2017年度税制改正、住宅への影響は? タワマン高層階住戸が増税ほか
来年度の税制改正の内容をまとめた2017年度税制改正大綱が、与党から発表された。住宅税制がどう変わるのか、気になる中身を見ていこう。
40階の住戸は1階住戸より固定資産税が1割アップに
まず注目されるのが、居住用超高層建築物、いわゆるタワーマンションの固定資産税の見直しだ。住宅の固定資産税は土地・建物の固定資産税評価額に税率をかけて計算されるが、区分所有建物であるマンションは建物全体の固定資産税をまず計算し、それを各住戸の専有面積に応じて案分する形になっている。
そのため、これまでは1階の住戸も最上階の住戸も専有面積が同じなら税額も同じだった。1階と最上階とでは住宅価格に大きな差があるのに、不公平ではないかと問題になっていたのだ。
そこで大綱には、固定資産税額を案分するときに階数によって差をつけることが盛り込まれた。1階上がるごとに少しずつ税額を高くし、40階の住戸は1階住戸より税額が1割多くなるようにする。建物全体の税額は変わらないので、低層階の住戸は従来よりも減税、中間階は変わらず、高層階は増税となる。
この改正は高さが60m超(おおむね20階建て以上)で2017年1月2日以降に完成するマンションに適用される。ただし、2017年3月31日以前に売買契約が締結された住戸があるマンションは対象外だ。
同様の見直しは都市計画税と不動産取得税でも行われる。高層階住戸の評価額が時価に比べて低い問題は、もともとは相続税対策に利用されることが問題視されていたのだが、相続税については今回の大綱では触れられていない。この点については今後、国税庁がなんらかの対応を打ち出す可能性がありそうだ。
耐久性リフォームで長期優良住宅化すると減税される
大綱に盛り込まれたその他の改正内容としては、まず長期優良住宅化リフォーム減税の創設が挙げられる。これは耐震リフォームと省エネリフォームに加え、劣化対策など耐久性を向上させるリフォームを減税の対象にするというもの。
耐久性向上のリフォームを行い、中古の長期優良住宅として認定を受けると、所得税から最大62.5万円の控除を受けられる。工事の翌年度は固定資産税も3分の2減額される。さらに省エネリフォームについて、住宅全体の省エネ性能が一定基準にアップした場合、すべての窓を断熱改修しなくても減税が受けられるよう要件を緩和する。
また、熊本地震など災害が頻発していることを受け、これまで個別の災害ごとに特別立法で対応してきた税制上の措置を常設化する。災害により住宅に居住できなくなった場合でも、住宅ローン控除や贈与税の非課税枠などを受けられるようにするといった内容だ。
このほか、所有権や抵当権を登記する際の登録免許税の軽減について、土地の所有権移転登記は2年間、それ以外は3年間、適用期限を延長する。
税制改正大綱の内容は2017年の通常国会に法案が提出され、3月末までに成立する見通し。大綱の内容どおりに決まるのが通例だ。●参考
・平成29年度税制改正大綱
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