アクティブラーニングや小学校での英語必須化も 新学習指導要領について
「アクティブラーニング」導入の時代的背景とは
最近はAI(人工知能)の進歩に目覚しいものがあります。20年以内には、技術革新によって、労働人口の49%は自動化されると言われています。
高嶺の花と言われた弁護士はじめ、経理事務、窓口業務さらに運転士といった職業は自動化の可能性が高いと言われています。(日経新聞より)
このような時代に企業が求める人材は、有益な情報を分析し、新たな価値を考え、チームで形にしていくグローバルな人材です。
そこで文部科学省は教育改革をすべく、2020年より大学入試センター試験の廃止や新たな学習指導要領を発表しました。
特筆すべき点は新学習指導要領の目玉が、「アクティブラーニング」であるということです。
これは教員が一方的に教えるのではなく、生徒が能動的に授業に参加する学習法であり、自立した学習者を育てるというものです。
「アクティブラーニング」の教えない指導とは、生徒を放任する指導ではありません。
生徒をじっくり観察し成長を温かく見守ること。生徒のよいところを見つけること。
間違えることを楽しませること。教えない指導によって生徒が「学び方」を理解するのです。
「怒られるから勉強する」というのも生徒の自立を妨げます。
生徒を「信じる」「認める」「褒める」指導方法で、生徒の自立学習能力を引き出すことが目的なのです。
英語必須化のメリットとデメリット
いよいよ小学校では特に、5、6年生の英語を正式教科にするとともに、3、4年生で英語に親しむ「外国語活動」が始まります。
この英語の必修化についてのメリットとは、コミュニケーション能力の向上が考えられます。
そもそも英語教育が目指すところの一つに、外国人とのコミュニケーションをスムーズに行う能力の向上にあります。
小学校の低学年から英語を学ぶことで、外国の人と関わることに抵抗が少なくなるだけでなく、学校内でもコミュニケーション能力の向上も期待されています。
また教科化により、教科書を使用することで学校間のレベル格差が少なくなり、中学校以降での英語の授業にもつながりやすくなるとも言えます。小・中・高校を通しての履修時間が増え、時間不足の解消につながるとも考えられています。
デメリットとして言われることは「英語」の時間を増やすと、他の教科の時間が削られるというものです。
学校現場で反対する教師からは「英語よりも他の教科の内容を見につけて欲しい」という声が挙がっています。
小学生の段階では、母国語である日本語の習得も完全ではありません。
その段階で外国語を学ぶことへの危惧の声も少なくありません。
今後の教育の流れ
今後は小学校の低学年から英語の学習も盛んになってきます。
学習の進捗を測るうえで外部試験の利用も増えてくるはずです。
実際の英検の受験者に関して、ここ10年でその受験者数が1.6倍に伸びています。この数字は毎年右肩上がりで、今後も続きそうです。
そんな中、どうしても問われるのが教師の質と負荷の問題です。
さらに生徒が楽しく学ぶための環境づくりも重要になってきます。
教育の変革や早期化が進む中、マンパワーのみに頼るのではなく、システムとの共存共栄が鍵になってきます。
生徒自らが能動的に学ぶパソコンやオンライン教材を使用した「アクティブ・ラーニング」の導入は、個人個人が「いかに学ぶか」について意識することが出来るだけでなく、より効果的な学習が期待できるのではないでしょうか。
(田中 正徳/次世代教育プランナー)
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