました。

実際にやってみると、生徒の成長が予想以上に目覚ましく、本来1年をかけて教える予定だったカリキュラムが半年で終わってしまい、嬉しい悲鳴をあげる結果となりました(現在は開講しておりません)。このように、他人からフィードバックをもらうというのは、それだけ効果のあることなのです。

【ステップ3】仕組み化する

続いて、そうやって仕事で得た教訓を「他人に伝えることを考える」段階です。

他人に伝えることを考えるメリットは2つあります。1つ目は、他人に教えることを前提に学ぶことによって、自身の学びの吸収力が上がることです。特に、他人を意識することによって、まとめ力や伝達力が上がります。2つ目は、それによって、いつでも自分の仕事を他人に引き継ぐ状態ができあがることです。本来、仕事を理解したからといって、それですぐに他人に教えられるようになるわけではありません。自分の仕事を他人に教える段階になって、実は自分にもわかっていない部分があったり、感覚に頼って仕事をしていたりということが、意外に多いものです。

他人の期待に応え、次の仕事に入れ替えていくことで、無二の存在になっていく

仕事とは結局、この3つのステップを繰り返しながら、他人の期待に応え続け、次のステージの仕事に入れ替えていくことだと私は考えています。

現実的には、他人からフィードバックをもらえることの方が珍しいでしょう。仕事の感想を求めても、たいていは忙しくて取り合ってくれなかったり、意識の低い上司がいるのも確かです。そういう時は、見返りを期待しないで、まずは「発信する」ことから始めてみてはいかがでしょうか。

文頭でもお伝えしたように、仕事の受け手と渡し手の間には、たいがいズレが生じています。ですから、「自分はこの仕事をこういう風にとらえましたが、いかがでしょうか?」というような、メールなりメモなりを自分から発信してみることです。

ここでもし、認識の違いを上司が指摘してくれれば、それだけでも得るところはありますし、たとえ返事がなかったとしても、先ほどいったように、「他人に向けてアウトプットする」こと自体が、自らに大きな学びをもたらしてくれるのです。良いものは最大限に吸収していき、ダメなものは最小限の影響に止める。あなたはどこでも咲く花になりましょう。

【プロフィール】

俣野成敏(またの・なるとし)

ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。31歳の時にアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』(日本経済新聞出版社)が8刷となっている。著作累計は33万部超。2012年に独立後は、複数の事業経営や投資活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設し、マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等にも寄稿している。

俣野成敏 公式サイトはこちら

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