新しくペットを飼うときに知っておいてもらいたいこと
殺処分される動物が無くならない悲しい現状
82,902という数字。これが何を示していると思いますか?
これは、平成27年度、自治体に収容されやむなく殺処分された動物の数です。
この年、自治体に引き取られた動物(イヌ、ネコ)の総数は、136,724頭で、その約60%が残念ながら殺処分となっています。
なぜこれだけ多くの動物が引き取られたのでしょうか?
その理由として、「引っ越すから」「仕事が忙しくなったから」「増えすぎてしまったから」「思っていたより大きくなったから」「子供ができて動物の面倒まで見れなくなったから」等々です。
動物たちが健康で愛情いっぱい生活していくことができることを願い、本稿では、動物を飼う前に知っておいていただきたいことをご紹介したいと思います。
新しく動物を飼うときにぜひ読んでもらいたい「犬の十戎」
ペットとして飼われることになった犬と人間との望ましい関係を、犬が人間に語り掛けるという形式で訴える「犬の十戎」というものがあります。
これは世界に広く伝わっているもので、犬だけではなくペットを飼う時にはぜひ読んでください。
◎「犬の十戒」
1.私の一生はだいたい10年から15年です。あなたと離れるのが一番つらいことです。どうか、私と暮らす前にそのことを覚えておいて欲しいのです。
2.あなたが私に何を求めているのか、私がそれを理解するまで待って欲しいのです。
3.私を信頼して欲しい、それが私にとってあなたと共に生活できる幸せなのですから。
4.私を長い間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないで下さい。あなたには他にやる事があって、楽しみがあって、友達もいるかもしれない。でも、私にはあなたしかいないのです。
5.時々話しかけて欲しい。言葉は分からなくても、あなたの声は十分私に届いています。
6.あなたがどのように私を扱ったか、私はそれを決して忘れません。
7.私を殴ったり、いじめたりする前に覚えておいて欲しいのです。私は鋭い歯であなたを傷つけることができるにもかかわらず、あなたを傷つけないと決めているのです。
8.私が言うことを聞かないだとか、頑固だとか、怠けているからといって叱る前に、私が何かで苦しんでいないか気づいて下さい。もしかしたら、食事に問題があるかもしれないし、長い間日に照らされているかもしれない。それとも、もう体が老いて、弱ってきているのかもしれません。
9.私が年を取っても、私の世話はして下さい。あなたもまた同じように年を取るのですから。
10.最後のその時まで一緒に側にいて欲しいのです。このようなことは言わないで下さい、「もう見てはいられない。」、「居た堪れない。」などと。あなたが側にいてくれるから最後の日も安らかに逝けるのですから。忘れないで下さい、私は生涯あなたを一番愛しているのです。
新しく動物を飼う時に知っておいて欲しいこと
◎特性を知る
個々の動物には、その種類からそれぞれ特性があります。
前もってその特性を理解したうえで飼育を開始することで、より楽しい関係性が持てると思います。
◎予防について知る
定期的な健康診断と予防を行ってください。
健康診断から病気の早期発見につながるケースも少なくありません。
また、定期的な予防注射による感染症予防と、フィラリアなどの寄生虫に対しての予防方法も確立されていますので、忘れずに行ってください。
また、マイクロチップを装着することで、災害等で離れ離れになってしまった際、それが動物と飼い主を結びつける大切な絆となりますので有用性が高いと思います。
◎動物の人に対する効果を知る
動物と一緒に生活することで、私たち人間はたくさんの良い効果を得られます。
それは、次の3つに分類できます
1.からだへの効果
血圧や心拍数が下がり、自律神経の副交感神経系が優位になり、リラックス、癒し、和む、会話がはずむ、笑顔、前向きに身体を動かすなど人の精神面、身体面に良い効果をもたらします。
また、最近ではストレスの指標としての血液中のコルチゾールの値が動物にふれあう前より後の方が優位に下がり、ストレスの緩和の効果に関する研究もあります。
2.心への効果
元気づけ、リラックス効果、自尊心・責任感等の肯定的感情など様々な効果があります。
特に注目されるのが、子供に対しての教育的効果です。
身近な動物に関心を持つことで、徐々にお互いを見つめ合い、友情を得て、最終的には「人への愛」につながっていきます。
それは、責任感や、他者への思いやりの心の形成でもあります。
ペットは、子供が自分自身を見つめるときの鏡ともなってくれます。
3.社会的な効果
人と人の間に動物が介在することにより、人の朗らかな側面を引き出し、人にやる気を与え、さらに人の素直な面を引き出し、結果人間同士の交流を深めると言われています。
ペットは私たちの人生にたくさんの喜びをもたらしてくれる
動物と人間、違うのは見た目だけです。
動物も人と同じように痛みを感じ、喜び・悲しみを感じる感情(心)を持っています。
それが「生きている」ということです。
そのかけがえのない「たった一つの命」を預かるということ、それが動物を飼うということです。
それは、大きな責任であるとともに、たくさんの喜びをもたらしてくれるものです。
ぜひ、人と動物が笑顔で生活できる素敵な毎日を作っていってください。
(田村 兼人/獣医師)
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