自分に合った仕事をみつけるには?”空いてる椅子”の話

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こんにちは、ハブチンです。

今回は大学に進学せず、就職活動もせず、17歳からイラストレーターとして活動する兎村彩野さんにインタビューしました。

彼女の「自分に正直に暮らす」生き方は、社会のレールに沿って他人の評価ばかりを気にしてきた私にとっては驚きでした。

兎村さんのような働き方を、読者の皆さんが100%マネできるわけではないと思いますが、”人間らしく生きるヒント”を得てもらえたら幸いです。

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【兎村 彩野さん プロフィール】

イラストレーター、アートディレクター。

1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアに関する絵を得意とする。2012年株式会社レプスを設立。大手広告代理店やテレビ局、出版社など多数のクライアントを抱える売れっ子として活躍中。

聞き手:ハブチン 撮影:鈴木健介

仕事は選ぶのではなく受け入れるもの

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ハブチン:兎村さんはいつからイラストレーターになられたんですか?

兎村:17歳のときにフリーランスで生きていく道を選びました。

高校2年生だったのですが、学校へ行く理由がすでに見つからなくなっており早く働きたかったんです。その時からイラストレーターとして生きていくつもりだったので、大学への受験勉強や、就職活動はしてきませんでした。

ハブチン:そうは言っても、いきなり高校生がイラストレーターになれるものなのでしょうか?

兎村:父がデザイン関係の会社をしていて、中学生からMacintoshで絵を描いたりデザインしていた私を見ていてくれたので「挿絵とかキャラクターとか描いてみる?」と誘ってくれたんです。元々、小学生の頃から図工の時間が好きで、ずっと図工の時間でいたい、「図工になりたい」と思っていました。

ハブチン:もはや図工したかったわけではなく、なりたかったんですね(笑)

兎村:そのとき偶然職業が与えられて、やってみたら面白かったし、感謝されたときに嬉しかったので「私の人生これでいっか!」という感じでした。

ハブチン:ほとんどの方は美大に通ったり、デザイン事務所に入ったりしますよね。有名な会社に入りたいとか、大きな案件を手がけたいという想いはなかったんですか?

兎村:なかったですね。上ばかりを見ていると、首が痛くなるじゃないですか。上をみなくても、周りを見渡せば困っている人がいて、その人たちのために絵やデザインで伝えることのお手伝いをするほうが向いているなと思いました。神様から「はい、あなたはこれをやりなさい」といわれたような。仕事は「選ぶのではなく受け入れる」という感覚でしたね。

空いている椅子を探すこと

ハブチン:最初はお父さんの仕事からスタートしたわけですが、他のお客さんの仕事もしていくわけですよね。どのように仕事を得てきたのですか?

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兎村:仕事を「椅子」だとしたら、就職活動は椅子選び、もっというと椅子取りゲームですよね。良い椅子はふかふかで座りやすかったり、質の良い素材でできているかもしれません。座り心地がとてもよいかもしれないです。ただその分、人気があるので競争が激しいし、たとえ座れても、椅子を奪いに来る人もいるかもしれなく、すこし気が張る椅子でもあるかもしれないです。

ハブチン:確かに椅子取りゲームですね。

兎村:良い椅子に座れたとして、ただガムシャラに席を守っているだけだと、案外、誰からも「ありがとう」が言われないので、私だったら寂しいかもですね。ただそれでもその椅子が死ぬほど好きな椅子なら死守することは幸せだと思いますし寂しいと思わない人もいます。価値はそれぞれなのでいいのですが。

ハブチン:確かにいい椅子に座っていても、いつ奪われるかヒヤヒヤしながら過ごすのはストレスですよね。

兎村:一方で、空いている椅子は少し不便だったり、直さないと座れなかったりするので、人気が無かったりします。もしかすると変な色かも知れません。

ハブチン:周りから「なぜきみはそこに座っているの?」と言われるかもしれませんよね。

兎村:少し不便だったり、少し違うかなぁと思う椅子でも空いているところに座ってみて、椅子を修理してみたり、掃除してみたり、ペンキを塗ってみたり……自分なりに工夫して自分の座りやすい椅子に仕立て直すのも良い人生なんじゃないかなと私は思っています。

ハブチン:自分の工夫次第で、変われるということですね。

兎村:椅子を自分のチカラで直せるようになると、自分で空いている椅子に移動できるし、どんどん心地よい椅子が作れるようになります。つまり仕事の選択肢が増えるんですよね。人から注目される椅子に座ることもいいと思うのですが、誰かの椅子の修理を手伝って「ありがとう」と言われる人生もなかなか素敵だなと思います。

「白い椅子」が少なくなっていく

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ハブチン:仕事を椅子に例えると、椅子にも色があると思うんです。就職活動で選ぶ椅子は「まっさらな白い椅子」で、その白色の椅子の中からどれを選ぶか?…という狭い選択でした。でも実際には世の中にはいろんな色の椅子がありますよね。

兎村:そうですね、絵の具と同じでいろんな色が混ざり合うことで、いろんな絵が描けるわけであって、絵の具全部で世界ですからね。白色は絵の具の端っこにいるひとつの色でしかありませんから。

ハブチン:でも白色しか選べないように思えたのは、今までの世界が白色を求めていたからだと思うんですよね。

兎村:どういうことですか?

ハブチン:白色は修正ペンのように間違っていることを正して管理するような色だと思います。経済が成長して、人口が増加していくときに、その成長をマネジメントする必要があった。だから白い椅子に座る人が必要だったのかなと思います。

兎村:確かにそうかもしれませんね。

ハブチン:しかし経済が停滞し、これから人口が減少していく中で、管理する対象が無くなっていくのではないかと思います。

兎村:白い椅子が少なくなってくると。

ハブチン:はい、白い椅子は優秀な方々に任せて、そうではない私のような人間は、白い椅子を辞めて新色の椅子を作り出していくことが大切なんかじゃないと。いい椅子に座れなくてしょんぼりしているより、兎村さんがおっしゃるように自分で作り込んだオリジナルの椅子をつくることの方が楽しいのかなと。だから私は「ファシリテーター」という新しい椅子を選んだんです。

空いている椅子のみつけ方

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兎村:ハブチンさんはどうやって空いている椅子をみつけたんですか?

ハブチン:私の場合は、他人から「君はファシリテーターに向いているからしてみない?」と誘われたのがキッカケです。初めはファシリテーターという言葉すら知らなかったのですが、仕事させてもらううちに他人から喜んでもらえるし、自分でも無理していないのでこれはよいと思いました。

兎村:私も一緒ですね。たまたま父親に勧められた椅子に素直に座ってみたらとても良かったという感じでした。意外とまわりにいる人たちのアドバイスというのは自己評価とは違う客観的な視点だったりするので、人の話は素直に聞いた方が良いなぁとよく思っています。

ハブチン:空いている椅子を作り出していくためには、日々どのようなことを心がければ良いのでしょう?身の回りの困っている人を探すといっても、目の前の仕事に追われてしまって、なかなか探せないように思います。

兎村:目の前の仕事だけに集中してしまうと、周りの椅子はみつからないでしょうね。まずは自分の椅子がどういうものなのかを知ることが大切ではないでしょうか。仕事だけでなく、暮らしにも目を向けることが大切だとおもいます。

ハブチン:身の回りにあるモノやサービスは自分の椅子を形作る一部だったりしますもんね。他人の椅子を見つける前に、まずは自分の椅子が何でできているかを知ることが大切ということですね。

兎村:そうやっていろんな素材を集めているうちに、同じような価値観をもった人たちと出会います。同じ方向に進もうとしている人だったら、結婚して一緒に素材を集めたり、仕事のパートナーになってもいいです。その過程で困っている人たちにも出会います。自分以外の人たちにも素材を分け、その人の椅子を作る手伝いをすればいいんだと思います。

ハブチン:そうやって空いている椅子を見つけていくのですね。

兎村:そのうちみんなが言う良い椅子より、自分だけの自分で作り込んだ素晴らしいオリジナルの椅子のほうが座りやすくて、幸せだなぁと感じる日がくるのかなと思います。その椅子に座っているとなんだか座り心地がよくて、だれかに奪われることもないので、気持ちも余裕がありますし。自分だけの椅子の価値に気付いた人は幸せを感じながら働ける気がします。幸せな人とは自分の椅子を自分で褒められる人なのだろうなとおもいます。

ハブチン:なるほど。僕もそういう椅子を世の中に増やしていきたいですね。

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【羽渕 彰博(ハブチン】

1986年、大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事し、ファシリテーターとしてIT、テレビ、新聞、音楽、家電、自動車など様々な業界のアイデア創出や人材育成に従事。2016年4月株式会社オムスビ設立。

ハブチン (@habchin3) | Twitter

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