メディア芸術祭受賞作品発表! 『魔法少女まどか☆マギカ』がアニメ部門大賞! エンタメ部門はみんなの想いを宇宙に運んだ『SPACE BALLOON PROJECT』
今月15日、第15回文化庁メディア芸術祭の受賞作品が発表されました。昨年を超え、国内、そして海外57か国から過去最多の2700件以上の応募があった中、アート、エンターティンメント、アニメーション、マンガの各4部門から、大賞1作品、優秀賞4作品、新人賞3作品、審査委員会推薦作品数十作品が選ばれました。
全ての写真をご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
発表の模様は『Ustream』と『ニコニコ生放送』で配信されました。
・文化庁メディア芸術祭プレス向け受賞作品説明会『Ustream』[リンク]
http://www.ustream.tv/channel/bunka-jmaf
・第十五回 文化庁メディア芸術祭 プレス向け受賞説明会『ニコニコ生放送』[リンク]
http://live.nicovideo.jp/watch/lv74040618
※タイムシフトはプレミアム会員のみ視聴可
各部門の受賞作品を紹介します。
●エンターテインメント部門
エンターテインメント部門の大賞は『SPACE BALLOON PROJECT』。スマートフォンを特殊なバルーンで上空3万mの成層圏へとフライトさせ、『Twitter』などで募集した“宇宙へ届けたいメッセージ”を表示、フライトの模様を『USTREAM』を通じてリアルタイムで世界中へ配信する、みんなの想いを宇宙に連れて行ってくれる、そんな夢のあるプロジェクトです。
(c) SAMSUNG TELECOMMUNICATIONS JAPAN
作者の一人である大八木翼氏は「この時代に僕らがなにをするべきかと考えたときに、あらゆるメディアを駆使して、ひとつのことにみんなが思いをよせ、一緒に感動して、その思い出を持ち帰ってもらう、そんな物語を作りたかった」と語っていました。「30年くらい風船で宇宙に行きたいと思っていたジョン・パウエル氏との出会いが彼らのプロジェクトをここまでつれてきてくれた、そしてみんなが宇宙に行くという物語を世界中に届けることができた」とも。
リアルタイムではありませんが、下記サイトでその模様を体験することができます。
・『SPACE BALLOON PROJECT』[リンク]
http://space-balloon.net/
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ガジェット通信でも紹介させていただいた『アナグラのうた~消えた博士と残された装置~』も優秀賞に選ばれました。日本科学未来館で展示されているこの作品は、情報というものの可能性と恐ろしさを表現しています。汚染された世界、震災が起こり、それが現実に近いものとなった中で、様々な葛藤を超えてできたであろうこの作品は、“情報”を“共有”し、それを“力(パワー)”に変ることができれば、その力が世界を変えることができるのではないかと考えさせてくれます。
(c) 日本科学未来館
・アナグラのうた 特設サイト『日本科学未来館』[リンク]
http://www.miraikan.jp/anagura/
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以前紹介させていただいた『ラップムシ』というアプリと同じシリーズの『リズムシ』も新人賞を受賞しました。
(c) 成瀬 つばさ
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https://getnews.jp/archives/107590[リンク]
<大賞>
・『SPACE BALLOON PROJECT』大八木翼/馬場鑑平/野添剛士/John POWELL 日本 Web
<優秀賞>
・『べろべろ』田中秀幸 日本 映像
・『相転移的装置』勝本雄一朗 日本 遊具
・『The Museum of Me』田中耕一郎/谷川英司/齋藤精一/坂本政則/村山健 日本 Web
・『アナグラのうた~消えた博士と残された装置~』犬飼博士/柴崎亮介/飯田和敏/有山一郎/笠島健司/禿真哉 日本 その他
<新人賞>
・『デジタル戦士サンジゲン』仲村 海斗 日本 ゲーム
・『Hietsuki Bushi』Omodaka 日本 映像
・『リズムシ』成瀬つばさ 日本 キャラクター
●アニメーション部門
アニメーション部門で大賞を受賞したのは『魔法少女まどか☆マギカ』。マンガなどの原作がない完全オリジナルな作品です。かわいいキャラクターとそのタイトルから想像できる世界とは違った展開に、選考委員の古川タク氏もしたたかな演出にグイグイ引き込まれたと熱弁されていました。来年に向けて劇場展開をアニメと同じメンバーで進めているとのことで、こちらも楽しみです。
(c) Magica Quartet / Aniplex・Madoka Partners・MBS
・『魔法少女まどか☆マギカ』オフィシャルサイト[リンク]
http://www.madoka-magica.com/
この『魔法少女まどか☆マギカ』と大賞を争ったのは、『頭山』で世界の主要なアニメーション映画祭を総ナメにした山村浩二氏が手がけた『マイブリッジの糸』。写真家エドワード・マイブリッジ氏の波乱に満ちた人生に焦点を当てた作品です。
(c) 2011 National Film Board of Canada / NHK / Polygon Pictures
・『マイブリッジの糸』オフィシャルサイト[リンク]
http://www.muybridges-strings.com/
また前回『フミコの告白』で優秀賞を受賞した石田祐康氏の『rain town』が新人賞を受賞していました。言葉のない、静かですがやさしい作品。京都精華大学アニメーション科の卒業制作作品とのことですが、前作から更に磨きをかけたクオリティでした。
(c) 石田祐康 / 京都精華大学
・卒業制作アニメーション 「rain town」 :Graduation film『YouTube』[リンク]
http://www.youtube.com/watch?v=RLAfM1RXwRs
大賞:
・『魔法少女まどか☆マギカ』新房 昭之(監督) 日本テレビ アニメーション
優秀賞:
・『鬼神伝』川﨑博嗣 日本 劇場公開アニメーション
・『ももへの手紙』沖浦啓之 日本 劇場公開アニメーション
・『マイブリッジの糸』山村浩二 日本 短編アニメーション
・『Folksongs & Ballads』Mathieu VERNERIE/Pauline DEFACHELLES/Rémy PAUL フランス 短編アニメーション
新人賞:
・『やさしいマーチ』植草航 日本 短編アニメーション
・『Rabenjunge』Andrea DEPPERT ドイツ 短編アニメーション
・『rain town』石田祐康 日本 短編アニメーション
●マンガ部門:
マンガ部門の大賞は『土星マンション』。地上に降りることが許されなくなった時代、地球からはるか上空の階級ごとに3層に分かれた巨大なリングシステムという建造物の中で過ごす人々。そんな世界をリングシステムの窓を拭く仕事についた主人公の成長を通して描いた作品です。
(c) 岩岡ヒサエ / IKKICOMIX(小学館)
・土星マンション – IKKI公式サイト『イキパラ』[リンク]
http://www.ikki-para.com/comix/doseimansion.html
優秀賞に選ばれたしりあがり寿さんの『あの日からのマンガ』。あの日、3月11日の震災直後から作者自ら被災地へ足を運んで目にした光景や体験を、マンガという形で記録し表現した作品をまとめた短編集です。
(c) しりあがり寿 / エンターブレイン
大賞:
・『土星マンション』岩岡ヒサエ 日本 単行本・雑誌
優秀賞:
・『あの日からのマンガ』しりあがり寿 日本 単行本・雑誌
・『皺(しわ)』パコ・ロカ (著)/小野耕世、高木菜々(訳) スペイン 単行本・雑誌
・『秘密 トップ・シークレット』清水玲子 日本 単行本・雑誌
・『ファン・ホーム - ある家族の悲喜劇 -』アリソン・ベクダル(著)/ 椎名ゆかり(訳) アメリカ 単行本・雑誌
新人賞:
・『なかよし団の冒険』西村ツチカ 日本 単行本・雑誌
・『まげもん。』昌原光一 日本 単行本・雑誌
・『マスタード・チョコレート』冬川智子 日本 Web・Mobile
●アート部門
大賞は『Que voz feio(醜い声)』。別々の場所にいる双子の女性が柔らかな物腰で幼少期に起きたことを語り出す。二人は同じことを語っているのだが微妙に内容が違っている、移民としてブラジルに渡り帰ってきたという作者の親戚の二人はポルトガル語で話す。翻訳を字幕で追い、映像を音を聞く中で、情報が混ざり合い、曖昧になっていくという不思議な作品です。
(c) 山本 良浩
新人賞を受賞した『SENSELESS DRAWING BOT』。二重振り子のカオス性をもった動きを利用し、スプレーで壁面に描画をするというもの。描かれた線が躍動感にあふれ、実物を見てみたい作品です。
(c) So KANNO, Takahiro YAMAGUCHI / photo by Yohei YAMAKAMI
大賞:
・『Que voz feio(醜い声)』山本良浩 日本 映像
優秀賞:
・『particles』 真鍋大度/石橋素 日本 メディアインスタレーション
・『The Saddest Day of My Youth』Brian ALFRED アメリカ 映像
・『つながる天気』片山義幸 日本 Web
・『BLA BLA』Vincent MORISSET カナダ Web
新人賞:
・『Monkey Business』Ralph KISTLER/Jan SIEBER スペイン インタラクティブアート
・『SENSELESS DRAWING BOT』菅野 創/山口崇洋 日本 インタラクティブアート
・『HIMATSUBUSHI』植木秀治 日本 映像
●功労賞
木下 小夜子(アニメーション作家 / プロデューサー)
受賞作品についてはメディア芸術祭の公式サイトに詳しく掲載されています。
・メディア芸術祭公式サイト『文化庁メディア芸術プラザ』[リンク]
http://plaza.bunka.go.jp/festival/
受賞作品の展示は来年2月に予定されています。毎年無料で公開されるこの展示、興味深い作品がたくさんあるので、今から観に行くのが楽しみです。
・受賞作品展
日時:平成24年2月22日(水)〜3月4日(日)
会場:国立新美術館(六本木)
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