持ち家を友人・知人に貸し出すときの注意点とは?
せっかく念願のマイホームを手に入れたのに、転勤などの事情で一時的に貸し出すことになったとしたら、どうしますか? 賃貸管理会社を通じて入居者を探すのが一般的かと思いますが、「アカの他人」よりも気心の知れた友人や親戚などに貸したいと思う方もいらっしゃるでしょう。
ただ、「親しき中にも礼儀あり」とはよく言ったもの。友人や知り合いに貸す場合でも口約束で済ますのは相当のリスクが伴います。あらかじめ留意すべきポイントについてご紹介しましょう。
万が一のトラブルに備えて必ず契約書をつくろう!
特に気心の知れた友人に貸すような場合、「親しい間柄だから、契約書なんて相手を信用していないみたいで気が引ける……」と思うかもしれませんが、さにあらず。そういうケースこそ、相手につい過度な信頼を置きすぎるために、なんらかの事情でもめ始めると大きなトラブルに発展しやすいのです。
たとえ数年程度の限られた期間であっても、大切なマイホームを貸し出すのであれば、少なくとも下記の事項を押さえた賃貸借契約書を作成することをお勧めします。
■契約期間
■家賃の額・納付方法と期限
■共益費・敷金の有無と金額
■禁止事項(貸主の承諾なく模様替え、改築、又貸しを行うなど)
■契約解除の要件(家賃の滞納、目的外の使用、上記禁止条項への違反など)
■賃借人が退去する際の原状回復義務とその範囲
■連帯保証人の有無
とは言うものの、自分で一から契約書を作成するのはさすがに骨が折れますよね。たいへん参考になる資料として国土交通省が「賃貸住宅標準契約書」を公表していますから、それを「たたき台」にしながらご自身の契約内容について検討することをお勧めします。
一時的な賃貸ならば、「定期借家契約」の選択が無難
実際に契約を結ぶにあたってぜひ知っておいていただきたいのは、賃貸借契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があるということです。
普通借家契約においては、契約期間満了の際に賃借人が更新を希望した場合、貸主側がその物件を必要とする事情など正当事由があると認められない限り、それを拒むことができません。つまり、契約期間を仮に2年と定めたとしても、確実に2年で終了できる保証がないわけです。
こうした契約期間の不確実性などのリスクを解消すべく、平成12年に施行されたのが定期借家制度です。定期借家の場合、期間が満了すれば確実に契約は終了となります(※双方が合意すれば再契約も可能)。また、普通借家と異なり、期間1年未満の契約も可能です。
ただし、定期借家契約の場合には、「契約に更新がなく、期間満了とともに契約が終了する」旨の書面を賃借人に交付して事前に説明する必要があるなどのルールが定められているので、注意が必要です(下記比較表参照)。<出典:国土交通省 「定期借家制度をご存じですか・・・?」パンフレット>
なお、定期借家制度の概要と契約書のひな形については、普通借家の場合と同様に、国土交通省が下記サイトページで公開していますので、参考にするとよいでしょう。
分譲マンションを賃貸する場合の注意事項
最後に、あなたのマイホームがマンションの場合の注意点をご紹介します。分譲マンションの場合、管理組合がマンション使用上のルールとして「管理規約」やそれにもとづく「使用細則」を定めているのが一般的です。
これらは、オーナー(貸主)である区分所有者だけでなく、占有者である賃借人も順守することが求められますので、貸し出す際には、それらの写しを賃借人にも提供するのが親切でしょう。
また、マンションごとに多少ルールの詳細は異なりますが、一般的に管理組合に対する手続きとして求められる事項としては、以下のものが挙げられます。
■区分所有者本人に代わって第三者が使用する旨届け出る
■現在使用している共用施設(駐車場、駐輪場など)を又貸しするのはNGのため、解約の手続きをする
(※賃借人が、入居後に使用したい場合には別途組合に届ける必要があります)
■賃借人がペットを飼育する場合には、制限事項を規約や細則で確認のうえ届け出る
このように分譲マンションの場合には、管理規約等にしたがって正しく手続きを行う必要がありますので、ご注意ください。
不動産を貸し出すとなれば、貸主側にもそれなりのリスクが伴うこと、また実際に契約を結ぶには一定の知識も必要なことをお分かりいただけたでしょうか。今回ご紹介したポイントをもとに、ご自身の事情を加味して慎重に検討していただきたいと思います。●参考
・国土交通省 賃貸住宅標準契約書(普通借家契約の場合)
・国土交通省 定期借家制度について
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