軽なのに200万円!? N-ONE モデューロXの乗り味はいかに【N-ONE編・東京スマート軽ライフ】
自動車ライター、塩見智さんが軽自動車に約1ヵ月間乗り、東京での軽ライフをリポートする「東京スマート軽ライフ」。高級車が溢れる東京での軽ライフを赤裸々につづっていく。今回はN-ONE編の第2回。
▲前回の記事で乗っていたのは左の青いN-ONE。今回は右の白のN-ONE モデューロXでの生活をお届けする
N-ONEに手が加えられたモデューロXは抜群の乗り心地
ホンダアクセスは「モデューロ」ブランドでホンダ車の様々なカスタマイズパーツを手がけているが、それらを理想的に組み合わせたコンプリートカーも提案、ホンダ・ディーラーで販売している。N-ONE モデューロXはその名のとおり、N-ONEのコンプリートカー。189万8000円という価格だけを聞くと「軽自動車に約190万円!?」と驚くが、カスタマイズ内容を聞き、実際に走らせてみると、これもアリかもなと思えてくる。1週間テストしてみて、190万円で買うことができる精いっぱいのサイズやクラスの車を買うのと同価格の軽自動車では、どちらが満足感が高いかということについてけっこう考えさせられた。
N-ONE モデューロXには多くのカスタマイズが施されている。ヘッドランプが陣地を拡大したフロントグリルに吸収されたように見えるフロントマスクは、専用フロントエアロバンパー装着によるもの。他にも、ディフューザー形状の専用リアエアロバンパー、専用リアエンブレムと専用デザインマフラーなどが備わる。ボディカラーは7種の2トーンが設定される。インテリアも特別。本革巻ステアリングホイールや本革巻セレクトレバーが備わる他、黒地に赤のプライムスムース(レザー調素材)&トリコットコンビシート、専用カーボン調インテリアパネルなど、多くの専用アイテムが装備される。
▲専用フロントエアロバンパー装着により、フロントマスクも微妙に違う
▲モデューロXには専用リアエンブレムと専用デザインマフラーが備わっている
▲室内にも随所こだわりが見られ、本革巻ステアリングホイールや専用カーボン調インテリアパネルなどが備わる
前回お届けした、自分でカスタマイズ内容を決めたN-ONEも我ながらカッコいいと思ったが、モデューロX版は日頃ユーザーにカスタマイズを推奨しているメーカーのコンプリートカーだけあって気合の入り方が違う。内外装ともに完成度が高い。
また、ノーマルよりも精悍になった見た目とバランスを取るように足回りにも手が入れられ、キビキビとした走りを味わえるようになっている。具体的にはフロントにバンパービームを追加して剛性を高め、専用のスプリングとダンパーを装着することで、引き締まった乗り味となっている。
▲足回りもカスタマイズされており、引き締まった乗り味に
200万円の軽自動車を買う意味はあるか
様々な軽自動車を乗り継いできて感じるのは、軽自動車の動力性能は自主規制によって横並びのため(ざっくりいうとターボかNAかの2種類しかない)、良し悪しの差がつくのは体感上のボディ剛性が高いか否かという部分が大きいということ。当然ながらボディ剛性が高ければ印象がよく、低ければ印象がよくない。N-ONEモデューロXは元々軽自動車としては優秀な乗り心地が備わるN-ONEをさらに補強しているため、軽自動車の乗り心地としては相当に好印象な部類に入る。ノーマルよりも硬いのは事実だが、その硬い足がきちんと機能するようボディが補強されているため、不快ではない。
ノーマルのN-ONE(2WD)で最も高価なのが、プレミアムツアラー・ローダウンで164万5000円。モデューロXはノーマルに比べ、約25万円高い。あと10万円ほどで200万円だから、諸費用を含めると乗り出し価格は200万円を超える。この金額を出し、中古車にまで候補を広げると、相当な内容の登録車を買うことができるので、誰にでも200万円の軽自動車を勧めようとは思わない。けれど、車両のサイズが絶対的にコンパクトであることに価値を見い出す人、例えば、大きい車の運転がとにかく苦手という人、自宅ガレージのサイズが限られているという人、生活圏内に狭い道路がある……かといって、安っぽい車はイヤだという人には、評判の高い軽自動車を試乗してみることをオススメする。
【筆者プロフィール】
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経て、フリーランスの自動車ライターへ。軽自動車好き。SUV好き。「カーセンサーnet」をはじめ、「GQ Japan」「GOETHE」「webCG」「carview!」「ゴルフダイジェストオンライン」などにて執筆中。
【関連リンク】
東京スマート軽ライフ(記事一覧はこちら) ホンダ N-ONE(現行型)を探すtext/塩見智
photo/篠原晃一
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