スポーツ中継で解説の音量が調整できる技術

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スポーツ中継の“解説”が邪魔な場合も

野球やサッカー、陸上競技などをテレビで見ていると必ず付いているのが“解説”です。解説はプロによるわかりやすい案内で、スポーツ中継を更に楽しむ要素でもあります。
しかし、最近ではテレビの音質も良くなり、まるで観客席で聞いているような楽しみ方もできます。その時、意外と邪魔になるのが“解説音声”です。 せっかくサラウンドシステムで“S席”、“アリーナ席”、“ロイヤルリングサイド”の雰囲気を味わおうとしても、解説音声が入ると気分はテレビ中継に戻ってしまいます。

フラウンホーファーIISが開発した『Dialog Enhancement』

フラウンホーファーIISが開発した『Dialog Enhancement』という技術を導入すると、テレビ側で解説音声の大きさを変更できるようになります。以下の取材動画では、リモコン操作で簡単に解説員の音声を調整しています。 また、イギリスの『ウィンブルドン選手権』と『英国放送協会』(BBC)が共同で行った実験では視聴者に感動を与えたというデータもあります。上記の写真ではリモコンで解説員の声(Commentary)と会場の音声(Court)のバランスを自由に調整しています。これは『国際放送機器展2011』で発表された技術です。


「スポーツ中継で「歓声」か「解説」かを自由に選択できます。」『YouTube』(http://youtu.be/YWh-0iT0Uls)

技術的に見た『Dialog Enhancement』

地デジの『Dual Stereo』と変わらないのではと考えられますが、『Dual Stereo』では2つのチャンネルが必要になります。また、解説員の説明をなくすか出すかの2つの選択しかできません。2つのチャンネルを使う技術的なムダとAll or Nothingの選択を視聴者に強要する不便さがあります。
しかし、『Dialog Enhancement』にはそうした不便さがありません。伝送チャンネルも1つでよく、視聴者は段階的に解説員の音量を調整することができます。また、『Dialog Enhancement』でエンコードされた音声を非対応のテレビで受信しても通常の解説付きの音声として楽しむことができるので、放送側で複数のコンテンツを準備する手間がなくなります。

実用可能な技術ですが……

先ほどの『英国放送協会』の実験でもユーザは専用のアプリケーションをダウンロードして楽しむ方法でした。まだ、対応の受信装置の販売が行われていません。これから普及していくには放送局とテレビメーカーの対応が必要になります。スポーツ中継の楽しみ方が更に広がる『Dialog Enhancement』は期待の技術だと考えます。

※この記事はガジェ通ウェブライターの「じへい」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
普段は動画を使ってガジェットや食品のレビューを行なっています。 人が思いつかない切り口でレビューや紹介を行なっています。 ネタ探しのために自己資金を使って出張取材も最近は多いです。

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