『つながる仏教』(ポプラ社)刊行記念、若手僧侶らによるトークイベント開催
社会のあり方や人々の価値観が大きく変貌し、国内的にも国際的にも混迷を深めている現在。こうした中、日本人の生活に深く根付き、根付き具合が深すぎてもはや意識もされづらい仏教はどうあるべきなのか。
悩める私たちに対し、お坊さんたちによる時代にあわせた新たな取り組みを紹介しながら、仏教の教えもわかりやすく紹介したのが『つながる仏教 よりよく生きるブッダの教え、感じてみませんか?』(ポプラ新書)です。
本書の刊行を記念して、編者であるモラリストの大竹稽さんと、本書の著者から二人、浄土真宗本願寺派の大來尚順(おおぎ・しょうじゅん)さんと臨済宗建長寺派の松本隆行(まつもと・りゅうこう)さんが参加されたトークショー、「生き易くするための仏教 ~ビール片手に若手僧侶の話を聞く夕べ」が、12月14日(水)、下北沢の書店B&Bにて開催されました。
(左から松本さん、大來さん、大竹さん)
まず前半に語られたのは、大來さんと松本さん、それぞれが行っている独自の活動の数々。大來さんはハーバード大学への留学経験もあり、仏教用語を英語に翻訳することであらためてその本来の意味を考える活動をしているとのこと。ブログ『訳せない日本語』( http://www.alphapolis.co.jp/business/ogi )で、その活動をじっくり読むことができます。また、恵比寿で「寺子屋ブッダ」という講座も開催中。こちらでは宗派を超えてさまざまなお寺のお坊さんが講師を務めることで、仏教の本質をやさしく、敷居を下げながら学べる場になっているようです。
松本さんの活動で興味深いのは、東日本大震災をきっかけにスタートした僧侶ボランティアの「スジャータプロジェクト」。ちなみに「スジャータ」というとコーヒーミルクを連想される方も多いと思いますが、実際、「スジャータ」はお釈迦様が修業で倒れかけた際に、ミルク粥を食べさせてくれた娘さんの名前、といった雑学も。「スジャータプロジェクト」にはそうした困っている人たちを放っておかないという意志が込められているそうです。
こうしたプロ僧侶のお二人のトークをまとめる大竹さんは、ご自身はお坊さんではないものの、実は奥様がお寺の長女。親戚筋からはいつ僧侶になるのかというプレッシャーもあるようで、仏教の教えを広める活動をすることで、その圧力をうまいことかわしている、という話題で笑わせてくれました。
(トーク中のお三方)
もちろんお坊さんといえども人間。悟りきれているということもありません。大來さんは先日アメリカへ行った際がちょうどトランプ氏が次期大統領に決まったタイミングだったそうで、何度もアメリカへ行きながらも初めて人種差別される経験に遭遇し、カチンときてしまったとか。
でもそれを受け入れていくのもまた仏教の教え。松本さんは「今の自分の状態を観察して、良い悪いは判断せず全てを受け入れる」という「マインドフルネス」の考え方を提唱されています。曰く、「過ぎたことはいいから、今できることをやろう」。
と、このような形で、仏教が実は敷居が全く高くないことをお三方がフランクに語り合いながら、イベントは幕を閉じました。
ちなみに大來さんはテレビ番組『ぶっちゃけ寺』に出演中。松本さんは、なんと映画『3月のライオン』で俳優デビューされるとのことで、イベントに来られなかった方もこちらで若手僧侶の姿をご覧あれ。もちろん『つながる仏教』もぜひ!
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