タリバンにとって「ビンラディンの死は都合がよかった」と常岡氏

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アフガンからネット中継で出演した常岡氏

 戦場ジャーナリストの常岡浩介氏は2011年12月17日、アフガニスタンからネット回線を通じニコニコ生放送に出演した。このなかで常岡氏は、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは、国際テロ組織アルカイダの最高指導者ウサマ・ビンラディンが殺害されたことで、「本音としては都合がいい」と思っていると語った。

 タリバンは神学生らによるアフガニスタンの反政府組織で、ビンラディンが率いた国際テロ組織アルカイダと関係があるとされてきた。だが常岡氏によると、5月にアメリカ軍の作戦によって殺害されたビンラディン氏を、タリバン側は公式に追悼していない。それどころか「本音としては都合がいいと思っている」とさえいう。というのも、タリバンはこれまで、ビンラディンの潤沢な資金に頼らざるを得なかったため、その身柄引渡しを拒んでアメリカと戦争をすることになったが、タリバンの指導部はこれを後悔しているとみられるからだ。

■タリバンとアメリカの和平を妨害するものは

 だが、ビンラディンが死んでもタリバンとアメリカの戦闘は続いている。この点について常岡氏は、「確かにタリバンとアメリカのあいだに戦争をやる理由はなくなっている」とする一方で、「和平が成ると困る人たちもいる」と語り、

「現在では(アフガニスタン政府の)カルザイ政権。カルザイ政権はタリバンとの戦いが続いてさえいれば世界中の支援が入ってくる。(だから)カルザイ政権こそが和平の妨害者であると言われている」

とした。またタリバンが政権をとっていた時代には抑えられていたケシ(麻薬であるヘロインの原料)の栽培が、カルザイ政権下では過去最悪の状態となっていることを指摘し、アフガニスタンがいま現在置かれている複雑な状況を伝えた。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] ビンラディン死亡がタリバンに及ぼした影響から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv74078833?po=news&ref=news#35:14

(土井大輔)

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